Amazon Prime オリジナルドラマ 『Fallout』

4作リリースされている同名ゲームを実写化したAmazon Plime オリジナルドラマシリーズ『Fallout』
小説やコミックの実写化の場合、これまではあえて原作との違いを加え、独自の世界観を生み出す手法が多かったが、近ごろは“いかに原作に忠実に描くか”に注力する作品が増えてきている。
なので、原作を知れば知るほど映画の楽しみが増えるというのがそういった作品の観方になることが多いのですが、私はゲームはまったくやらないので、そういったことに囚われず、純粋に映像作品として向き合うことができたのは良かったと思う。
脚本を執筆した共同クリエイターを務めるジョンサン・ノーラン(クリストファー・ノーランの弟で、ノーラン作品の多くで脚本を担当している)は「このドラマシリーズは実質『FALLOUT 5』」と発言しているようで、世界観はゲームと共有しながらもオリジナルストーリーになっているようなので先入観なしに鑑賞するのは間違いではなかったようだ。
というわけで、一話目から急角度でツボに入ってしまい、久しぶりに一気観をしてしまった。

核戦争後の荒廃した地上世界と、大気汚染から隔離された地下シェルターの中の世界。
隔絶された2つの世界が混ざり合うところから物語ははじまる。
下界は『マッドマックス』か『北斗の拳』のごときルール無用の荒廃した世界。
対して“VAULT”と呼ばれるシェルターの中は、狭い空間での共同生活のためにも秩序の維持がとても重要になり、そのため徹底した情報統制、宗教の如き意思統一によって、そこに住む住民は一切の攻撃性を持つことなく常に穏やかに暮らしていた。

外界からの襲撃者に父親を誘拐されてしまった「VAULT33」に住むルーシーは、父親の救出のために、自ら厳重に閉鎖されたVAULTを出て、一人外界に旅立つ。

核汚染後を生き延びた人間たちの、自分以外は何も信じることのできない弱肉強食の世界と、すべてが人間のもつ性善説を元に構築された統率された平和な社会。
そうした正反対の人間性が衝突するところが今作の見所。

22〜23世紀の世界を舞台とした未来の話なのですが、核戦争の恐怖に現実味のあった1950年代のアメリカを再現したようなレトロフューチャーな世界観でデザインされている。
そこがどこかApple TV+オリジナルの『SILO』の世界観と似ているところが少しばかり引っかかってしまったが、この時代性こそ、人々の心を浸食するような不安定な恐怖感を煽るのにちょうどいい舞台設定なのだろう。

すでにシーズン2の制作が決定されておりますが、核戦争の裏側に隠された陰謀や、汚染された世界でどうやって人々は生き延びてきたのかなど、散りばめられた伏線はこの8話の中でほとんど回収されているので、お預け感の少ないところがとてもナイスなドラマシリーズです。
連休中ということもあって、全8話を2日で観終わってしまうほどに中毒性の高い作品になっております。

(オススメ度:80)

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