早速、PRIME-Xの取り付けに取り掛かるが、案の定そう簡単にモノゴトは進まない。
確かに慣れもありますがSPARK R&Dの取り付けは目を瞑ってでもできるほど構造がシンプル。
それに対してKarakoramの方が圧倒的に複雑。
そうしたメカメカしさに私の中の男の子が強めに反応してしまう反面、複雑さに比例して故障のリスクが高くなることも大きく懸念される。
そうしたリスクを出来る限り回避する意味でも、一つひとつのパーツを確認しながら、慎重に取り付け作業を進めることにする。
取り外しやすくしながら、いかに固定力を得るか。
それを両立させるために、このトリガー・システムが考案されたわけなのですが、横方向に動くトリガーで、いかにバインディングを下方向に押し付けるのか?
それがKarakoramに対して、私が一番に興味のあったトコロ。
後述しますが、スムースに固定ができない事象が起き、そのおかげで構造を理解することができた。

Karakoramはインターフェースの前側に設けられたフックを、本体の溝に引っ掛けて、ヒールループに設けられたハンドルを操作することで出たり入ったりする棒状の二つのトリガーを、インターフェースの後ろ側に設けられた溝に押し込むことで固定される。
ここで言う「固定」とは、バインディングとブーツの話ではなく、ボードとバインディングの話。
通常、ボードとバインディングは強固に固定されることが大前提となるので、そもそも語る必要のない箇所なのですが、簡単に取り外すことを前提としたスプリットボード用バインディングとなると話は違ってくる。

トリーガーの位置が収まるべきインターフェースの溝(穴)よりも上にズレるように設計することで、下に位置する溝に滑り込む際にバインディング本体を下方向に押し付けていることが分かった。
つまり、設計通りにコトが運んだとしても、この部分にはかなりの抵抗感でもって荷重が架けられているということになる。
ライディングの荷重に耐えられるだけの、バインディングを固定させる下向きの圧(縦方向)が得られる範疇で、構造に余計なストレスを与えずに取り外しやすいトリガーの移動方向(横方向)の抵抗感を発生する、トリガーと溝の位置関係を見出すこと、そしてその維持管理が重要だと思われる。
何はなくとも、まずはトリガー部分の注油。

構造的にあとからできることはほとんどないので、私にできることはアクシデントを未然に防ぐための予防策を採る他にはない。
オフロードバイクに使われるウォータープルーフ・グリースを使ってトリガー部分に注油しておいた。
こうしたクリアランスの小さい構造物の場合、浸透性の高い『Kure556』の方が合っているのかもしれませんが、浸透性の高いグリースはプラスチック系への影響も懸念されるため(近頃はプラスチックへの影響は限定的だと言われておりますが)私は使用を控えている。
いずれにせよこの手のグリースは水とともに流れ出す。より注油の必要性の高いスキービンディングを取り外すと、デッキにオイルが染みていることがあることからも、ボードデッキなどに少なからず影響を与える可能性がありますので、余計なぶんを拭き取っておくなどの注意は必要。

トリガーが刺さるインターフェースの溝にもグリースを塗布しておく。
『PRIME CONNECTOR』と呼ばれるスプリットボード用のインターフェースも、片側だけで10個ものパーツで構成される。

スタンス幅に本体側のクリアランス、スタンスアングル、前後位置などを同時に見渡しながらネジを絞めてバラバラのパーツをひとつに固定していかないとならない。
そうしないと先述したトリガー部がきちんと収まるべき位置に揃わないことになる。
とうぜんこちらも時間経過と共に緩むため、元の状態とはズレてくる可能性があるので、ネジロック剤の塗布は当然のこととして、毎使用ごとにネジの増し締めなどの確認は必須となるだろう。
といった組み立ての手間を横に置いておくとしても、もしも滑走中にネジが緩んで部品を一つでもなくしたら・・・とか考え始めるとぐっすりと眠れなくなる。
そんな複雑な構造のインターフェースの説明書もかなりいい加減な内容で、QRコードから観ることができるセッティング動画も「そもそもなぜこういった構造になっているのか」など、肝心なコトは何も教えてくれない。
まずはその構造を理解することが適切なセッティングの一番の近道なので、その理解にそこそこの時間を要した。
やってみると分かるが、後出しジャンケンのように構造を煮詰めて行ったやに思われる、ほとんどパズルのようなこのパーツの説明を明文化することはまず不可能。
考えるな。感じろ。の精神ってとこか。
ただ、二つに割れたボードを組み立てる際には、このインターフェースの構造が組み立ての目安になってくれるため、位置決めがとてもしやすかったことは付記しておきます。
ハイク時に本体の先端を固定するツーリングブラケットに問題発見。

