GENTEMSTICK MAXFORCEについて、完全に勘違いをしていた話

みなさんもご存知の通り、GENTEMSTICKからアーリーモデルとして『GLIDER 198』が50本限定で発売されることが発表された。

とはいえ、今時点では公開された画像と『IMPOSSIBLE』の派生モデルであること以外は、198cmというレングスと、“GLIDER”というネーミングから、その乗り味を想像して楽しむ他ない。
といった他愛もない邂逅から、いつもの連想ゲームをはじめるワケですが、まずはImpossibleとの違いを掴むために、いつものようにアウトラインをトレースして重ね合わせて見ていたところ・・・・・

あれれ、、、、なんか思っていたのと違う??・・・

思っていたのと違ったのはGLIDERのことではなく、MAXFORCEのこと。
長いことMAXFORCEに尖ったトップとフィッシュテールを組み合わせて出来たのは、IMPOSSIBLEだと信じてきたのですが、それは『SPEEDMASTER』の前身である『DPT (Double Pin Tail)』の間違いだった・・・
以前こちらでも同様のことを書いてしまっていたので、ここで訂正してお詫び申し上げたい。
MAXFORCEとアウトラインを共有する兄弟筋にあたるモデルはDPTの方でした。
草創期のGENTEMSTICKがラインナップしたモデルは、確かTTとMAXFORCEとDPTだったと記憶している。ならばMAXFORCEとDPTの関係性に気づけても良いようなものなのに。
っていうか、MAXFORCEもSPEEDMASTERも持っているのにどうして気付けないかね???
完全な思い込みによる早とちり。本当にスンマセン・・・

そんなわけで、新しいGLIDERのことなどそっちのけで、話は明後日の方向に逸れていく。

というわけで、久しぶりにボードラックからMAXFORCEを引っ張り出し、改めてこの2本を重ねてみた。
すると、アウトラインは見事に一致した。
もちろん両者の不等厚は変えられ、フレックスはそれぞれに合わせてチューニングが施されているので、似て非なるものではあるのですが、だからこそ、改めてその違いが気になり始めた。

特にテール部の厚みは大きく違っていて、MAXFORCEのテール部の方が、より張りが強くなるように設られていた。
この違いが理由でこの2本が同じアウトラインを持つことに気づけなかった。とか言っても、すでに説得力ないですよね・・・

「あのSPEEDMASTERをツインにしたのだ」と考えると、MAXFORCEへの見方がガラリと変わる。
というわけで、あらためてMAXFORCEを確認したくなり、大晦日の栂池高原で久しぶりに乗ってみたというワケ。
MAXFORCEにはSPEEDMASTERよりもずっと長く乗っていたのですが、一発でその乗り味の虜になってしまったSPEEDMASTERとは違い、これまではMAXFORCEの存在意義について「乗りやすい」の一言で片付けてしまっていたように思う。
ただなぜか「MAXFORCEにはきっとまだ何か隠されていて、私が見つけられていないだけだ」というおかしな自信はあって、ずっと手放せないままでいた。
曲がりなりにも理解ができているSPEEDMASTERの方からMAXFORCEの方を眺めてみれば、「ナルホドソーユーコトナノネ」と思えることがたくさん見えてきた。まさに「新しきを温め、古きを知る」。

そんなわけで、MAXFORCEをSPEEDMASATERの方から引き算して眺めてみる。
幸か不幸か、復帰一本めから新雪滑走となったので、まずは新雪での反応の仕方から。
まず、SPEEDMASTERほどトップが浮いてこない。
そして、テールの存在感がかなり強い。
SPEEDMASTERと同じように踏んでいると、トップが刺さってしまいかねない。そのため新雪では、ある程度意識的にテール荷重を意識していく必要がある。
SPEEDMASTERはトップからズンズン走っていきながら、面で雪を捉えていくイメージで、コントロールのための抵抗感と、前方にヌケていく滑空感を両立している。
MAXFORCEはむしろ、面の先にあるエッジやサイドカーブへと雪を送り込むことで、ボードが雪面を捉えている感触を強めて(際立たせて)いるように感じる。
MAXFORCEは斜面が不安定な難しい状況でのコントロール性能を、SPEEDMASTERから嵩上げさせているボードであることがよく分かった。
とはいえ、JONES SNOWBOARDなどの海外勢のような、まるで登山道具のようなコントロール性ではなく、あくまでもスノーサーフな領域の中でそれを獲得しようとしているところがMAXFORCEの特別なところ。

