返す返すも、私の理想のR18は
このコンセプトモデルだ。
コレと同じモノを手に入れること
(同じようにカスタムすること)は
ほぼ非現実的だと知りながらも、
できる限り近づけたいとは思っている。
その筆頭はハンドルだ。
このような、グリップ位置を
気持ちアップライトにセットした
一般的な形状のハンドルもあって、
これも見るからに乗りやすそうだなあ、
とか思ったりもするのですが、
私の理想はコンセプトモデル同様の
一文字のバーハンドル。
なんてことをディーラーで相談していてUNIT GARAGEのドラッグバーをオススメいただいた。
ゆったり手を伸ばした位置にグリップが来るノーマルのリーチバーに較べれば、
ドラッグバーは雲泥の差と言っていい位置までグリップが下がる。
グリップ位置、ステップ位置、シート高の3点の位置関係がどうなるのか、皆目見当も付かない。
でも、
カタログに載っている幅や高さなど、数値を眺めていても、ポジションなどの実感が湧くはずもなく、実際に装着して走らせてみない限り本当の答など出るはずもない。
まずはドラッグバーに換えて乗ってみて、ノーマルからの変化量を基準にしてからでないと数値を眺めていても意味がない。
と、頭の悪い私は思う。
そうと決まれば「一旦ノーマルで納車しておいて追々」なんて遠回りはせず、最初からこのハンドルを試してみたくなった。
幸い(生憎?)車輌が日本に到着するまでまだ時間があったので、納車までに装着ができる。
と言う皮算用が働きすぐに注文を入れてもらった。
実際に装着してみてからの顛末はこちらに何度も書いたが、
ポジションの善し悪しの以前に、インストールする時点で様々な問題が浮き彫りになり、その対処に手間と時間を喰ってしまった。
先にお見せした、クランプ部から持ち上げるように跳ね上げられた「一般的な形状」のハンドルバーであればブレーキラインの問題も、ウィンカーの問題も出なかったのかもしれないのだが、これも信念を貫くためだ。
っていうか、海外のアフターパーツって、こういうものだ。致し方なし。
ブレーキ、クラッチラインの変更、純正ハンドルライザーへの交換など、ディーラーの協力を得ながら、
次々に出て来る不具合をシラミ潰しに対処しながらやっと装着を終えた先に待っていたのは、お世辞抜きで素晴らしいライディングポジションでありました。
あまりに続発する不具合に耐えかね、
「もう他のハンドルに変えた方がいいのではないか」との思いが何度も頭をよぎりましたが、
途中で諦めたりしなくてホント良かった。
サドルシートは純正シートとはいくぶん座らされる場所が違うので、
純粋にハンドルだけの違いを顕すものではありませんが、それでもこれだけ前傾姿勢になる。
ただ、アップライトなリーチバーから、一文字のドラッグバーに換えた状態は、
頭で想像していたよりもずっと自然なポジションとなった。
こちらはハーレーのスポーツスターのポジション。
画像の乗り手の方の身長が分からないので直接比較はできませんが、
ハーレーはスポーツスターに限らず足を投げ出す位置にステップが配置されており、
シリンダーが邪魔してそうはできないBMWとは似ているようでかなり違うことが分かる。
膝はある程度曲がり、足はヒザよりも後ろにいて欲しい私としては、むしろR18のステップ位置の方が好み。
つまり、教習所の車輌的な、ごくごく一般的で普通のポジションが何だかんだ言って一番きなのであります。
そして、ハンドルの垂れ角って、とても大事だということを、今回改めて認識させられた。
画像からは分かりづらいと思うが、このドラッグバーはグリップエンドに向けて「ハ」の字に垂れ下がっている!
こちらはまだバーエンドを上に向けてセット(いわゆるオニハン)していた頃の画像。
このドラッグバーにも純正ハンドルと同様に、スイッチ類がハンドルにネジ留めされており、
スイッチだけを適度な位置に変えることができない。
つまり、UNIT Garageの想定したハンドルの向きではない位置に設定すると、
共回りしてスイッチは上向きになってしまう。
最初は、せめてバーエンドが垂れ下がらずクランプ位置と平行になるようにハンドルを回転させて設定していたのですが、レバーの向きは何とかごまかせても、ウィンカーのスイッチが上を向くとかなり操作がしづらい。
そこで、モノは試しでUNIT Garageの意図通りの角度にしてみた。
そしてこちらがバーエンドを下げてみた状態。
スイッチ類も適切な位置に来る。
すると、これがポジション的にも良かったのであります。
ハンドル位置が高くなるノーマルポジションを基準に考え、
できるだけグリップ位置を高くしたくなっていましたが、一旦そうした先入観を捨ててみると視界が開けた。
期せずしてメーカーが設定した「ハ」の字の位置がベストであることが分かった。
思い込みってダメですね。
立った状態で手を前に上げたとき、手のひらを水平に倒すと、
肘は横に出っ張るように曲がろうとする。
手のひらを小指に向かって少し傾けると肘は後ろに抜けるように曲がってくれる。
肘が外に出っ張らなくなると手首〜肘〜肩だけでなく、背中〜腰まで無駄な力が入らなくなり、
腕ではなく、腹筋と背筋で上半身を支えるようになる。
結果ハンドルを“こじる”ことがなくなる。
そのぶん操作にゆとりができて安心感も増えるし、何より疲れない。
骨格に対して適正な位置取りが施されているというワケだ。
これってレーサーレプリカのハンドルポジションの発想と同じ。
もちろん、手を伸ばしたところにハの字で位置するノーマルのリーチバーのポジションの方が更に長距離で疲れないのだろうが、ドラッグ・ポジションであれば限界は高くないにしても、コーナリングもそこそこ“攻め”て峠道だって楽しむことができる。
実際にドラッグバーのポジションで長距離を走らせてみて、一番に疲れるのは両腕。
これはアクセル操作とクラッチ操作に由来する握力に関するもので、ポジションとはほとんど関係がない。
というわけで、見た目重視で選んだハンドルバーでしたので、
「これから何本か試していこう」とか思っていたのに、最初の一本目で“真打ち”に出会ってしまった。
あれこれ逡巡する楽しみが減ってしまったが、イキナリ出会ったベストをこれからたっぷり味わい尽くそうと思う。
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