先端の突起をブラケットに設けられた穴に通すだけで済むSPARK R&Dに対して、Karakoramはレバー操作で本体の先端に用意された鉄製のロッドをクランプさせて固定するのですが、ボードデッキとツライチになるはずのレバーの下側が完全に飛び出していた。
画像右側は出っ張りを削ったあと。
デッキ側に飛び出すことでロック機構の代わり・・・とは言わせない。少なからずデッキに傷をつけることになる。これぞバックヤードビルダーの面目躍如。いい加減にも程がある。

なんとか無駄な抵抗をさせずにレバーを操作することができましたが、これでもまだデッキに当たっている。
ROVERが痛むぶんには我慢もできるが、小さいとはいえスプリットボードに傷がつくのは我慢ならない。
スプリットボードに装着する際には下に何か敷いて嵩上げするとしよう。
高さ二段階のヒールライザーはボード側のヒールレストに装備される。


メーカーはポールのバスケットで出し入れの操作が可能だと言っておりますが、新品購入時はかなり硬く、これではポールで操作するのは無理っぽい。
ギトギトにシリコンオイルを塗布してなんとなく動きそうになりましたが、それでもまだ怪しい感じ。
使い込んで関節を緩くさせる他ないのか。そうだとしてもだいぶかかりそう。
まだ触ってみたばかりの状態ではありますが、Karakoramは使い込んだ状態を前提に諸々のクリアランスを設計しているような感じがする。っていうのは良いように取りすぎているだけか?ただのズボラ設計??
ヒールライザーには最初からヒールロック機構が備わる。

SPARK R&Dにもヒールロック機構は備わりますが、お世辞にも使いものにはならないシロモノだった。
ハイク中の下り坂で転倒して、惨めな醜態を晒した経験ならスプリットボーダーの誰しもにあるだろう。
ヒールロックがあればそうしたリスクをかなり軽減することができる。
ぶっちゃけKarakoramにこの機構が備わるコトには、これまでずっとジェラシーすら感じてきた。
Karakoramがレバー操作でトリガーを出し入れする複雑な機構をわざわざ採用しているのは、このヒールロックのためだとすら私は思っている。それほど私が羨ましかった部分。
KARAKORAMの急所と言っていいストラップ類の交換。
ラダーやスライダーが破断したり、ラチェットハンドルが壊れてしまうという、今どき笑えない話はKarakoramに興味のなかった私の耳にも届いていた。
聞くところによると販売代理店もここを消耗品と位置付けているそうで、補償の対象外であるという噂もあるが、そもそも壊れてはいけない部品に対する「消耗品」の定義がバグっていると私は思う。
ゲレンデ使用ならまだしも(それだって御免被りたい)、バックカントリーエリアで壊れられたりしたら、短気な私は山に捨てて歩いて帰って来てしまいかねない。
そうした事故を未然に防ぐためにも、無駄な心配事から心の平安を得るためにも、最初から信頼のBURTON製パーツと交換しておくことにする。
BURTONが壊れたのなら、保管の仕方を含めた私の使い方が悪かったのだと素直に思える。
それほど私はBURTON製品に全幅の信頼を置いている。

先日、『GENSIS TT』用に購入した『Super Cap Strap』を、ひとまずこちらに移植することにした。

ラダーとスライダーは以前から補修用に持っていたものを流用した。
流用に関しては若干の加工が必要となりますが、ストラップの固定力に加え、耐久性に関しても何の確証も保証もないことですので、あえてその加工内容は書かないでおきます。くれぐれも良い子は真似をしないように。

アンクルストラップに関しても、ラダーとラチェット、そしてスライダーをBURTON製に交換した。スライダーはもちろん外側に倒れるフレックススライダー。あるとブーツ装着時にとても便利。
こちらもSPARK R&Dの補修用にと長いこと保管していたパーツ。つまり、なんならSPARK R&Dに使われているストラップ類をそのままこちらに移植することも可能だということ。

取り外したKarakoram純正パーツを予備としてザックに忍ばせておくことにする。
BURTON製ラチェットハンドルの素晴らしいところは、締め付け力の強さと確実性だけでなく、むしろリリースする時のスムースさと素早さにあると私は思っている。
外す時にほとんど引っ掛かりがなく、指先の操作で軽くスカッとリリースできる。そのストレスフリーさが使っていて何より気持ちがいい。

