カブ散歩

まあまあ最近まで、一般道でも80km/hは出していないとオートバイを操っている感覚を得ることができなかった私が、今では60km/hで充分オートバイを楽しめるようになったのは、スピード感よりもエンジンの鼓動感を味わう楽しさを教えてくれたR18のおかげだ。
そうした下地ができたところに付き合いが始まったハンターカブは、さらにレンジの低い40〜60km/hを主戦場としており、それはズバリ一般道の速度レンジと合致している。
これまでは目を三角にしてスリ抜けや追い抜き(渋滞路では今でもしてますが)を繰り返していた私に、前走車について走ることの清々しさを教えてくれた。
それに加えてハンターカブは、一旦は縁を切ってしまった私とダートロードを、再び引き合わせる媒介ともなってくれている。

ハンターカブに外径の大きなブロックタイヤを装着したのは主に見た目のためですが、その裏にはもちろんダート走行への回帰の意味もあった。
ハンターカブのノーマルタイヤも125ccのオートバイをダートで走らせるには充分の性能ではありますが、玉砂利や泥道でのグリップ感を重視すれば、視覚的な心的効果を含めてこれくらいのブロックタイヤは欲しくなる。

ただ、フルボトム時に、大径化されたリアタイヤがインナーフェンダーの内側に当たるようになってしまった。
できるだけインナーフェンダーを残しておきたかったので、テスト走行を重ねながら少しずつ削っていたのですが、それではいつまで経っても埒があかなかったので、いよいよリアサスペンションを外しスイングアームをフリーにして当たる場所を目視で特定することにした(上の画像がサスペンションを外して再現したフルボトムの状態)。
すると、左右で当たる範囲が違っていることが判明。主に進行方向右側に強く当たっていた。最初からこれをやっていれば左側はもう少し残せたかもしれない。後の祭り。
結局、インナーフェンダーはここまで小さくなってしまった。
「ここまでカットするなら、いっそ全部取っちゃえばいいのに」と思うでしょうが、フレームやハーネスへの泥跳ねなど、表から見えない箇所の耐候性を考慮すれば、どんなに小さくなったとしてもないよりあった方がいいのであります。
さておき、これでサスペンションがフルボトムするような凸凹路でも容赦無く突っ込めるようになった。

私の住む埼玉は、そんなハンターカブの散歩道に事欠かない。
ここを『BMW HP2』で走っていたのだから我ながら呆れてしまいますが、そんな私としては、正直に言って125ccでは物足りないことこの上ない。「舗装路の走行性も高い450ccのオフローダーに乗りたい」とか、「ヒリつくようなパワードリフトをさせたい」とか、いい歳して今だに思ってしまう。
R18との時間も確保しないとならない私に、これ以上本格的なオフロードバイクを楽しむ時間を作るのはかなり難しい(置き場所の確保も難しい)のですが、それを棚に上げて考えても、騒音やら振動やらに晒されながら、本格オフローダーの性能を解放できる林道までの長距離移動は、考えるだけでゲッソリさせられてしまう。
それを考えればなおのこと、家を出て3分で済む近所の畦道で楽しめてしまうハンターカブの存在感は俄然高まる。
文字通りの散歩気分でハンターカブを走らせると、これがまた心底楽しいのであります。
そして、うちの近所にはハンターカブにはもってこいの道ばかり。どんな場所でもトコトコと走破してしまうハンターカブの頼もしさには目から鱗が落ちまくっている。

そんなハンターカブにブロックタイヤを組み合わせたことで、走破性は5割増しの印象。この程度のパワーならラフなアクセルワークをしてしまっても破綻する気配すらない。足付きも良く車体が軽いので転ぶ予感すらしない安定感。万が一側溝に落としたり、泥道でスタックしても簡単に引っ張り出すことができそう。
250ccでも躊躇するような、これまではとても入って行けなかった雑木林に分け行ってみたりもできる。

散歩のように近所の畦道を気楽な気分で流すだけでなく、なかなかのアドベンチャー気分を家のすぐ近くで味わっている。
私にはR18がいるので、ハンターカブで長距離ツーリングに出ることはまずありませんが、だからと言ってハンターカブでする長距離ツーリングを否定はしたりはしない。
このパワー感だからこそ、この速度感だからこそ、高速道路を走れないからこそ楽しめる長距離ツーリングというものもきっとあるはずだ。
そんなハンターカブが与えてくれる予感のようなものが、今のハンターカブ人気を支えていることがよく分かる。

そんなわけで、手軽に遊べるハンターカブは、埼玉在住のオジサンの気晴らしにもってこいのまさに走る滋養強壮剤なのであります。
次は荒川を30km程度北上する河川敷ツーリングに挑戦したい。とか、夢は広がっている。

そしてもちろん、ハンターカブは走るだけでなく、イジっても楽しい。
一旦のゴールを迎えたハンターカブのカスタム計画ではありますが、その後も細々とパーツ交換を続けております。
これもやめられないのでありますよ・・・
つづく

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次