建国記念日の飛石連休は、最強だけでは飽き足らず、いよいよ「最長寒波」が登場した。
これまで警報級の大雪に反応して深雪をいただいてきた私でも、今回の最長寒波は強風と吹雪を伴っており、これまでのようにはいかない予感がビシバシと伝わってきている。
君子危うきに近寄らず。嫌な予感がしたら素直に行動を差し控えるようにしている私は、土曜日は動かず、日曜日から出かけることに決めた。
新雪狙いであれば八海山でも良かったのですが、順番的に妙高方面に行きたい気分。
となれば、行き先は前回素晴らしいパウダースノーを満喫した良い思い出が、私の脳みそに痛烈に焼きついている斑尾高原だ。

この日もいそいそと下道で斑尾を目指す。上の画像は渋川市内。
この前日の正午から関越道は渋川伊香保IC〜六日町IC間で上下線とも通行止めになっていた。
関越道の通行止め区間と並行する国道17号の三国峠では、雪崩が発生し100台以上が立ち往生、同じく通行止めとなっていた。もし八海山を狙っていたら下道を使う私でも見事にハマっているところでありました。
そして、結果的にこの日の私の道中で一番降雪量が多かったのは群馬県内であった。群馬県内でこれだけの雪が降ったところに出くわすことは滅多にない。さすがは最強・最長寒波と言ったところか。
斑尾までの道中では、国道406号線の鳥居峠と、菅平から須坂に抜ける峠部分が最難所箇所となる。それよりずっと手前の渋川でこれだけの降雪に見舞われると、北側に位置するそれらの峠は更に状況が悪化する可能性が高い。場合によっては一旦南下して上信越道に迂回を余儀なくされてしまうかもしれない。
とか、かなりビビっていたのですが、結果的には万座鹿沢口を過ぎた辺りから雪の勢いは弱まってくれたので、以降はほぼいつも通りにクルマを走らせることができた。
それにしても渋川の辺りであの降雪量はなかなかない。いつもより寒波の張り出し方が東に傾いているということか。同じように大雪大雪と警報が出ますが、状況はその都度変わる。

こちらは豊田飯山IC近くにある道の駅の朝6時の状況。
昨晩こちらに到着したのは0時前。約6時間でこれだけ積もった。
ほぼ想定通りの積雪。また今回もパウダースノーをゲットした様子。朝からアガルわ〜

夜中のうちに斑尾の駐車場まで上がってしまうテもあるのですが、二輪駆動の私は除雪されていないと遭難する可能性もあるので、特に降雪量の多い日はスキー場への最終区間を除雪の済んだ朝に移動するようにしている。
豊田飯山ICから斑尾高原スキー場までは『まだらおの湯』方面から上がる道と、県道97号線とがあり、まだらおの湯から上がったほうが近道なのですが、そちらは通行量が多く、しかも勾配が急な箇所が多いため私はいつも比較的なだらかな道がつづく県道から上がるようにしている。
とはいえ、県道側でも勾配のある場所で前走車にスタックされて1秒でもクルマを止めようものなら、もらいスタックしてしまう。兎にも角にもクルマの勢いを保ち続けることが最も重要なタスクとなるためできるだけ空いている時間に通過してしまいたい。
画像には前方に観光バスが写っておりますが、追いついてしまった時はかなり肝を冷やした。
平らな場所で一旦止まって間隔を開けてから追いかけることも考えましたが、もちろん後続車が追いついてきて、そっちがノロノロ運転であるリスクもある。すると、バスの運転手はどうやらこちらを認識してくれたようで、ペースを上げてくれたためことなきを得た。

というわけで、斑尾にて『SLASHER II』での進水式ならぬ、“進雪式”と相なった。
本来進水式は新造船で行われる儀式なので、厳密には中古で手に入れたスノーボードの場合は当てはまらないのですが、私の思いとしてはそれくらいの期待感を持って臨んでいると受け取っていただきたい。
実際にSLASHER IIを手に取ってみると思ったよりもフレックスは硬めだったので、バインディングは『TTミズメヒノキ』で使っている『UNION FORCE』にしてみた。アングルは前+27°、後+3°からはじめましたが、あとでTTと同じ前+30°に修正しました。
「間違いようのない」予感もあるし、ある程度の勝算もないではないが、「あってもいいけど、なくても良かったかも」なんてことも充分あり得る。果たして彷徨う私の福音となるのか、はたまた、ただの無駄遣いで終わるのか。

