IMPOSSIBLEに乗るのが楽しくて仕方がない。
これまでに経験がないほど一本のボードにドハマリしている。
これぞまさに“MAGIC BOARD”。
その理由はいくつかあるのですが、中でも大きいのが細長いダブルピンテールの反応の仕方にある。
IMPOSSIBLEのダブルピンテールの気持ちよさに関しては、すでに何度かこちらに書いているのですが、乗り込むほどにその解像度が上がってくるので、書かずにいられない気分になってしまう。申し訳ありませんが、今一度(いや、いま二、三度)私のIMPOSIBLE愛にお付き合いいただきたい。
IMPOSSIBLEの楽しさや気持ちよさは、このテール形状だけでなく、そこに至るまでのシェイプや、サイドカーブにフレックス、そしてキャンバーを経てはじめて成立するものではありますが、私にとってスノーボードの楽しさの源泉はターンにあるので、ターンを仕上げる出口での印象が結果一番印象に残る。
そしてそれを一番色濃く形作っているのは他ならないダブルピンテールだと感じている。

IMPOSSIBLEのトップのワイズは、見た目の印象よりもずっと細い。
トップを太く見せているのはボードセンターからテールにかけてウェストがグッと絞り込まれているからで、そのため後ろ足のすぐ後ろで反り返るはずのサイドカーブがグッと奥まで描かれている。
奥まで引かれたサイドカーブとリンクするように、トップから後ろ足のあたりまで強めのフレックスを持たせ、その先のピンテールの動きを乗り手により明瞭に感じさせることで、IMPOSSIBLEのダブルピンテールは、衝撃を吸収するショックアブソーバーの役目と、回頭性を維持するステアリングの役目とを併せ持っている。
それによってパウダースノーはもちろんのこと、先日の斑尾のような荒れた春雪でも、IMPOSSIBLEはトップから突っ切るような走破性と、まるで雪面に張り付いているようなテールのコントロール性とを見事に両立させている。
GENTEMSTICKのホームページによると、現行モデルのIMPOSSIBLEのフレックスは「16」で、私の所有する『SLASHER II』のフレックスは「18」とされておりますが、カラマツヒノキのフレックスはSLASHER IIと同じかそれ以上であるように感じる。
もしかするとノーマルのフレックスが「16」と表記されているのは、この長いダブルピンテールの柔らかいフレックスを差し引いた全体のフレックスの印象を表しているのかもしれず、この硬いフレックスは芯材が変更されたカラマツヒノキだけではなく、IMPOSSIBLEすべてに共通する設定である可能性も残ることはお伝えしておかないとならない。
そして、IMPOSSIBLEの長いダブルピンテールは、SPEEDMASTERのダブルピンテールとも違うから面白い。
同じくダブルピンテールと呼ばれるテールセクションを持つ『SPEEDMASTER』や『MAGIC38』もそうした荒れた雪面で突っ切るような走破性を持っていますが、IMPOSSIBLEの張り付くような操作性とはだいぶ違い、ボードセンターからステアする強めの足応えを活かした積極的な操作によって、斜面の凸凹を“いなす”ような滑り方を得意としている。

何よりダブルピンテールは、そうした走破性、操作性だけでなく、副次的な産物として、スノーボードの官能性能をより嵩上げするスパイスのような役目も担っている。
『SPEEDMASTER』や『MAGIC38』のダブルピンテールも、ターン出口での反応の良さや、糸を引くような伸びの良さなど、独特の官能性を与えてくれていますが、どちらかと言えばエッジの有効長を伸ばしながら、ボード全体のコンタクトを良くすることに力点を置いている設定であるように思う。

IMPOSSIBLEのダブルピンテールも同様の役目が持たされているのですが、SPEEDMASTERに比べれば「腰砕け」とも取られかねないほどの「粘り腰」とされている。
なので、SPEEDMASTERと同じようにターンを伸ばそうと後ろを踏み続けると、ターンスピードをストールさせてしまうことになる。
長いダブルピンテールが撓んでいく様子を伺いながら、後ろの踏み込みを調整してやると、SPEEDMASTERのような伸びこそしないものの、ターンインのスピードを維持しながら、溜め込んだ荷重でさらに回り込むようなターン弧で旋回させようが、スラッシュさせて荷重を放出させようが自由自在であるところなどは、もうほとんど『TT』のよう。
というように、SPEEDMASTERでは張った印象が残るところで、IMPOSSIBLEのピンテールはきっちり撓んでくれる。そして、撓んだ(曲げられた)ピンテールが、元の形状に戻っていく時の反応の仕方が超絶に気持ち良い。
もちろんそれはさすがのTTであっても真似ができない、IMPOSSIBLEだけに与えられた世界。

さらに、この細長いダブルピンテールは、どこのメーカーでも製造できるコンストラクションではないと感じさせるところがまた、私の所有欲をくすぐってくるのであります。
『SUPERFISH』もIMPOSSIBLEのダブルピンテールによく似たテールセクションを持っていますが、「アウトラインコア」という独自の構造的な問題だったのか、使い方の問題だったのかは不明ですが、『SUPERFISH Outline Core』の根本の股の部分にクラックが入ってしまうことがあった。
他のブランドのフィッシュテールでは根元から折れてしまった事例もあったと記憶している。
現行のSUPERFISH Outline Coreにも何某かの対策が施されているものと思われるが、想像するに強度を上げて対処せざるを得ないように思われ、それはつまりしなやかに動かすこととは真逆のこととなる。
その真偽の程は横に置いておいても、いかに同じGENTEMSTICKのダブルピンテールだといっても、SUPERFISH Outline CoreからはIMPOSSIBLEと同様のテールの感触は得られなかったと記憶している。
そうしたことからも、これほそまでにしなやかでいて力強い反応の仕方をさせられるのは、IMPOSSIBLEだけだとも考えられる。
SUPERFISHと同じ工場で生産されるニューモデルの『GLIDER』のダブルピンテールがどのような反応を示すのかも興味深いところではありますが、IMPOSSIBLEの細く長いピンテールを、これほどのしなやかさを保った上で、構造的な強度を維持させる製造上の難易度は相当に高いものと想像される。
モノ好きにとって、そうした想像を掻き立ててくれるところもロマンなのであります。
というわけで、IMPOSSIBLEは眺めているだけ、思い出すだけでも、足裏にあのときの愉悦の感触が蘇ってきてしまうほどにインスピレーションに富んでいる。
TTからも似たような印象を受け取ることができますが、上手く操作できなかった苦い記憶も同時に押し寄せてきてしまう。もちろんそれはそれで上達への大切な情報なのでありますが、私を適度に甘やかしてくれるところも、IMPOSSIBLEの高い性能の一端なのであります。
そうしたIMPOSSIBLEとの邂逅については、こちらで語りたい考察がまだあるので、またそのうち披露させていただきたいと思いますが、何より私をここまで虜にするスノーボードに出会えたことに、まずは感謝しないとならない。
そして、出会えたことを理解できている自分のことも併せて褒めてあげたい。
スノーボードを続けてきて、ホント良かった。IMPOSSIBLEは私にそう思わせてくれる出来事でありました。


コメント