オートバイ用 電熱インナー HEAT MASTER をつま先まで揃えてみた話

冬のツーリングには、凛と張った空気で自ずと身が引き締まるような、冬ならではの気持ちよさがある。
空冷エンジンにとっても、引き締まった酸素濃度の高い冬の空気の方が調子が良いのは言わずもがな。
ただ、そうと頭では分かっていても、やはり寒さの前にはぐっと腰が引けてしまうのもまた事実。

おっさんライダーにとって、冬のツーリングに電熱インナーがあるのとないのとでは、天と地ほどの違いがある。
若い頃はそれなりに我慢ができたようにも思いますが、よくよく思い返してみれば、どうしてもオートバイでないとならない用事以外に、真冬にツーリングに行こうなんて、若い頃でも思わなかったので、これはオートバイとの付き合い方がより明確になりがちなおっさんにとって、ほぼ通過儀礼と言っていいコトなのでありましょう。

といった大袈裟な言い訳は横に置いておいても、こうした便利ガジェットに目がない私でありますので、長いこと愛用してきたWIDDERの電熱ジャケットが、R18のCAN-BUSの許容する電力使用量を超えてしまい、使用できないことが発覚したタイミングで『HEAT MASTER LT インナージャケット』を手に入れた。

低電力使用量を謳うHEAT MASTERであっても、R18の電力使用量の制限に引っかかってしまうため、純正装備のヘラーソケットからではなく、少々気兼ねするバッテリー直の配線に変更する必要があったり、一筋縄ではいかない心配もありはしましたが、意を決して配線を変更して以降は特に問題もなく、快適に使いつづけることができている。

特に、途中の峠越えで積雪に見舞われた先日のツーリングでは、冗談抜きにほとんど命綱のような役割を担ってくれた。

という体験を経て、今年の冬はHEAT MASTERの『ヒートインナーパンツ』と、『トゥウォーマー』も手に入れ、鉄壁の防寒対策を施すことにした。

とか、例によって気張った言い方をしておりますが、この理由もまた半分嘘だったりする。
R18に合わせて手に入れた冬用パンツも、そしてブーツも、試着ができないフリマのサガで、ワンサイズ大きめのものを手に入れてしまっていた。
むしろオーバーサイズであることが、好都合となるということに活路を見出したというだけのお話。
私は腰サポーターを巻くこともあるので、特にパンツのウェストに関しては余裕があって良かったと感じている。

インナージャケットとインナーパンツのスイッチがこのように重なってしまうのは、この製品の数少ない悪い点。
そのぶん操作はとてもしやすいのですが、少々悪目立ちしてしまう。
オートバイに跨ってさえしまえば目立たなくなるのですが、降りた後が課題。
ちなみに、足先のウォーマーはパンツの電源と連動するため、トゥウォーマーだけを独立して使用することはできない。

使用電力量はジャケットが4A(アンペア)、パンツが2.9A、トゥウォーマーが0.7Aで、計算上7.6A消費する。
R18のCAN-BUSはアクセサリー使用量を5Aあたりでリミットとしているようなので、ほぼ同時にiPhoneの充電もしているバッテリーへの負荷を考えると少々気掛かりではあるのですが、それでもこの快適さは譲れない。

早速使ってみましたが、これはまさに鉄壁のディフェンス。
その日は埼玉で朝3℃、奥多摩で0℃ほど。それでも午前中にスイッチを入れたのは奥多摩に入ってからで、テストの意味もあり、インナーパンツ〜トゥウォーマーにだけスイッチを入れてみた。
もちろん“瞬暖”。1秒後には暖かさを感じ取ることができる。
ジャケットのスイッチを入れなくても他に暖かい箇所があると、そこに意識が行くことでそれで暖かさを感じることができた。
14時頃の河口湖のあたりでは、10℃程度あったようなのですが、電源を入れない状態で少々暑く感じるほどとなり、電源を入れていない状態でもそこそこの防寒性があることがわかる。
というように、スイッチを入れっぱなしにすることはほとんどなく、言ったような消費電力量の問題や、発熱素材の寿命を考えても、そうした使い方がベストだと思う。

明らかに気温が下がった夕方から、贅沢に上下ともにスイッチを入れてみた。
暖かいことを実感できているぶん、クルマよりも快適に感じられる。と言ったら言い過ぎに聞こえるだろうか。
ベッドで湯たんぽを使ったことのある方なら分かっていただけるかもしれないが、部分的に暖かいとその暖かさに神経を集中できて寒さを感じなくなる。
逆に、首、手首、足首といった部分に隙間風が当たったりすると、どんなに他が暖かくても耐えられなくなる。それと同じ原理。
なので、完璧に体を外気から断絶する必要がありますが、それさえできていれば、電熱インナーの快適さは、冬にオートバイを運転することへの概念が変わるほどのインパクトがあります。
もちろん同じ気温でも、高速道路を長時間走行したりすれば体感はまた違ったものになると思われますが、時速50〜70キロ程度で走っているぶんには、マイナス3℃くらいまでなら十分に対応できるだけのポテンシャルは感じられた。
もちろん、その気温になると路面凍結の恐れが出てくるので、現実的ではないのですが、そこまでの安心感が手札としてあることの精神的余裕にこそ価値があると思う。

ウィンタースポーツをされる方からみればそれくらいの気温、大したことないと思われるでしょうが、じっとシートに腰掛けているだけだと、この程度の気温が限界かと思う。
山中でマイナス3℃で身動きが取れなくなった状況を想像していただければ、体を動かしていることで体温を上げているということがよくわかると思います。

この冬の中期予報が発表され、比較的高めの気温となる予報となることが分かった。
今シーズンはあまり雪が降らないのかもしれない。
それならそれで冬の寒空の下、電熱の力を借りて意気揚々と走りに出かけたいと思っている。
こうしたガジェットによって、オートバイのシーズンオフをなくすことができる。
ということが分かっただけでも、元が取れた気がしている。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次