2年ぶりのバックカントリーだ。
バックカントリーに出るのは久しぶりでなくても毎度緊張するのですが、2年ぶりとなればその緊張感は倍加する。
今シーズンはこれまでに一度だけ雪板のために40分程度のハイクをしたのですが、私の登りのための筋肉はすでにボロボロに衰えていたことが発覚した。
果たして登り切れるのだろうか。と、心配しかない状態では楽しいものも楽しめない。
実際バックカントリーに出る回数は年々減ってきてしまっている。バックカントリーを私の中のブームで終わらせないためにも、ここで仕切り直しが必要だ。
とはいえ、バックカントリーに出る回数を昔に戻そうとか考えているわけではない。
オートバイでするツーリングのように、もっと身近な距離感で山と向き合えるようになりたい。
そんな、前向きな気持ちに火を入れ直すには、積雪の豊富な今シーズンはうってつけだ。
そして、今後のバックカントリーとの付き合い方を占う試金石として、かぐらというフィールドもまた私にとってうってつけだ。
というわけで、ほとんど自分の体力の確認のためにかぐらにやってきた。
Tくんとは「ゴールデンウィークにもどこかに登ろう」という話をしていて、実はそちらが本丸。
今日はその日のための足慣らしなのであります。
この日の行き先については何ヶ所か候補があったのですが、結局行き慣れたかぐらにしたのはやはり、楽しみよりも心配の方が上回ったから。ただ、諸々勝手が分かっているので、現場の状況を見ながら出たとこ勝負でルートを決められるのは練習にはもってこい。

朝一のロープウェイ乗り場は例によって混雑していた。相変わらずかぐらスキー場は人気だ。
久しぶりだったのですが、リフト券がICチケットに変更されていた。
ただし、みつまたから上がるにしても、田代から上がるにしても、ロープウェイを使うしかないので、ICチケットをタッチする改札はロープウェイ乗り場にしかない。なのでリフト乗り場は相変わらずチケットフリー。ICチケット化するのは逆にもったいなくないか???
さておき、雪の多さがモノスゴい。
このみつまたのコースをゴールデンウィークまで滑り降りることができるように、いつもこの時期にはコースの端に雪を寄せて1mほどの高さになる雪の土手道を作っておくのですが、コースの全てがその1mぶん嵩増しされている。
この残雪量なら人手不足を除けば5月いっぱいまででも営業できるんじゃなかろうか。


この時期になると雪があるのはコースだけになるのですが、ご覧の通りにスキー場の景色もトップシーズンのもの。
この日を選んだのは、忙しいTくんの都合だったのですが、この日にしたことはむしろ好都合。
狙ってもこんな良い日に当たらない。
大正解の大快晴!
まずは登山ゲートにつながる第5ロマンスリフトが動き出すまで、足慣らしに第1高速リフトを回すのはいつものルーティン。とはいえ、ハイク開始前に体力を使い過ぎるのは禁物。ほどほどにしておきたいのですが、2年のブランクのためその塩梅がよく分からない。


進行方向を眺めると、南斜面は皺々。中尾根にはいつも以上に大きなクラックが口を開けていた。
バックカントリーエリアの積雪もトップシーズン並み。
春だからと油断せずにいつも以上に気を引き締めてまいりましょう。

第5ロマンスリフト、通称5ロマが動くのと同時にリフトに乗り込んでゲートへ。
これだけのBC日和なのだから当たり前なのですが、ゲート前は多くのBC愛好家で賑わっていた。
皆さんどこに向かわれるのか、聞き耳を立てて情報収集にあたる。


ハイク筋の心配もさることながら『GENIUS Narrow』で登るのはこれが初めてだった。
っていうか、問題になるのはむしろ『SALOMON SHIFT』の方。
まあ試してみなけりゃ何も分からないので、この日は体力の有無の確認と併せて道具に関してもテストデーとさせていただく。


10時前にハイク開始。
夜のうちに降雪があったようで踏み応えがやたらいい雪。
表面の汚れもなく雪中の水分量も多くなさそう。想定外のスプリングパウダー!
そんな雪の状況とは裏腹にハイクの方はかなり苦しい。
足、腰、膝も辛いが、それ以上に心肺の方が追いついていない。森林限界も越えないような高度で高度順応って要るんですか???
SALOMON SHIFTに関しては、事前チェックの時に感じていた通りの使いやすさの方が際立った。なかなか良くできている。
気になった点としてはハイク時の装着時にブーツのテックピンホールの位置が見えづらいため、位置決めにはまあまあ慣れが必要だったことが挙げられるが、これはテックピン全般に言える話。滑走時がステップインで煩わしさが一切ないため余計に際立って感じるだけのことだろう。
ヒールリフターが一段しかない件に関しても、直登する時に高さが少々物足りなく感じたくらい。
私はスキーを斜面に斜めに差し込みながら歩く斜行があまり好きではない。むしろ踵への踏み込みのしやすい直登の方が好きだ。特にこの日はシールに雪が付着してしまうくらいグリップが良かったので、直登日和だったこともあり、尚のことヒールリフターに高さが足らないように感じてしまう場面もあったが、斜行で登るぶんにはこの高さでカバーできるのではなかろうか。
「ヒールリフターは一段でなんとかする」と前向きにハイクを組み立てれば特に不安はないように思った。SHIFT2ではヒールリフターの高さが4mm高くされているようなので、それなら全く問題はないのかもしれない。



1時間弱で中尾根に着いた。ペースは悪くない。
といったことが分かるのも勝手知ったるルートだから。
ただ、あとから考えると、出だしのペース配分としては速すぎたように思う。
いつも通りの装備なのに、やけにバックパックが重く感じる。


出たとこ勝負とは言ったものの、他のパーティーの様子を伺いながら結局いつもの三角を目指す。
ただ、ゲートの看板には雪崩の危険性があるとして、三角を含めて南向きの斜面への侵入禁止の指示があった。
いつもなら三角のオープンバーンには数本の気持ちよさそうなトラックが残されているのですが、ご覧のように今年は南を向いた斜面は面ツルのまま綺麗に保存されている。誠にモッタイナイ。
スキー場自体はゴールデンウィークまで営業を予定しているのですが、このすぐあとにこの翌週の週末をもって5ロマと登山ゲートの終了が発表された。積雪が多すぎるのも考えものだ。

さておき、ゲレンデから眺めていても、三角の表面にはいつもと違う皺がよっていた。
近くで見ると、三角の頭頂部にはクラックに度重なる積雪によってできたと思われる巨大なクレバスができていた。


三角を登っていると、ちょうど向かいの苗場山からドロップしたスキーヤーが見えた。
苗場山はテント泊して日の出前に行動を開始しないとこの場所を滑れないガチのエクストリームライン。
超カッケー。
さておき、このあたりではまあまあへばってきていることが実感できたので、他のパーティーを先行させる意味も含めて多めに休憩を挟みながら進んだ。

そうして2時間ほどで三角の頂上に到着。
この頃には適度なクライマーズハイ状態。逆に調子が良く感じられてくる。
いつもなら三角の山頂から滑り込むところなのですが、言ったようにこの日は南側を向く斜面への侵入が禁止されている。「ならなんで三角を登ってんだ」と思われたことでしょう。
調子こいて三角のその先のエリアに足を踏み入れることにした。
「足慣らし」だったはずなのに!
といったところで、【後半】につづく!
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