ソリッドボードに装着するための『Quiver Connectors』は同梱されないので別途購入が必要となる。
こちらもRide Mode 3.0仕様。
Quiver Connectorはディスクで装着する普通のバインディングと構造はほぼ同じなので取り付けに関しては悩み無用・・・と、思いきや、そういうわけにもいかない。
それまではスプリットインターフェースへの装着を含め、先述のトリガーを出し入れする「レバーの動きが渋いなあ」とは思うものの、なにせ初めて触るものなので「まあこんなもんか」と思える程度にはレバー操作ができていたのですが、なぜかストラップを交換した後からQuiver Connectorに嵌まらなくなってしまった。
強引に押し込んでレバーを操作すればトリガーが嵌まらなくもないのですが、ハンドル操作に“やってはいけないことをしている無理やり感”が伴い、これではとてもじゃないが「まあいいか」とはいかない。
ときに、スプリットボード用のインタフェースに装着する際には、レバー操作に無理な負荷が架かっている感触はないので、あくまでもソリッドボード用インターフェースのみの問題。
どうやらトリガーが刺さる溝とトリガーの位置が上下にズレていることが原因のようだった。
どこかが当たっているようで、バインディング本体が適正位置まで下がって行ってくれない。
なんとかして定位置への移動を阻んでいる接触部分を見つけないとならない。

かなりの時間悩んだのですが、上の画像の赤い丸で囲んだ部分が当たっているためであることが判明した。
Quiver Connector側の当たる部分を、ヤスリで0.5mmほど削ってやったらスルッと装着位置まで下がるようになり、ハンドル操作もある程度の抵抗感を残しながら動かせるようになった。
トリガーの位置が下がったとはいえ、溝に対してトリガー側がコンマ数ミリ上に来るポジションで留まっているので、下向きの圧は維持されている。
嵌めるときだけでなく、トリガーを抜いたあとに本体を外す際に「ゴクッ」とした感触とともに、引っかかったところがリリースされている状態を感じていたところが、軽い抵抗感のあとパッと外れてくれるようにもなった。
こうしてみると、ボードデッキとバインディング本体の底部との接地クリアランス(下向きの圧力設定)は、トリガー位置の設定とは別に管理されているように思われる。
この部分でインターフェースと、バインディング本体の取り付け部の長さとのバッファをとっているとみられ、ここを削り過ぎるとバインディング本体のつま先方向への固定力を損なう可能性があるため、こちらに関しても真似はされないことを勧告しておきます。
最初は問題がなかったのに、途中から嵌まらなくなった理由は、先に述べたトゥストラップのラダーとスライダーの交換のために、本体下側のネジを2つ外してプラスチックモールドの取り付けパーツを外したときに、そのネジが本体下側の前半分のパーツと共締めにされていたため、そこを組み付ける際に取り付け全長が微妙に変わってしまったことが原因のようだった。

組み立ての仕方もさることながら、パーツの着け外しやネジの締め直しによって、コンマ数ミリ組み付けがズレただけでも、こうして個体差が生じてしまうことがこれでよく分かった。
こうした組み立て時にも発生してしまう個体差を勘案しながら固定力を最大限に確保するために、この部分のクリアランスは少しオーバーにキツく設定されているものと思われる。もしかすると、使ううちに当たっていた部分が擦り減って適正になるように考えられているのかもしれない。
ただ装着時に、レバー操作にあまりにも強すぎる抵抗感を感じる場合には、トリガーか、それを動かすギア〜ハンドルが壊れてしまう前に調整を行った方が良いように思う。
このトリガーの操作と固定力がKarakoramのまさに命綱と言っていい部分なので、この部分への注意は、注油などのメンテナンスを含め、怠るわけにはいかない。
できることなら、バラバラの状態からの組み立てから自分でやった方が確実だろうと思えるほど、そもそもの設計思想から理解できていないと、山行で安全に運行させることに多少のリスクが伴うように思う。
新品購入時はそれなりにキチンと組み立て精度が出されていますが、これだけの数のネジで高い荷重に耐える一個体を構成していることを考えると、使ううちに諸々緩んでくるだろうことは想像に難くない。
そうなればもちろん先述したトリガーと溝の位置関係にも少なからず影響が出てくる。
場合によっては毎シーズン専門家にメンテナンスとセッティングとを行ってもらった方が良いかもしれないが、現場での“もしも”に対応するためには、ユーザーにもそれなり知識と技術が求められるのではなかろうか。

といった山あり谷ありを経て、なんとかセッティングを完了した。
Quiver Connectorsを保護する、と言うか、むしろ運搬時などにこの周りに来るものを保護するための『Quiver Protector』も買っておいたので、作業終了の証として装着する。
なんだか自分でも代替品を作れそうですが、こういう痒いところに手の届くオプションアイテムは大好き。
Karakoramはこうした便利グッズの開発以外にも、コネクター類の確実性の向上や軽量化を中心にアップデートを重ねており、その度にそれ以前のバージョンのユーザー向けにオプションパーツとして発売している。
そうした姿勢は高く評価できますが、その反面、毎度買い直しをさせられそうで怖くもある。

と、なんだかんだとやっていたらセットアップに3時間近くかかってしまった。
まあ楽しかったからイイんだけどサ。
バインディングを変えれば、必然的にスキークランポンも専用品に代えないとならない。
明日は、私にとってはいっそバインディングよりも大事なクランポンの話をしようと思います。


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