久々のキャンプツーリング〜信州戸隠へ進路を取れ

キャンプツーリングに出かけるのは北海道以来なので2年ぶり。
とはいえ、北海道ではあまりの寒さにキャンプは1泊目だけでやめて宿泊に変えた。
9月の北海道ナメたらあかんぜよ。
しかもそのときは札幌のノブやショウちゃんに付き合ってもらったので、R18に乗るようになってからソロのキャンプツーリングに出るのはこれが初めて。
っていうか、キャンプツーリング自体が2012年のラリーイベント『Door of Adventure』以来。
そのときも多くの参加者とのキャンプだったので完全なソロキャンプツーリングとなるとR1200GSに乗っていた頃まで遡らないとならず、いつぶりかなのかすら分からない。

今回、そんな久しぶりのキャンプツーリングに行こうと思ったことに大した理由はない。
北海道に行くときに積載性の低いR18でもできるコンパクトなキャンプ道具を買い揃えたので、いつかきちんと使わないとなあ。とか、ずっと思っていたから。その程度の思いつき。

こういうときにパッと思い浮かぶのはやはり、通い慣れた長野。
近すぎてすぐに着いてしまうのはつまらないが、かといって明らかな遠出がしたいというわけでもない。
日帰り以上ロングツーリング未満。そうした気分に長野はピッタリ。
冬にスキー、スノーボードで滑っている場所に、夏にオートバイに乗って訪れるのはとても楽しい。
っていうか、真夏に涼を求めてオートバイを進めれば、おのずと冬に雪の積もる場所に行き当たる。
白馬でも良いのですが、春に滑りに行った時すでにまるで団地のようにテントが並んでいるキャンプ場を見ていたので、わざわざそこに入って行く気は起きない。
あとは斑尾や野沢温泉も候補に挙がったのですが、今回は美味しい蕎麦を目当てに戸隠に行くことにした。

日程は7月最後の日曜〜月曜。
混雑を避けて、できれば両日とも平日に動きたかったのですが、残念ながら諸々が整わず。
まあ出かけられただけでもヨシとしよう。

まだ気温が上がりきっていない朝8時に家を出たのですが、それでも十分暑かった。
本当は『志賀草津高原ルート』を抜けて長野に入りたかったのですが、雨雲レーダーを確認すると、ちょうどそこだけ積乱雲が発生していた。しかも、ちょうど通過予定の12〜15時だけ雨予報。
上の画像は小諸から嬬恋方面を眺めているのですが、そこだけ重い雨雲がモックモク。

というわけで、雨雲を南西側に巻いて避けるように軽井沢を抜けて、いつも冬にクルマを走らせている『浅間サンライン』を走った。

上信越道を長野方面に向かって走っていると、小諸I.C手前のトンネルの上に見えるモダンな白い建造物を見ることができ、ずっと気になっていたので今回立ち寄ってみることにした。
そこは浅間サンラインから数百メートル入っただけの場所で『小諸高原美術館』という美術館でありました。
しかも小諸市内を見渡せるナイスビューな場所でもあった。

サンラインを小諸の先で右折し北上。菅平に抜ける。
菅平はスキー場だけでなく、夏合宿でも有名な場所ですが、この日も中学、高校、大学、社会人と、あちこちに点在するラグビー場で汗を流す多くのラガーやサッカー選手たちで賑わっていた。

菅平を抜け小布施に入る。

シートをタンデムシートの『SPORTAIL』に代えたのは、ここに荷物を積みたかったから。
宿泊前提であればタンクバッグだけで済むのですが、キャンプ道具を運ぶとなるとこのスペースが欲しくなる。
今回初めてキャンツー仕様となったR18。
タンデムシートにキャンプ道具を詰め込んだ30Lの『Kriega US-30』、タンクに『US-10』を取り付けた。
『SPORTAIL』のフレームに取り付け用のストラップが仕込みやすいのでとても助かる。
余計な荷物は積まずに、シンプルに走らせようと思い手に入れたR18ですが、この旅仕様もなかなかに良い感じ。

Kriegaのドライパックシリーズは組み合わせることもできるので、その気になれば容量を増やすこともできるのですが、R18の見た目を考慮すれば、30Lひとつ程度でやめておくのが適度に感じる。
キャンプツーリングとなると持って行きたい道具はどんどん増えてしまうので、逆に「これに入るだけ」と制限できるのはいいことだ。

そんなわけで、今回は心を鬼にして、テント、寝袋、ランタン、アウトドアチェアと、道具は必要最低限。
食べ物は現地調達。お湯を沸かすバーナーすら持って来ていない。
キャンプの楽しさに占める夜の食事の割合はとても大きいと思いますが、私の場合キャンプはあくまでも旅の中継点、もしくは折り返し地点で眠るためのものでしかないので、食事は外食で済ませ、キャンプ場では酒が飲めて寝られればそれで良いのであります。

