なかなか一緒に滑ることができないTくんから日帰りスキーのお誘いをいただいた。
それでは、と、お互いに集まりやすい片品で、中でもスキーヤーズ・ゲレンデである尾瀬岩鞍を滑ることに決定した。

朝8時の営業開始に合わせてTくんと合流。
朝からスキーするのはかなり久しぶり。
なのですが、ここのところ全国的に日中は昇温傾向にあったので、朝イチのコースはカッチカチのアイスバーン。
この日は晴天の予報だったのですが、斜面が緩むまではスキーじゃないとかなり厳しいコンディションだったのでむしろスキーにして正解だった。
そしてこの日はアイスバーンを警戒してエッジを強く雪面に噛ませやすい『MAXI GT』を連れてきた。つぶしの効くレンジの広さが魅力のスキー。楽して得とれの精神。

まずゴンドラで上がり、あえて『ミルキーウェイ』には行かずレストラン『オクタ』の方に滑り込んだ。
ヤバい。ガチで凍ってる。
ピステンの凹凸が電動マッサージ機のように足から全身に伝わってくる。
コーデュロイがむしろ邪魔に感じるが、この硬さだとピステンがかけられていないボコボコの斜面だったら、まともに滑ることはできなかっただろう。


個人的にスキーで滑る尾瀬岩鞍の最大のハイライトだと思っている『国体女子コース』を滑る。
やっぱりカチコチだ。
この曇天を見るに、どうやら太陽は出て来る気がないようだ。つまり、終日カチコチ決定。
「柔らかくなるまで我慢」なんていう邪な考えが消え、むしろこれで肚が据わった。
目の前のアイスバーンを楽しめなければ今日と言う日が無駄に終わる。
そう思えるだけまだマシだ。
ひたすらにカチコチと格闘する隣のスノーボーダーがあまりに不憫に思えてしまう。
エッジとサイドカーブにできる限りの荷重を架けて凍りついた雪面を捉える。
堪えきれなくなったらテールをドリフトさせて溜まった荷重を減速方向に解放させる。
ただし、解放させすぎるとスムースに次のターンに荷重を移動できない。
あくまでも縦方向にラインを繋ぐイメージで膝が伸び切らないところで全てを処理する。
なんてことをやっていたら一本滑っただけでモモ筋の乳酸が爆発する。

実はこの日『MAXI GT』以外に『Butterknife』も持って来ていた。
今シーズン新たに手に入れた「GENIUS NarrowがあればButterknifeはもういらないかも」なんて話をしていたら、TくんがButterknifeに興味を示してくれたので乗ってもらおうと思ったからだ。
まずはミルキーウェイを一本、自分でButterknifeで滑ってみたのですが、さすがにMAXI GTのすぐ後に乗るとかなりのギャップを感じる。
特にこの日はエッジを立て気味にしてターンの外側から荷重する滑り方を繰り返していたので、同じ乗り方でButterknifeに対してしまうと、傾けた体軸を元に戻せないほどドリフトしたまま真っ逆さまにズレ続けて行ってしまう。
あくまでも体軸はスキーの上に維持し続けて、体ごとドリフトさせないとButterknifeを抑えきれない。
「こりゃあさすがのTくんでも乗り切らんかもしれんな」と、この日のアイスバーンを呪ったのですが。




なんか普通に乗れてるし。
しかも「面白い面白い」言ってくれている。
フルロッカーまで我を忘れていない、あくまでも基礎スキーの範疇で、自我を保っているところがButterknifeの面白いところ。
スキーを倒しづらくエッジが架かりづらいぶん、ファットな幅を活かしてズラしながら雪面を捉え続けるドリフトターンの楽しさがダイレクトに理解できる。
もちろん、深雪で滑るのが一番にその特徴を活かせるのですが、それをアイスバーンでも引き出せるのであれば、どんな斜面でも楽しめる。エッジを噛ませて滑ることだけがスキーじゃない。自身のスキーの楽しさの幅も広がる。そういうスキー。
これからのザラメも超楽しいよ。


そのあと西山にも行きましたが、変わらずカチコチ。
ただ、こちら側まで来る人が少ないのか、雪面があまり削られてはおらず、まだ整ったサーフェイスが残されていた。
要は「硬い硬い」と文句を言っていた朝イチと同じ状況でしかないのですが、それでも「美味しい」と思えてしまうほど、すでに脳ミソはアイスバーンに麻痺してしまっている。

そしてこの日一番楽しかったコースは緩斜面のつづく『ロマンスコース』であった。
なんかホッとするわ〜〜〜って、前にもあったな、こんなこと。デジャヴ??
というルーティンを過ごした頃に5時間券を使い切った。
たまにはこうして一日スキーに興ずるのもいいね。
楽しかった。Tくん付き合ってくれてありがとう。
ButterknifeはそのままTくんに預けることにした。
と言うのは半分嘘で、もう家に置いておける場所がなくなっていたので厄介払いしただけだ。
さて。すっかり春だ。
気がつけばあと数週で今季の営業が終了してしまうスキー場も出てきた。
斜面が美味しいザラメになるにはもう少しかかりそうですが「そろそろバックカントリーの準備をしないといかんですね」と、Tくんと話してこの日は別れた。
帰ったらシールの確認しなきゃなあ。
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