この日の斑尾は朝のうちは一瞬晴れ間も覗いたのですが、すぐさまゴン降りに戻った。
朝のうちは雲間から陽が差し込んでゲレンデが明るくなることもあったのですが、すぐに重い雲に覆われてしまった。そのため気温はかなり低くなった。

降雪後の日曜日、非圧雪コースで鳴らす斑尾が空いているはずもなく、外国人を含む多くのハンターたちで賑わっていた。
ちなみに、前回も紹介させていただきましたが、斑尾ではEarthHopperのリフト一日券を、自動発券機で発券せずに窓口で発券させた方がタングラムも滑れる「マウンテンパス」になるなどお得になる。自動発券機で発券していればポールポジションのタイミングでやって来ているのですが、窓口が開くのを待ってから並ぶとこのあたりになってしまう。とはいえ背に腹は代えられない。

んで、いきなりですが、クワッドリフトを降りてすぐの『Crystal Bowl』でこの日の一走目から新雪をいただいた。
初めて乗るSLASHER IIなのに、圧雪も試さずにいきなりの前線投入。
SLASHERにはバックカントリーであればこれだけの深雪でも乗ったことはありますが、これまでスキー場のしかもツリーランでは乗ったことがなかった。圧雪斜面での反応はそこそこ想像できていましたが、深雪のツリーランでどういった反応を見せるのか、この際ぶっつけ本番。つまり、一番確認したかった場所に一番最初に来てしまったわけだ。
というわけで、いきなり結論となるわけですが、ノートラックのパウダースノーで乗るSLASHER IIの操作のしやすさ、走りの良さにいきなり感動することとなった。
“スラッシャー”の名の通りに、圧雪でのテールのヌケの良さがあるのですが、新雪だとフォールラインへのヌケの良さ、縦に走る性能の高さが現れてくれた。ツリーランでも縦に落とせる限り操作性もかなり高く、木と木の間を流れるように走り抜けられる。
ただし、縦に落とすことのできるノートラックもしくはトラックの少ない斜面でなら・・・という但し書きがついてしまう。
その日の核心部となる場所では、いつも写真を撮っている余裕がないため、映像をお見せできないことが心苦しく思っていたので、久しぶりに動画を撮ってみた。
第13リフトが動き出すまで、まずは第15リフトから『Powder wave 2』の下側を滑った時の映像。
※音楽が流れますのでご注意ください
同じ場所でラインを横にズラしての2本目。
そして、第13リフトを上がって『Powder wave 2』を上から通しで滑った映像。
Powder wave2全線を併せて3本滑りましたがノートラックをつなげることができたのは最初の1本目のみ。
さすがに新雪の積もった日曜日の斑尾は混んでいる。


そのあとタングラムへ侵攻を開始したのですが、もちろんこの時にはすでに非圧雪コースはトラックだらけ。
なんとか1メートル平方程度の面ツルを見つけて当て込み作業に勤しんだ。
そして、この日はタングラムの方が更に混んでいた。どのリフト乗り場も長蛇の列。
非圧雪コースにアクセスするリフトも混んでいるため繰り返し回すことがかなり億劫になる。


ラインをズラしながら、なんとか踏まれていない面を探すも、そろそろ限界。


そしていよいよ森の中も圧雪状態となった頃にSLASHER IIが苦手とする一面が顔を出しはじめた。
言ったようにいい具合に縦にヌケて行ってくれるのですが、ここまで圧雪が進むと、向きを変えたところから斜滑降に走り出してしまうためスピードコントロールが難しく、次のターンのキッカケが生み出せない。そうなるともちろん木に向かって突進してしまうのでかなり怖い。上手い人ならターンは最小限にして木と木の間をまっすぐすり抜けて行ってしまうのでしょうが、私がやると後半に辻褄が合わなくなり、結局木に激突してジ・エンドがオチだ。
こうした場面では『MOSS Q545』の方が断然扱いやすい。もちろん私ではQ545でもまっすぐに滑り抜けることはできませんが、こうした場所でも右に左にショートターンができるぶん回避能力は高い。