言ったようにR18にこれだけの荷物を積載して走らせるのは初めてだったのですが、そんなこと忘れるくらい、全くと言っていいほどハンドリングへの影響はなかった。
私のR18はリアセクションのパーツがほとんど取り払われているため、それなりにリアが軽量になっていることもありますが、350kg近い車体重量に、このロングホイールベースなので、多少荷物が加わったとてさしたる違いなどあるはずもない。

信濃町を抜けて戸隠に入ろうかと思っていたのですが、少々早く着きすぎた。
早めにキャンプ場に入ってゆったり過ごすのもいいのですが、それも勿体無い気がして、どうしたものかと地図を眺めていたら、ずっと気になっていたけど行けてなかった場所を思い出した。

『野尻湖ナウマンゾウ博物館』。
国道沿いにもナウマンゾウの像が飾られたりして、野尻湖とナウマンゾウに縁があることは知っていたのですが、なかなか立ち寄るまでもなかったため、私の中でそれは長いこと謎のままの存在でありました。

地元住民がたまたま見つけたナウマンゾウの歯の化石をきっかけに、本格的な発掘がはじまったのだそう。
そうして古代の野尻人がここをナウマンゾウの狩り場にしていたことが判明。
いまも発掘作業は進められているという。
ちなみに、ナウマンゾウの「ナウマン」とは、1881年に東京帝国大学の地質学教室の初代教授だったドイツのハインリッヒ・エドムント・ナウマンに由来しているのだそう。
博物館じたいは大した展示物もない寂れた感じではありましたが、それでもなんでも強いロマンを感じられるので、私はこうした場所を訪れるのが好きだ。

せっかくなので野尻湖畔にもよってみた。

実は野尻湖には冬にも寄り道したことがあって、こちらの画像はそのときのもの。
観光客で賑わう夏の景色とは180°違い、誰もいない寂しさが心に染みる寒々とした景色ではありますが、これはこれでたまらない魅力を感じる。

食料を買い込んだ野尻湖の近くのコンビニで、この晩の『戸隠キャンプ場』の予約をとり、そこから30分ほどで現地に到着。テントを張っていたらウェルカムシャワーのような天気雨。これもまた心地よい出来事。

出発の前日にこのキャンプ場のことは調べてはいたのですが、ネット予約ができるのは3日前まで。日曜日の夜だし、予約はなくても問題ないだろうと思い現地で予約を入れることにしたのですが、そのため利用料に関してはよく分かっていなかった。のでありますが、なんと!

フリーテントサイト一泊料金とオートバイの入場料、併せて4,000円!

電話口で「冗談でしょ?」と言いそうになったが金額を聞いて「じゃあやめます」ってのも気が引けたし、これから他に電話を掛け直すのも億劫だったのでもう仕方がない。
すぐ隣に『戸隠イースタンキャンプ場』があり(同じキャンプ場に見えるくらい本当に真隣りにある)、ホームページを見るにそちらの方が質素な印象だったので、何となく「こちらの方がお安いんだろうな」とは感じていたのですが、案の定、そのイースタンの方が安かった・・・
私はソロキャンプなので割が悪いということもあるが、とはいえ「いいとこ1,500円くらいだろ」と、勝手に思い込んでいたので時代の変化が一番の原因。調べてみると、関東圏のキャンプ場はだいたいこんな感じの値段設定がされていた。浦島太郎状態。
余計な大荷物を運ぶことを含め、極めてコスパが悪く感じてしまうのも昭和世代の悪いところか。
キャンプはもう貧乏旅行のためのものではなく、贅沢なエンターテインメントなのであります。

戸隠神社中社の近くにある『戸隠神告げ温泉』まで移動してひとっ風呂。大人一名700円。
猛暑日にオートバイを走らせた後の温泉もまた格別。ガチに生き返る気持ちよさ。
実はここで夕食に戸隠蕎麦をいただく予定だったのですが、残念なことにこの日の夕食はすでに終了してしまっていた。戸隠キャンプ場の売店は17時まで。もちろんこの山の中にコンビニを含めて代替案はない。行楽地の日曜の晩ってそういうものだ。
こういうこともあろうかと思い、食べ物は買って来ておいたのですが、今回は戸隠蕎麦が目当てだったので、とてもトホホな展開。

キャンプ場に戻る道すがら、戸隠スキー場に寄り道。
夏のスキー場ってなんかすてき。滑ったことのある斜面ならなおのこと。

戸隠蕎麦は食べられなかったが、おかげで陽のあるうちから愛車を肴に一杯やれた。
こうしてじっくりと愛車を愛でることはオートバイ乗りにとっては至極の時間。
確かにキャンプ場代は高かったけど、これは高級ホテルでも味わえない時間だ。
これを目的にまたキャンプツーリングに出かけようと思えるくらいの素晴らしいひと時となった。

ソロキャンプの醍醐味は、徹底的に一人であることを感じられることだと思う。
文字や言葉にすると寂しい感じがしてしまうが、ひぐらしの鳴き声や、風が葉を揺らす音に耳を傾け、赤く染まる空や、黒く塗りつぶされていく木々を眺めていると、究極的に思考が研ぎ澄まされていくのを感じられる。
イヤホンから流れるジェフ・ベックがやけに沁みる〜〜

(つづく)

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