フェリーのタラップを駈け降りると
旅が始まるというのは、
気持ちのスイッチが入りやすく、
これ以上ない幕開けの仕方だと
いつも思う。
さあ出発だ。
長い一人旅の前に、札幌のノブ夫妻と、
ショウちゃん夫妻が、キャンプで
付き合ってくれることになった。
ノブの家に8時集合なのですが
フェリーが小樽港に到着するのは朝の4時。
そのまま遠方に走り出すには
良い時間なのだが、小樽から札幌だと
一時間もかからない。
というわけで、
朝里峠〜さっぽろ湖〜定山渓と抜けて
札幌に入るルートでまずは肩慣らしを
しておくことにした。
というのは半分嘘で、
単にすぐに走りたかっただけだ。
朝里ループ橋
まだ路面は乾いてはおらず、
所々にウェットパッチがあったが、
朝霧のかかる高原ルートは気持ちイイ。
いきなり快走ルート。
ただ、寒い。超寒い。
朝から標高を上げたがこともあるが
それにしても寒い。
不快指数200%の灼熱の内地から来た
身体がすぐには適応できない寒さ。
この時点で用意して来た防寒具が
まったく足りていないことが発覚。
連日の猛暑のせいで目測を誤った。
「北海道ナメんなよ」
ノブのいつもの台詞が去来する。
今晩のテント泊が思いやられる・・・
札幌国際スキー場。
冬に滑れる場所は、
大概オートバイで走っても
気持ちの良い場所にある。
さっぽろ湖
定山渓ダム
さっぽろ大通公園に到着。
まだ時間があったので
朝マックしてからノブの家へ向かう。
8時にノブの家でノブ夫妻と
ショウちゃん夫妻と合流。
この日は初山別を目指す。
ノブとナオちゃんは
ローライダーで付き合ってくれた。
「ハーレーもう売る」
「絶対売る」とノブが言うのを
かれこれ100回は聞いたが
最近ハンドルを交換したらしい。
売る売る詐欺。
こちらは
ショウちゃんのディフェンダー。
あまりにピカピカ過ぎて
ピカチュウと呼ばれているらしい。
ほとんど新車。
整備が行き届いていることが
ハタ目にも良く分かる。
何より、ツーリングキャンプに
サポートカーがいてくれるのは
これ以上ない頼もしさ。
ひたすらに海沿いの道を往く。
天気も良いし心地良い気候だ。
やはり北海道の道とR18の相性は抜群。
繰り返し言わせてもらうが
私がR18に求めているのは
「エンジンに乗ること」。
「エンジンを操る」のではなく
「エンジンを味わうこと」だ。
「エンジンに乗ること」にかけて
北海道以上の場所があろうか。
永遠に思えるほどつづく道。
北海道の景色や空気を背景に
絶品のサウンドと鼓動を
慈しむように走らせる。
まるでロードムービーだ。
オートバイで積み重ねる1分、1分。
1km、1kmに悦びがあることを
改めて知りました。
エンジンの鼓動とともに
アスファルトの粒一つひとつを
タイヤから感じる時間。
オートバイの本質的でいて
純粋な価値って、ここにあるんだなあ。
やっぱりここは試される大地だ。
10:30
最初の目的地である
増毛の『国稀酒造』に到着。
「旨い酒なのさ」
「買いに行くべ」と、
ノブがやたらと言い訳がましいな、
とは思っていたのだが、
単にここに私を座らせて写真が
撮りたかっただけだった。
ノブとはそういう人間だ。
仕方がないので
付き合ってやることにする。
12:30
留萌を過ぎて小平町にある
『道の駅 おびら鰊番屋』
で昼休憩。
敷地内には重要文化財に指定されている
鰊漁で栄えた旧花田家の番屋が
今も遺されている。
とか知ったのはこれを書いているとき。
上の画像の「にしん街道」の碑の
ちょうど裏側に見えている
大きな木造家屋がそれ。
この時は昼メシのことで頭がいっぱいで
ここが何処なのかとか、
まったくの無頓着であった。
ちゃんと見ておけば良かった。
さておき、ここで食べた
『うにいくら丼』は超絶美味かった。
¥2,800は確かに高価ですが
ここで食べずにいつ食べる。
前に来たときはウニの時期は
とっくに過ぎていて食べられなかった。
北海道だからと言って
いつでも食べられると思っていると
キツいしっぺ返しに遭う。
食べられるときに躊躇せずに食べておく。
ガソリンは入れられるときに入れておく。
これ、北の大地の鉄則。
上幌町でキャンプの買い出しをしていると
突然の土砂降りに見舞われた。
私はこのツーリングのために買い直した
新品のレインウェアを着用したが、
ノブは晴れ予報を信じて雨具なし。
そこから初山別までの約20km
夫婦揃って濡れ鼠。
増毛で私の頭をイジッた罰が下った格好。
後ろのナオちゃんには
とんだとばっちりですが。
広い北海道を長距離移動すれば
雨を避けることはほぼ不可能なのですが、
今回の4日間で雨に降られたのは
このときだけだった。
ちなみに、R18に乗るようになってから
雨に降られたのはこの一度だけ。
異様に晴天率が高い。
晴れ男ならぬ晴れバイク。
14:30
『初山別村 みさき台公園キャンプ場』
に到着。
到着して間もなく、
雨雲は去り晴天が広がった。
「知る限り一番景色の良いキャンプ場」
と言うノブの言葉は本当だった。
素晴らしい夕陽を眺めることができた。
ノブもたまには本当のことを言う。
広い公園内には『岬の湯』も併設され
至れり尽くせりのキャンプサイトだ。
買ったはいいが一度も使わなかったり、
どこに置いたのか忘れてしまったりする
モノも多い中、オートバイツーリング用にと
手に入れていた超小型軽量テント
『MSR Freelite 1』を使う日が訪れた。
逆説的に言えば、これを持っていたから
無理してでも背負って来た。とも言える。
持っていなかったら、思い切って
全行程宿泊にしていたかもしれないと思うと、
果たして買っておいたのは良かったのか、
それとも余計なことだったのか・・・
さておき、早速宴会開始。
サポートカーあっての
豪華なテントサイト。
早速、増毛で手に入れた
『国稀』を美味しくいただく。
友人たちとする宴会は
キャンプでなくても楽しいが、
アウトドアでの宴会は
輪をかけて楽しい。
腰が抜けるほど飲んで笑った。
あ〜〜最高。
Day-1 小樽〜定山渓〜札幌〜増毛〜小平〜初山別 275km
(Day-2につづく)
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