UNIT GARAGE SPORTAIL

私はオートバイのカスタマイズでは、何はさておき見た目を重視する。
私のR18は車体の後半部分がスカッと整頓されたボバースタイルに換装されているので尚のこと、シートという大型のパーツの変更による見た目の変化はかなり大きいため、これもスタイル変更が目的のカスタマイズだと思われる方も多いことだろう。

でも、私がUNIT GARAGEがプロデュースするR18用のタンデムサドル『SPORTAIL』を手に入れたのは、見た目だけが目的なのではなく、かといって、純正のオマージュシートが硬すぎて100kmも走行するとお尻が痛くなるからでもない。
R18をクルーザーではなく、ロードスターとして仕立てたい私としては、このシートはカッコイイと思うし、確かにオマージュシートよりも座り心地は良さそうだ。
でも、こちらを手に入れた一番の理由は、それらではない。

なぜなら一人乗りの状態だと車検に通らないから。

もう少し説明しよう。
2年後にやって来る車検で、シングルのオマージュシートでは「二名乗車」ができないため、このままでは車検に通すことができない。
ノーマルに戻せば話は早いのですが、今のボバースタイルになるまでに、おびただしい数のパーツが交換されており、その作業はかなりメンドクサイ。
車検後にまたボバーに戻す一往復の手間を考えたら、いっそ一名乗車に構造変更したって良いように思えるほど、とにかくその作業はメンドクサイ。

まあ、タンデムをする予定もないので、構造変更してもとくだん何の問題もないのですが、構造変更登録だって手間なしにできるわけではないし、何か起きてR18を手放さなくてはならない日も来るやも知れぬ。
そう考えると、せっかくの二名乗車できる権利をわざわざお金と手間をかけてまで、なかったことにするのはモッタイないと思う気持ちの方が勝る。
できればボバースタイルのままで二名乗車の権利を維持したい。
とか考えていたら、このSPORTAILに白羽の矢が立ったというわけだ。

じゃあ買うのは2年後でいいじゃん。

確かに仰るとおりだ。
でも、こういったアイテムはいつ廃盤になるか、いつ手に入らなくなるか分かったもんじゃない。
とてもじゃないが2年も放置しておく強い心臓は持ち合わせていない。
とか思いはじめたら、例によって居ても立ってもいられなくなったというわけだ。

装着するのは2年後の車検の時で良いのですが、せかっくなので装着してみる。
頑丈そうなサブフレームの土台の上に上質なレザーに包まれたタンデムシートが載せられる構造。

こちらがR18のノーマルシートの下に隠されるサブフレーム。
リアフェンダーの下に隠されたこの無骨なアルミモノコックフレームでタンデムとサイドケースの荷物ぶんの重量を支える。
今回交換するサブフレームとは似ても似つかない形状だが、こちらもドライバーズシート下のボルト4本だけでメインフレームに固定されるので、実はまったく同じ構造。
端っこをボルト留めしただけでその先にぶら下がるタンデムライダーの体重に、パニアケースの荷物重量まで支えるのだから、考えてみればとんでもない発想だと気づかされる。
さておき、ご覧のようにナンバープレートとウィンカーがサブフレームにビルトインされているので、ノーマルからオマージュシートやSPARTAILに換装する場合、別途それらを購入、移設する必要があるのですが、私のR18はすでにボバースタイルになっているので、オマージュシートと交換すれば済む。
といったわけで作業はいたってカンタン。
あとは現在は外しているタンデムステップを戻せば2名乗車を維持したまま車検に通るというわけだ。

シングル風に見せるUNIT GARAGE製のシートカバーカウルは別売りであとから手に入れたもの。
いいとこ8千円だろ?としか思えない安普請なものなのだが、笑っちゃうくらい高価。
引きつり笑いしながらも買ってしまうあたり、確かに私もどうかしているが、そもそもの値段設定の方がどうかしている。円安が憎い。
さておき、タンデムシートというスペースは、必ずしも人を乗せるためだけでなく、積載性が増すことも大きなメリットだ。
荷物の多いツーリング時にはこのカバーは外して使うことになるだろう。

