『ROMA/ローマ』、『セロ・グラビティ』のアルフォンソ・キュアロン監督、ケイト・ブランシェット主演で贈るApple TV+リミテッド・ドラマシリーズ『デイスクレーマー:夏の沈黙』。
アカデミー賞を獲ったことのある主に劇場公開作品を作る監督がドラマシリーズを作ること自体がそもそも注目に値するのですが、中でもそれがアルフォンソ・キュアロンともなると注目度はさらにもう一段上がってくる。
加えて、主演がまず連続ドラマに出演することのない名優ケイト・ブランシェットとなれば、期待するなと言う方が無理な相談だ。果たして、普段90分と言う時間軸の中で物語を紡ぐ、演じる実力者たちは、どんな連続ドラマを生み出すのだろうか。
有名ジャーナリストとして、一児の母として、理解のあるとてもやさしい(しかも裕福な家庭に育った)男性の妻として、最高と言っていい人生を歩むキャサリン。
ある日、キャサリンの元に一冊の小説が届き、その内容が自身の過去に起こった内容であること知る。
そののち、夫の元に何者かが撮った妻のヌード写真が届き、夫も小説の内容が妻のことであることを悟る。
小説にはイタリアのビーチリゾートを訪れた10代の若者が、妖艶な子持ちの女性に誘惑され愛欲に溺れていく様子と、その女の子供を助けようと海に飛び込み溺死してしまう様子が描かれていた。
そして、小説にはその女性との関係を断てない若者の存在を疎ましく思った女が、溺れているその若者の姿を見て見ぬ振りをして見殺しにしたことも描かれていた。
その小説は死んだ若者の母親が書いたもので、母親の死後、父親が加筆修正して自費出版したものだった。
そしてそれは、死んだ若者の父親が描いた壮大で緻密に計画された復讐劇の始まりでしかなかった・・・
こう言っては何だが、この役にケイト・ブランシェットが配役されている理由が、私にはさっぱり分からなかったのですが、彼女でなければならない理由が最終第7話になって痛いほどはっきりとする。
アルフォンソ・キュアロンは「7つの映画を作った」と言っていて、ケイト・ブランシェットは最終話の主役だった(若い頃の役は別の女優が演じていて、第2話はその方が主役だった)。
もちろんケイト・ブランシェットは第1話の冒頭のシーンから出演しているし、彼女の存在感はまさに圧倒的なので、おのずと彼女に視線がいってしまうのですが、それがこのサスペンスの核心から、視聴者の視線を逸らしていたことに気づくのはまさに最終話になってから。
いや〜〜〜面白かった〜〜〜〜〜〜!
かなりシビレる大人のドラマシリーズでありました。大満足。
(オススメ度:90)
コメント