2022年にも一緒に春の至仏山を滑ったマッチャン、ミナちゃんから、土曜日に至仏山に行かないかとお誘いをいただいた。ちなみに至仏山はこの金曜日から残雪期の山開き。
お誘いいただいたほんの数日前にかぐらの中尾根を『SLASHER Split』で滑っていたことが完全な前フリとなった。マッチャンもミナちゃんもスノーボーダーだし、これはSLASHER Splitで行くしかないでしょう!と、二つ返事で参加を表明した。というのは半分嘘で、実はこの水曜日に夏タイヤへの交換作業をしたのですが、その作業中に腰を痛めてしまった。19インチタイヤは誠に重いのであります。
腰を痛めた翌日にミナちゃんからお誘いをいただいたのですが、まだ痛みが残っていたため返事は金曜日まで一日待ってもらった。
木曜日の昼の時点で、屈伸はできるほどには痛みが引いていたので行くことにした。
二人は日曜日も至仏山を滑るということだったので、もう一日様子を見て日曜日にしたいところでしたが、日曜日には町内会の寄り合いがあって都合が悪い。何より、日曜の天気予報は下り坂で、土曜は間違いようのない晴天予報が出ている。
これはもう様子を見ている場合ではない。というわけで、残雪期の山開きをした翌日の4月18日(土)に至仏山に行ってまいりました。

朝7時の時点で戸倉のタクシー乗り場には15分ほどの乗車券購入の列ができていた。
ただ、9人乗り合いのタクシーを待つことはなく、乗車券を手に入れたらそのままタクシーに乗り込めた。
登山口のある鳩待峠までは20分ほど。

今年は至仏山の残雪もすごかった。
雪の壁で囲われた鳩待峠の景色は3年前とは大違い。

そんなわけで二週続けてSLASHER Split。
スキーの登行時の足下の安定感にしみじみしていたところだったので、 SPARK R&Dのバインディングにはハイバックと足をベルトで固定する『STRAPPY STRAP』を装着してきた。
ところで、3年ぶりとなるスプリットボードでのバックカントリーとなった浦島太郎な私ですが、ここ至仏山でのスプリットボードユーザーのKarakoram使用率の高さに驚かされた。
気がついた範疇だけですがSPARK R&Dを使っているのは私とミナちゃんだけ。我々以外は100%Karakoram。
こうなると意地でもSPARK R&Dを使い続けてやろうとへそ曲がりは思う。

8時前に出発。
それにしても良い天気。歩き始めて5分でもう暑くなってきた。
これで3週続けて土曜日にバックカントリーに出ているわけですが、この3日とも晴天に恵まれている!
なんという幸運。いや、この際言うが「強運」か。
いずれにせよ、自ら行動できる状況を作り出そうと思わないと手に入れることのできない幸運だ。
もちろん自由の効く気軽な身分であることが大きいとは思いますが、そんなお気楽男であっても、否、お気楽男だからこそ、バックカントリーというフィールドでの幸運を引き当てるには、心身ともに調整が必要になる。
やっぱり、遊びは歯を食いしばってでもやらんといかんのであります。


マッチャンとミナちゃんは「行きたい山を並べたら、簡単に一年分の休日が埋まる」と豪語する夏山も楽しむ山男&山女チーム。ちなみに、二人はこの翌日、そして翌週も至仏山をおかわりした・・・
そんな二人と組むパーティーだったので、体力不足に加えて腰痛のこともあり「足手まといになるわけにはいかない」と、緊張の参加だったのですが、至仏山は登りはじめにしばらくなだらかな斜面がつづくため息を整えやすいこともあり、心配をよそにサクサクと登ることができた。
やはり、2週連続で登っていたことが功を奏したようだ。
腰の方も違和感は残るもののハイクに問題が出ることもなかった。まずは一安心。
なったこともないくせに「ギックリ腰かも!」とか言いふらしていて、マッチャンにもだいぶ心配をかけてしまったのですが、聞けばマッチャンは何度もギックリ腰を経験している「ギックリマスター」でありました。
そんなギックリマスターに言わせれば、「ギックリ腰はこんなもんじゃありません」とのことで「疲労の蓄積が原因でしょう」と診断までしてくれた。この程度でギックリを名乗るなどおこがましいことでありました。

と、身体的には好調だったのですが、こうした見晴らしの良い山ならではの罠が待ち受ける。
富士山もそうですが、ゴールが見えつづけている大きな山ほど精神的にキツくなったりする。
ここ至仏山も、手前の小至仏山と奥の至仏山が、ハイク中のほぼ全行程で視界に入ってくるのですが、見えているのになかなか近づいてこないところが超歯痒い。



2時間弱でチューブ状の沢地形までやって来た。ここで最初の中休憩。
ここではスノーボーダーたちがツボ足でチューブ地形を繰り返し楽しむ姿が見られるはずなのですが、たっぷりと汚れの浮いたあからさまに滑らなそうな雪面は誰も寄せ付けない。
もちろん私は体力に心配があるため、ハナからここで滑るつもりはありません。
立山に行くようになって手に入れた『THE NORTH FACE CHUGACH 45』を長いこと使っていたのですが、1年のブランクを経て、体力の低下とともにバックパックがひどく重く感じるようになってしまった。
前回は勝手知ったるかぐらの中尾根までのバックカントリーだったので、13Lの『Rain or Shine SC PACK』で手軽に済ませたのですが、5時間近く行動する至仏山ではそうもいかず、久しぶりに『PLUS ONE WORKS SHUMARI 35』を背負ってきた。
グレゴリーやノースフェイスのバックパックを使うようになり、プラスワンワークスのバックパックの装備や内容に物足りなさを感じてしまい、以来全く使わなくなっていたのですが、ワンデイの場合はこれくらいのサイズがマッチしていることを再認識した。特に上下が短いぶん重量バランスが良いように感じた。
ただ、帰ってから改めて単体の状態で計量したらCHUGACHより重かった・・・思い込みって怖いな。
ってことは荷物の重量バランスを考えて荷造りすればいいってことか。
体力があった頃には気づけなかったことだ。と、前向きに捉えておこう。



小至仏山の目の前までやってきた。
しかし、ここで油断してはいけない。これも気を抜かせる罠だ。


遠くから見ていると短く見える小至仏山のトラバースがこれまた長い。
しかも緩んだザラメに登行ラインが刻まれているので足元がおぼつかない。いっそラインを外れてノートラックに切り替えた方がシールがグリップする。足を滑らせたら20メートルは滑落必至。
この日用意してきたSTRAPPY STRAPは、こういった時にエッジグリップが増して足下の安定感が高まる。

そうして小至仏山を越すと至仏山が目の前に現れるのですが、双子のように並んでいた至仏山までは、まだこれだけ距離がある。縮尺法の恐怖。

さておき、小至仏山から眺める裏側(湯沢方面)の景色。
この眺望の素晴らしさは、これまた写真ではなかなかに伝わらない。誠に残念。

3時間半で無事登頂。山男と山女チームがいつも山頂でするという「山」ポーズで記念撮影。
郷に入っては郷に従え。
というところでつづきは明日!
果たして、汚れが浮いている春雪に板を掴まれずに気持ちよく滑り切ることができるのか?
登り切ったら登り切ったで次の難問が降りかかる。
これぞバックカントリー。
(つづく)
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