綺麗なピステンを滑らないとSLASHER IIに関しての結論は出せませんが、深雪斜面での躾けに関して言えば、ツリーランでは踏み荒らされる前までがテリトリーで、そこでの官能性はかなり高い。
そうした状況で同じく高い官能性を発揮する『MOSS Q57』が、ボードセンターから感じる強力な浮力を感じさせながら雪上を飛ぶようにターンしていくのに対して、SLASHER IIは同程度の浮力を感じさせながら、縦方向へのヌケの良さを活かしてトップから落ちていくイメージ。その時にスリリングさはほとんどなく、安定した状態で新雪を捉え続けてくれるので、安心して操作に打ち込める。サーフボードで言えば、ミッドレングスの中でもマニューバーを得意とした“速いボード”という位置付けになるか。
好きにマニューバーを描けるようなオープンバーンなら、SLASHER IIはかなりヤバい。
もちろんそう言った場面ではTTもヤバいけれど、SLASHER IIはTTよりも、そのヤバさを楽しめる余地が多く残されている。
ただ言ったように、トラックが強く踏み固められてきた頃に、林の中など好きにリズムを刻めないような場所でのショートターンはかなり苦手。その場合はそこを無事に抜けることに注力した方が怪我がない。

結局この日も15時までスノーボード一本勝負。
コースはどこもカッチカチのボッコボコになってしまったので、SLASHER IIを整地されたバーンで試すことはできなかったのですが、概ねSLASHERと同様の手応えは感じられた。
綺麗なコーデュロイを滑れる日を楽しみに待つことにしよう。
それにしても、今シーズンの新雪率の高さと言ったらない。
いつも以上に整ったピステンバーンを滑ることの貴重さが浮き彫りになっている。
先週の白馬では新雪を狙って外しましたが、おかげで足応えの良いピステンバーンをTTで堪能することができたわけだが、SLASHER IIを最初に試すのに適任だったのはまさにそこだった。
今シーズンはきれいなピステンバーンの希少価値が高い。

『大湯』の駐車場が一杯で入れなかったので、妙高高原の駅寄りの旅館で温泉をいただいてから、この日も『山の家Cafe』でディナー。
『グリーンカレーと牛すじカレー』をナンでいただいた。実に美味い〜〜
寒波のピークは越したとのことでしたが、この時間もまだモッサモサに雪が降り積もっている。
車中泊の私にとって、降雪の多さはむしろ夜の行動に大きく関係してくる。
明日も降り続いたらヤだなあ〜とか思うと、どうにも不安な気持ちが拭えず落ち着かない。プチ災害体験。
一杯飲ってさっさと寝よう。と思い、Amazonプライムで映画『ハケンアニメ』を観はじめたら、そのまま全部観てしまった・・・何が落ち着かないだよ。
さておき、明日は久しぶりに妙高杉ノ原を滑ることにしよう。
SLASHER IIを杉ノ原の整ったピステンバーンで味わいたいのだが、さてどうなりますか。
(つづく)
コメント
コメント一覧 (2件)
おおー!Gentem仲間と金土で斑尾行ってました~
一日ズレれば遭遇していたかもしれませんね!惜しいっ!
土曜の帰り車がすごい事になってました、更に降ってたので日曜も良いんだろうなぁなんて後ろ髪惹かれながら帰った記憶があります
斑尾のスーパークワッドは終日混んでいたので、待ち無し第2クワッドに乗ってカモシカエリアパウダーを食べまくってました。なぜか穴場になっててあまり人が来なくて最高でした
あとタングラムの方が空いてて楽しかったです
どこかで遭遇する事を楽しみにしてます、ちなみに今週日月でシャルマンに行きます
おおっと!ニアミスでしたね!
斑尾って降ってない時はいたって普通のスキー場なんですけど、積もると激変しますよね。
当たり外れが大きいのですが当たるとホームラン級なので
あまり降っていない日でもつい賭けに出て行ってしまいます。
シャルマン!いいですね〜〜遠くてなかなか足が向かないのですが、ぜひ楽しんできてください!