フランケンシュタイン

『シェイプ・オブ・ウォーター』『パンズラビリンス』の鬼才、ギレルモ・デル・トロ監督作品『フランケンシュタイン』。
誰もが知る人造人間、フランケンシュタインの物語は、シェイプ・オブ・ウォーターでは半魚人を、パンズラビリンスでは現実の裏側にある迷宮に棲む妖精たちを描いて魅せたギレルモ監督ならではの作品だとも言える。

優秀な人間の死体を新鮮な状態で組み合わせ、完璧と言える一人の人間を生み出す、悪魔の科学に魅入られた狂気の科学者フランケンシュタインの物語は、オカルトのジャンルとして描かれることの多かった物語ですが、デルトロ監督はそこに「創られた側の視点」を持たせることで、生まれた瞬間から理由もわからず忌み嫌われる側の苦しみについて描き、誰もが知る怪談を、悲劇的な物語として再構築していた。

余命いくばくもない病に犯された富豪がフランケンシュタインの研究を利用し、自らの延命を試みようとする。
そうした悪意の連携とちょっとした幸運によって、人造人間に命を吹き込む悪魔の研究は身を結ぶ。
死体に命を吹き込むことに腐心し続けたフランケンシュタインであったが、命を与えた後のことはまったくのノーアイデアで、果たして新たな命が吹き込まれた肉体が、どういった反応を示すのか、どういった生物になるのかまでは想像ができていなかった。
そうしたおどろおどろしい残酷なすれ違いによって、創造主と人造人間の果てしない愛憎劇が幕を開ける。

高い身体能力とともに高い知能も持たされた“造られた人間”は、想像以上の学習スピードによって、次々に自身の存在を理解していく。
フランケンシュタインには、そんな「彼」のことが「得体の知れない化け物」にしか見えず、自身の行為の愚かしさにただただ恐怖してしまう。
そうした自らが生み出した恐怖から逃げるように、「彼」と共に研究施設に火を放って逃げ出してしまう。

燃え盛る研究施設から、なんとか脱出した「彼」は、自身の存在理由と、誕生の秘密を追って旅に出る。
恐怖から逃げ出したフランケンシュタイン側から見た、事の顛末と、人造人間である「彼」から見た顛末とで2部構成とされ、人間の愚かさ、科学という究極の玩具の持つ危うさに加え、超自然の残酷さ、そして命の尊さを、じつにデルトロらしい視点から描いている。

恐怖の対象としての存在感と、強い人間味(生物のもつ愛情表現)のあいだを、時に醜く、時に美しく魅せるクリーチャーのデザインに凝り倒すデルトロ監督にしては、今回の人造人間の見せ方は少々期待はずれ。
デルトロマニアの私からすると少々美し過ぎ。
完璧な人間を作るのだから、見た目もでき得る限り美しくないといけなかったのかもしれないが、見慣れるのに時間のかかるような、もっとモンスターとして成立させて欲しかった。
といったところが減点ポイント。

(オススメ度:70)

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