誤解と知りながらも「レザージャケットはバイク乗りの正装だ」と、強く信じている昭和なライダーは、猛暑だからと言って軽装でオートバイを走らせることに、少なくない罪悪感を抱いてしまう。
転ぶために乗っているようなオフロードバイクであれば、見た目よりも操作のし易さや安全性を最優先にウェアリングを考えたが、伊達がネギ背負って走るような、R18という見栄っ張りなオートバイに乗るのであれば、ヤセ我慢でも何でも身につけるものはカッコ優先で選びたい。
安全性と快適性を高次元で融合させているBMW Motorrad純正ウェアを知る私であっても、R18にはレザーで乗りたい。もちろんBMWの純正ウェアの中にも、ヘリテイジシリーズ ユーザーに向けたレザーアイテムはあるのですが、いかに安全性や快適性が確保されていても、ドイツ人のソッチ(北米カルチャー)方面のセンスはあまり信用ができないし、実際のところアカヌケないものが多いように思う。
Schott、VANSON、英国ブランドのLewis Leathers、AERO LEATHERなど、様々なブランドの中から選ぶことができますが、ここはやはり、オートバイに跨がったときにしっくりとくる型や、切り裂き強度などにこだわったオートバイ乗りのための革ジャンを生み出しているブランドをセレクトしたい。
私にとってのライダースと言えばKADOYAなのであります。
そうした頭のネジの緩みながらも、最低限の理性は維持したい歪んだ思考を持つライダーを、真夏にこれでもかと強めに誘惑するアイテムが『パンチングメッシュ・レザー』。
とはいえ本当に涼しいのか。誰もが少なくない疑念を抱く、これもある意味“アイデア商品”。
となれば、私が試さずに誰が試すのか。
単なる好奇心は探究心というそれっぽい理由に書き換えられ、最後には責任感という大義名分を伴い、私の財布の紐を緩めるのであります。
それはさておき、パンチングレザーの歴史はかなり古い。
オールドタイマーな私ですが、これまでパンチングレザーの手袋は使ったことがあってもジャケットは使ったことがなかった。
というわけで、買ってしまいました。
『K’s Leather PL-SW』。
こちらも冬用に買った革ジャンと同様にセミダブルのデザインなのですが、前身ごろ(重なる部分)はほとんどなく、ダブルと言うより斜めファスナーデザイン。
いつもはフリマを含めてネットでサクッと買い物を済ませてしまうポイントジャンキーな私ですが、そんな私の気持ちを見透かしたかのようなタイミングでKADOYAがセールを開催していた。それもあって浅草のKADOYAの本店まで行って買ってみることにした。直営店なのですべてのサイズが揃っていることはもちろん、肩、肘、脊髄にプロテクターを装備できるポケットが用意されているこちらのジャケットに、KADOYAが純正で用意するプロテクターを装着した状態での試着もさせてもらえた。
パッド類を装着したときの着心地はだいぶ変わるので、これを試せたのにはとても助かった。
そしてそして。純正のハンガーもいただいてしまった。プラスチック製のそれほど高価なものでもないのですが、レザージャケットの肩の型崩れが気になる人間にとって、これは存外にうれしい特典。PayPayポイント以外にショップポイントもいただけた。
ショップで買い物するメリットを目一杯活用させていただいた格好。
ただ、結局KADOYA本店では脊椎パッドだけ一緒に購入させていただき、肘と肩に関しては試着の際にかなり突っ張った感じがしたので一旦保留とさせていただいた。
一度ツーリングで使ってみて肩と肘にパッドが追加されても運転に支障はないだろうと判断し、あとから汎用のプロテクターを購入して装着することにした。
それが上の画像にあるものなのですが、ご覧のようにそれほど強力な保護力のあるプロテクターではない。
KADOYAの純正プロテクターと較べても、あからさまに補助的なものなのですが、これ以上ゴツいものだと腕の動きが妨げられるし、何より肝心の通気性が阻害されてしまうのでこの辺で留めておくことにした。
はじめて真夏に着てみたレザージャケットでしたが、想像以上に涼しかった。
もちろん「走っているぶんには」という但し書きが付き、長めの信号待ちでは汗だか冷や汗だか分からないものが噴出したり、バイクから降りたら速攻で脱ぎたくなるなど、ヤセ我慢は必須なのでありますが、それとライダーの魂とを秤にかければ、充分以上に納得のいく性能だと強く思う。
ナイロン製の薄手のジャケットよりも通気性が高く、首や袖口から入ってくる風量を遥かに凌ぐ通気性が確保されており、むしろパンチングレザーの方が、身体に強く風を感じることができた。
「めがね橋ツーリング」には、気化熱を利用して身体を冷やす『HyperKewl クールタンクトップ』も併せて使ってみたのですが、その通気性の高さから上に何も着ずに使った時とほぼ同等の効果が得られた。
似合う似合わないは棚に上げて、大手を振って革ジャンを着られるのもまた、バイク乗りの特権。
というわけで、真夏でもその特権を行使させていただくことにします。
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