『DUNE 砂の惑星』の続編。
その名も『PART 2』と、もはや説明も誇大表現も不要と、いたって端的だ。
今作はすでに世界中で絶賛されており、私も安心して劇場に足を運ぶことができた。
結論を先に申し上げれば「確かに素晴らしい」。
前作でも目を見張った映像美はもちろんのこと、物語の内容もとても分かりやすくされていた。
前回、映像美を愛でる時間を優先したような独特のテンポで話しを進めていたが、今回はそれと較べれば「ずいぶんと端折ってきたな」と感じさせるほど展開のスピード感が増していた。
ドゥニ・ビルヌーブ監督は『ブレードランナー2049』でも話のテンポが遅すぎるとの批判が多かったと聞く。
そうした声に意図的に対応したのかどうかは定かではないが、今回2時間46分だった上映時間は、本当は3時間超えだったのでは?と、いぶかしく感じるほど、PART 2の「巻き」の印象は強い。
それほどに前回と比較して「間」の取り方が変えられていた。
確かに前作は「高尚に過ぎる」とも感じたので、今回の修正は多くの方々を歓ばせるためのエンターテインメントとして正しい選択だったと思う。
ただ、私は前作の「間延び」と「行間」のギリギリを突いた絶妙な演出も決して嫌いではない。
たとえ4時間に及んでもフルスペックの“ディレクターズカット”の登場を願いたいところ。
誤解のないように言っておくと、2時間46分の上映時間は決して短くはない。
それがあっという間にラストシーンに辿り着いてしまうほど、内容は濃く、観る者を決して飽きさせない。
SF好きでなくても、PART2から観た方でも充分に楽しめる娯楽大作となっております。
ちなみに。
本作はIMAXを含む、いわゆるラージフォーマットでの鑑賞を強くお勧めいたします。
テレビなんてもっての外です。
(オススメ度:80)
気になる続編『PART 3』はあるのか?
ビルヌーブ監督は当初より「3部作である」と公言してきました。
言ったように製作されるか否かは興行成績による流動的なものと言わざるを得ませんが、PART 2の興行収入はオープニングの3週間で前作の倍以上を稼ぎ出しているので、PART 3も問題なく製作される運びとなるでしょう。
ただし、ビルヌーブ監督は「一旦この惑星から離れたい」とも公言しており、製作が開始されるのはまだまだ先の話となりそう。
PART 1と2は続けて撮影が行われたので、ここまでスムースに進みましたが、PART 3に関しては、ビルヌーブ監督の頭の中にはすでに構想はあるようですが、様々な契約面も含めて現在はほぼ白紙の状態のようですのでかなりの時間待たされることを覚悟しておいた方がよさそうです。
ちなみに、この3部作とは別にいくつかのスピンオフも計画されているとのことですが、ビルヌーブ監督はの参加は発表されていない。
PART 3は悲劇??
言ってみれば前作も悲劇だったワケですが、PART 2に希望を繋ぐ内容となっていましたし、実際PART 2はスターウォーズばりに分かりやすい救世主物語として終わりました。
ですが、原作の重要なコンセプトは「救世主の存在は、時に民衆にとって毒となる」ところにあるのだそう。
カール・マルクスが説いた「宗教は民衆の阿片」というのと同じことかもしれません。
そうした危険な匂いはすでに主人公ポール・アトレイデスの予知夢の中にも散見されていたし、何よりチャニがラストシーンでとった行動はその最たるもので、悲劇の予感はPART 2にも随所に散りばめられていた。
そうした危機感のような伏線を、PART 3では回収していくことになりそう。
そんな風に考えると思い出されるのは『マトリックス:レザレクションズ』。
救世主を信じすぎるあまり、時に判断を誤るモーフィアスと、フレメンのリーダーであるステルガーの姿がダブって見える。
そして、ネオの最期は誰もが知るところ。行き着く先は自己犠牲しかなくなる。
唯一の希望は未来を予知できるポールはすでに、自身の最期を知っているということくらいだ。
イエス・キリストのように、すべてを知った上でベストな決断を重ねているということだけだろう。
そう思ってPART 2を観るとまた別の感慨が生まれてきますね。
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