再三申し上げている通り、
1800ccOHVボクサーの
エンジンフィールには大満足している。
走行距離が2,000kmを超えたあたりで
フィールが更に2段階スムースになった。
「プログラムなんじゃないか」
と思うくらいエンジンのゴロゴロとした
雑味がなくなり、とてもまろやかで
シルキーな肌触りに変貌した。
そもそもアップライトなハンドルバーを
低いドラッグバーに交換したことで、
レバーのタレ角が足らないことにつづき、
フルロック時にウィンカーとタンクが
接触してしまうなど、玉突き的に
あれこれと問題が発生したが、
のど元過ぎれば何とやら。
解決してしまった今となっては
それももう遠い日の思い出だ。
というわけで、ここらへんで一旦
R18のファーストインプレッション
をまとめておこうと思う。
重さにはすぐ慣れる。
これは最初に言っておかないと
ならないのですが、最初は憂鬱にすら
思えた車重にもすぐに慣れてしまった。
HP2 Enduroからの乗り換えだったので
尚のこと、R18の車重には、比較的体格の
良い方の私でさえ、当初は尻込みも
しましたが、何度か押し引きするうちに
すっかり慣れてしまった。
自己分析するに、やはり低重心のため、
押し引きの際にバランスを崩しずらい
ことが大きいのだと思う。
何はともあれ 品質感がヲタク的に高い。
ケースにしまってしまえば不要な
オイルのシーリングなど、
耐久性のリスクを冒してまで
開放型にして、高価なブラッククローム
が施されたドライブシャフトを見れば
一目瞭然、すぐに分かるとおり、
R18はかなりの“伊達モノ”だ。
それは、ハーレーのような
大陸的な大らかなものではなく、
ドイツ的な緻密なもの。でも、
ドゥカティのような、機能美に溢れた
レーシングクオリティではなく、
「魅せるための」高品質感の追求が
随所に施されている。
塗装してから削っているのか、
わざわざマスキングして塗装しているのか、
ボルトが当たる部分には塗装がなく、
素材のアルミ地がむき出しになっている。
細かい部分だが、こういうところがシビれる。
ある意味、ドのつく変態たちが
採算度外視で生みだしたR18には、
こうしたイースターエッグのような造作が
散りばめられている。
1,800ccの空冷OHVエンジンは すぐに熱ダレを起こす。
今年の猛暑では余計にその傾向が顕著
であったことは否めないが、
30秒の信号待ちを3回繰り返すと
ハッキリと熱ダレの症状が出る。
いわゆるオーバーヒートまでいくと
「すぐに停止せよ」の警告が発せられ、
場合によっては「ディーラーへ行け」
との指示が出て、オイル交換される
らしいが、私はそこまでには至っていない。
一気に秋めいてきた近ごろは
同じように信号待ちをさせても、
そのあと走ってエンジンに風を
当てさえすれば何の問題もない。
なので、真夏が一番の大敵。
1,800ccの空冷OHVエンジンは まさに官能機関。
排出ガス規制、それに伴う省エネ性能、
それらに対応しながら、
この先の数十年に渡って、内燃機関らしい
鼓動感を享受できるエンジンの開発。
その研究開発の先に、
その1,800ccエンジンを最大限に活かす
器としてR18が生み出されたものと思う。
280万円は確かに高価だ。
ただ、私はブランド料が上乗せされている
値段設定ではないと思っている。
この時代にローエミッションな
1,800ccエンジンを新規に生み出す
開発コストを横に置いても、
実車のディテールに目を配れば、他車の
同等機種よりも数倍コストが
かけられていることはすぐに理解できる。
私は充分「安い」と思う。
ただ、そのために、たとえBMWであっても
コスト配分は厳重に行われていて、
その最たる部分が「軽量化」である。
R18が、R5のオマージュであることは
様々なところで明かされているが、
もちろんR5は、日本で言うところの
「アメリカン」モデルでも
重量級クルーザーでもない。
開発陣はできることならもっと軽量な
車体に仕上げたかったはずだ。
高性能化に加えて
安全性、操安性、省エネ性、耐久性、
軽量化をして悪くなることなど一切ない。
軽量化はすべてにおいての最適解。
まさに百薬の長だ。
現代の技術、BMWの技術力なら
R18を軽量化しても、
乗り味が落ちることはまずあり得ない。
ただ、空冷1,800ccエンジン搭載車を
200kg程度に納めようとすると、
車両価格は600万円を超えてしまうだろう。
もしかしたらもっとかもしれない。
っていうか、それをしたら
同じヘリテージシリーズに属する
R nineTの立つ瀬がなくなるか。
重量感を正当化する手法として、
「アメリカン」タイプ、
つまりクルーザーにせざるを得なかった
ように思う。
そうすることで軽量化に関するコストを
大幅にカットすることができたのだと
私は勝手に想像している。
なので、私としては、
BMWの始祖として存在するR5を、
重量級クルーザーと解釈せざるを得ない
この大きな自己矛盾を、
どのようにして腹オチさせるのか、に、
R18とどう向き合うのかの
答えがあると思っている。
そのための方法は、
足回りのセッティングにあると
私は思っている。
その話はまたそのうちに。
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