圧雪斜面でのターンの感触はSPEEDMASTERにかなり近い。
圧雪斜面での両者はかなり近しい乗り味を垣間見せてくれる。
以前私はスポーティーとラグジュアリーがバランスしたSPEEDMASTERを指して「レクサスLSのようだ」と評しましたが、そこに悪路での走破性、タフネスを加えたMAXFORCEは差し詰め「レクサスRX」といったところ。
違うのはターンの中程から出口にかけてのところで、MAXFORCEはSPEEDMASTERのテールの反応の仕方に、反発力を上乗せさせていて、ターン出口でSPEEDMASTERがスルスルスル〜っと荷重をリリースしてヌケをよくしているところで、MAXFORCEはテールがガッチリと雪面を捉え続けて、強く弧を描いている感触が足裏に伝わってくる。
ただ、ターンをヨコに引っ張りすぎるのは御法度。SPEEDMASTERよりも手前でターンを終えておかないと、荷重移動させるための余白が足らなくなる。よってSPEEDMASTERよりもタテ方向のラインとなる。

そして、あらためてMAXFORCEの美しさに惚れぼれとさせられる。
これまでもあっちに手を出しては手放し、それを元手にこっちを手に入れて〜を繰り返してきた私が、なぜMAXFORCEを手放さずに手許に置き続けてきたのかと言えば、それは先述したように、MAXFORCEの隠されたポテンシャルを感じていたことに加えて、私のMAXFORCEの作りがものすごく良いということもある。
すでにモデルイヤーすら分からないが、デッキは今も妖しい艶を湛えていて、とても魅力的に映る。
ハンドシェイプのサーフボードと同様に、GENTEMSTICKにも一本ごとの完成度にムラがあることは理解しているし、むしろそのムラが私だけの表情となってくれたりもしている。
そうした特殊な魅力の側面を差し引いても、去年手に入れた『SLASHER II』のデキの悪さと言ったら眩暈がするほどだった。
前オーナーのフットマークがギトギトに残されていて、しかも艶もモヤっとしており、見るたびに興醒めさせられる。
対してMAXFORCEのデッキには薄〜〜いフットマークが残る程度を維持しており、これを見るとSLASHER IIの方は樹脂の原材と硬化剤の配合比率が間違っていて、樹脂が完全硬化していないように思えてしまう。
この2本の間には、それこそ10年以上の時間差が存在するのに、MAXFORCEの方が何倍も若々しさを保っている。
まさに美魔女。

サーフボードが職人の手でシェイプされ、グラッシングされていることが、道具であること以上のモノとしての魅力の多くの部分を占めていると私は思う。
私にとってのGENTEMSTICKもまた、工芸品と言っても過言ではない職人技を垣間見られることが、所有する悦びの多くを占めている。
私のMAXFORCEを見るたびに、そのことを私に思い起こさせてくれる。
原材料の高騰に加えて、人材不足などが重なり、スノーボードでこうした悦びに触れることは、この先もう叶わないのかもしれない。
そう思えば尚のこと、“あの頃のGENTEMSTICK”の香りを残す、私のMAXFORCE、TT168ミズメヒノキ、TT165 Softflex SPRAY 20th Anniv. 、SPEEDMASTER 八甲田Spl. 、そして、MAGIC 38、SLASHERの両スプリット・バージョンは墓まで持って行く覚悟。

結局、私はいかなる斜面にも対応できる汎用性の高い道具が好きなのだな。と、思い直す今日この頃。
この日、MAXFORCEから乗り換えたスキーは『VECTOR GLIDE MAKE BC』。
こちらも高い操作性で、グルーミングバーンはもとより、荒れた斜面でも新雪斜面でも、いかなる斜面でも走破するマルチな才能を持たされた、まさしく「ギア」だ。
これらを私が推すのは決してたまたまなどではなく、やはりこうした「どうとでもできる」懐の広い道具のことが、私は大好きなのだということ。
今回のこの邂逅への糸口となったGLIDER198は、かなり狭く絞り込まれた価値を狙って生み出された象徴のような存在だ。
対してMAXFORCEは、かなり広い間口を持たされた、今のGENTEMSTICKにとってはむしろ異形の存在とも言える。
今回はそうした時間軸を比較することで、改めて私自身の趣向性を再確認させられることとなった。

“汎用性”という価値観から、かなり離れた場所に棲んでいるTTのことが一番好きな理由は、自分とは違う相手に惹かれるのと同じ理屈なのだと思う。
もちろん私にとってのGENTEMSTICKとは、TTに他ならないのですが、その理由は自分から一番遠い存在であること、理解に人一倍努力が必要なモノなのだからだと、今回改めて思わされた。
そう考えると、移動の道具として進化してきた汎用性の象徴のようなスキーに対しては、私はそうした令和な趣味性は求めず、昭和な操作性を求めることで止まっているとも言える。
そんな私の趣向が海外ブランドではなく、VECTOR GLIDEを選ばせているのかもしれない。

MAXFORCEの新たな味わい方について気づきがあったことは、私にとってかなりアガる出来事でありました。
今シーズンはTT168ミズメヒノキ、TT165 SoftFlex、そしてSPEEDMASTERの3本を中心に乗っていこうと思っておりましたが、舌の根も乾かない2025年のうちにMAXFORCEがそこに加わってきてしまった。
特に、SPEEDMASTERとの棲み分けがややこしくなってきてしまったことは、かなり悩ましいことでありますが、うれしい悩みであることは言うまでもありません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次