リバースギアのリコール対策の件と、サービス・インクルーシブの今年分のサービス、それとカスタマイズの相談があってディーラーに立ち寄ったのですが、そのときにR18について、とても悲しいお知らせを耳にしてしまった。
R18に生産休止(もしくは中止)の可能性があるらしい
在庫限りでの販売は継続されると思われますが、ひとまず追加オーダーは受け付けないということだと思われる。
理由や今後の展開など詳細についてはまだ何も情報がないとのこと。
R1300GS用のパーツなど、供給が滞っているという噂も最近たまに耳にするので、R18を構成する主要パーツの供給体制の不具合などによる一時的な措置である可能性も考えられるが嫌な予感しかしない。
その背景としては、4輪車のブレーキシステムの欠陥による大規模リコール対策費用と、中国市場の需要低迷にトランプ関税などが主な原因と想像されるBMW本体の利益低下が挙げられる。それへの直近の対策として、二輪車部門に関しても一時的もしくは恒久的なラインナップの見直しが求められた。といったところが妥当なセンではなかろうか。
もしそうなのだとしたら、他のモデルにも飛び火する可能性もなくはないが、真っ先にカットの対象になるなんて、R18は世界的にもあまり売れてなかったんだろうなあ。
リファインやモデルチェンジではなく、エンジンをはじめとして、完全な白紙の状態から書き起こされたメーカー肝入りのブランニューモデルだっただけにBMWの強めの落胆具合が容易に想像される。
R18が真っ先に槍玉に上がったのは、そうした大きすぎた期待感の裏返しだったのかもしれない。

ちょうどディーラーには東京もターサイクルショーでも見た2025年モデルが到着していた。
私の2023年モデルと同じオールブラックモデルではありますが、その内容は更なるブラック化が進められている。


ハンドルバー、ヘッドライトトリム、ミラー、そしてエンブレムまでブラックアウトされ、マフラーも『R18 Roctane』と同様のブラックメッキが施される念の入りよう。
それに加えて、モーターサイクルショーの会場では気づかなかったがウィンカーもブラックアウトされるなど、改めて見直してみると、ほんと細かいところまでリファインされていた。
この2025年モデルがファイナルエディションになってしまう可能性もあるというわけだ。

それでもやっぱり、私のR18の方が何倍もカッコいいけどな。って、R18 Pureはそもそもカスタムベースとしての位置付けなのだから、カスタムされた私のR18の方がカッコいいのはある意味あたりまえ。
カスタマイズという実用性を超えた高い趣味性の獲得によって、この先の数十年間も生き続けるモーターサイクルの価値創造を意図して生み出されたのがR18だと思う。
ユーザーが積極的にモーターサイクル文化の創造に参加できる、そうしたムーブメントを起こすことがそもそもの狙いだったはずだ。
本来ならばカスタムベースとしてさらに安価な素のモデルを用意するべきだったのだと思うが、それをすれば60万円ほどの価格差しかない『R12』シリーズとカニバってしまうだろう。
何より、高級感の維持に加え、安全性や荷物の積載能力にタンデム性能など、長距離ランナーとしてBMWが自らに課したある種の呪縛もそれを許さなかったのだろうと思う。

つまり、「カスタマイズ」というモーターサイクル文化を根付かせるためのベースとなる素のモデル、Pureを売るためには、「盛る」のではなく「引き算」の方向が好まれるカスタムビルダーの世界観とは真逆となる、豪華装備のクルーザーとして販売するしかなかった。

私は純正のボバーキットがなかったらR18を購入しなかったし、万が一、豪華版クルーザーが欲しいなんてことになれば、いかにBMW推しの私であっても迷わずハーレーを買っただろう。そして、こうした嗜好性や傾向は私に限らない世界的なものだったはずだ。これはマーケティングに長けたBMWらしからぬ見誤り方だ。

R20よりも、まずはカスタムビルダーたちが描く世界観に倣いながら、BMWらしい純正カスタムモデルをラインナップに加えるべきだと提言させていただきたい。
ただ、ヘソの曲がったR18ユーザーの私にとっては、こうした展開はそれはそれで美味しい展開とも言える。
だって、もしこのままR18がお蔵入りなんてことになるのだとしたら、それってつまり2年間しか製造されなかったHP2同様に、リミテッドエディション(限定モデル)になるってことだもんね。
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