台風が続け様に過ぎ去ったら、季節は急激に秋になった。
というか、秋の長雨に入ってしまった。
鬱陶しい雨が続きなかなかオートバイに乗ることができない。
いよいよ「こうなったら、途中で雨に降られてもいいので出かけよう」と思い直し、中でも比較的天気の安定している月曜日に横浜まで出かけることにした。

目的はこのヘルメット。『SHOEI Gallery YOKOHAMA』まで見に行ってきた。

「この特別仕様のヘルメットは、2025年の 「Wheels and Waves」 公式ポスターに採用されたビジュアルを、 SHOEI製グラムスター に落とし込んだアートピースです。
アートワークはモーターサイクルアーティストのKIICHI(キイチ)、 ペイントは異端の技巧派ペインター HIGH JUMPER (ハイジャン パー) が担当。 グラフィックだけでなく、 金箔押しや木目の立体成 形といった職人的技術を組み合わせ、 日本特有の 「侘び寂び」や 「陰と陽」の美学をヘルメットという立体キャンバスに落とし込み ました。このヘルメットは、 Wheels and Wavesの本会場である フランス・ビアリッツにも持ち込まれ、 現地のライダーやクリエイ ター、参加者たちの間でも大きな注目を集めました。」
とのことで、「WHEELS & WAVES」についてはこちら。

「Wheels and Waves (ウィールズ・アンド・ウェーブス)」は、モ ーターサイクル、サーフィン、スケートボード、アート、音楽を融合 させた、世界的なカルチャーフェスティバルです。 フランス・ビア リッツで開催されるこのイベントには、 自由な精神と創造性を愛 する人々が世界中から集まり、ジャンルや国境を越えた交流が 生まれます。 そんな唯一無二のイベントの「顔」 となる公式ポス ターを手がけることは、 非常に名誉ある役割です。
2025年、 その大役を任されたのが日本人アーティストKIICHI (キイチ)。 彼の作品 「Heaven’s Door (天国への扉)」は、神社の 鳥居や狛犬などの日本的モチーフを取り入れながら、 Wheels and Wavesのスピリットである “CROSS THE LINE (境界を越え ろ)”を象徴的に表現しています。 このポスターは、単なるビジュア ルにとどまらず、価値観とカルチャーをつなぐ “扉”として、多くの 人々の心に訴えかけています。

「モーターサイクルとサーフィン、スケートボードとアート、音楽を融合」というあたりに深い共感を得てしまう。風来坊のアウトサイダーに文化的背景という居場所を生み出す試みなのだろう。とか勝手に推測する。



とかいう頭の堅い話よりも、このヘルメットの方が雄弁に語りかけてくる気がするのは私だけではあるまい。
手触りから「侘びと寂び」を表現したという金箔や木目の立体造形など、屋外で、しかもオートバイでの走行に耐え得るのかどうかはかなり怪しいので、床の間に飾っていくほかないのかもしれない。いわゆるアート作品なのですが、掛け値なしにカッコイイ。

エアベントの部分にまでペイントが施されているところがかなりツボ。
っていうか、ここだけの話、元ネタになっているポスターのアートよりも、このヘルメットの方がずっとセンスが良いように思う。
この『Glamster “Waves” Art Edition Helmet』ですが、全世界10個限定で販売されるのだそうだ。
販売価格は税込¥380,000。納期は2〜3ヶ月を予定しているのだそう。
このヘルメットはこのあとSHOEI Gallery TOKYOに場所を移して展示されている。
手に入れられる方が羨ましいが、床の間に飾る趣味はないので、実際に被ることのできる木目の立体造形と金箔のない、普通のペイントのバージョンだったらかなり欲しい。


もちろん、山下公園に港の見える丘公園、赤レンガ倉庫など、さらっと流してから家路に着く。
ちなみに、肉まんには後ろ髪を惹かれるが、昼飯を食べたばかりだったので今回は中華街はガマン。

途中たまたま見かけた場所で記念撮影した画像をInstagramに上げたら、旧知のHAMAさんから「あぶない刑事のロケ場所だよね」と、ツッコミというかDMがきた。
ちなみに、飛騨高山のカレー屋さん『弱尊』を教えてくれたのは、他ならぬそのHAMAさん。
岐阜方面に詳しいことと、エンタメ関係にやたらと細かい件とは特に因果関係はない。

そういえば、と、録画だけして観ていなかった『帰ってきた あぶない刑事』を観てみたら本当だった。
セットみたいにできすぎた場所だったのですが、さもありなん。
ちなみに、これまでほとんどあぶない刑事を観たことがなかった私にとって、残念ながら映画の方はあまり面白いとは思えなかった。何より、浅野温子のぞんざいな扱いは、観ていて非常に悲しくなった。俺の青春を返せと言いたい。

新横浜を過ぎるあたりで晴れ間がのぞいてきた。
結局埼玉まで雨には降られずに済んだ。
さておき。
「アート」の定義は私にはよくわからないが、美術館や画廊の壁に飾られているような“作品”よりも、私は日常の中にある「美しいモノ」の方により惹かれる。
今回観に行ったアートピースなヘルメットも、ヘルメットというアイテムに落とし込まれているところに魅力を感じるものの、実際に使うことが躊躇われてしまうのはいただけない。
その点、R18は、眺めて美しいと感じるだけでなく、内燃機関だけが生み出すことのできる、波動のような強い鼓動感を味わうためだけに生み出された、1,800cc水平対抗2気筒OHVエンジンの鼓動もまた「アート体験」と言える。
強めの自画自賛、誠に申し訳ないが、こうしていつも眺めているR18も、私にとっては十分アートピースなのであります。

そして、“Green”も、“ミズメヒノキ”だってそうだ。
工芸品としての美しさと、機能美が重なるところに、いつも私は惹かれる。
ってなことを改めて感じることのできた一日でありました。


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