SPORTAILはノーマルシートよりも乗車位置が高く設定されているのですが、それに併せてタンクの後端を5cmほど嵩上げして、高さを揃えるためのカラーも付属されている。なかなかに気が利いている。
ここを横から覗いて見たときに、本来タンク下に隠蔽されているはずのケーブル類が露わになってしまうのはいただけないが、タンクの後端をシートと揃えたときの見た目は確かに良い。

私がR18のボバースタイルにこだわる一番の理由は、言ったようにこのオートバイをクルーザーではなく、ロードスターとして扱いたいからなのですが、このSPORTAILサドルはその目的にはっきりと沿っている。
先日ご紹介した『R20 Concept』に気が気でないのはそのためだ・・・

オマージュシートの「オマージュ」とは「R5」へのオマージュなのですが、クルーザーのR18に装着すると、アメリカンに見えてしまうのは致し方のないトコロ。
とはいえ私はオマージュシートが装着されたR18の見た目も嫌いではない。
そもそもタンデム乗車の権利を維持するためのカスタマイズということもあり、少しの間このSPORTAILを試したら、またオマージュシートに戻そうと、軽い気持ちで装着してみたのですが、近ごろは「これはこれで悪くないな」と思えるようになってきた。

そして、このSPARTAILは、見た目だけでなくハンドリングにも少なくない影響があった。
シッティングポイント(着座位置)が、上と前へそれぞれ5cm程度移動したことで、静的な荷重位置が数センチ、フロント寄りに変化することとなった。
これまでフロント荷重になりすぎるのを避けるため、アレコレと策を講じてきたので、荷重位置が前寄りになるのはよろしくないのかと思いきや。荷重位置が上に上がることで変化するコトの方が影響が大きいようで、リアサスペンションへの荷重の作用点が変わることで全体の重心位置も上がり、リアへの荷重がよりしやすくなってしまった。
これにより、これまで抜かざるを得なかったリアサスペンションのプリロードを加えることもできるようになったことで、リアステアへの移行がよりスムースになり、向き変えがとてもシャープな印象になった。
これは完全に副次的な効能なのだが、結果的には「こっちが本命」ってくらいのうれしい誤算。
ハンドリングってホント奥が深い。

このハンドリングの変化を知ったら尚のこと、おいそれとはオマージュシートに戻せなくなってしまった。

実はこのSPRTAILのキットにはストップ/ポジションランプとウィンカーが一体化されたLEDテールランプ『TAIL TIDY』が付属しているのですが、私はこれを使う必要がないので箱から出してもいない。
このLEDテールランプを単品で購入しようとすると、なんと€ 325,00もするので「そのぶん値引きしてくれたらウレシイのに」とか思うが、もちろんそんなコッチの都合などお構いなしにセット販売される。
でも、SPORTAILがこれを使用することを前提にデザインされているのでもちろん統一感は抜群。
車検対応部品として手に入れたはずのSPORTAILが、本命のシートに格上げされると、こいつも装着してみたくなってしまうのもまた致し方なし・・・

じゃあ、いま着いているポジション/ブレーキ/方向指示を兼ねるウィンカーを外せば良いのかというとそうでもないところが悲しいところ。
ご覧のようにリアフェンダーを固定するフレームにウィンカーがビルトインされていいるのですが、ウィンカーを外すとフレームに土台だけがだらしなく遺されてしまうため、リアフェンダーも交換する必要が出てしまう。

こちらがSPORTAILと同じ『UNIT GARAGE』が提供するリアフェンダーが装着された車体。
確かにカッコイイのだけれど、雨の多いこの国で使えば、間違いなく背中が泥だらけになるだろう。
いかに見た目優先でモノゴトを量る私でも、これを着けたことで雲行きの怪しい日にロングツーリングに出かけるのが億劫になってしまうのは痛し痒し。

何より、せっかく手に入れた純正のボバーキットが、ナンバーホルダーを除いて(もしかしたらそれも)お蔵入りしてしまうのはなんとも寂しい・・・

というわけで、「やっぱりオマージュシートに戻そうか」とか、未だに腹の決まらない悶々とした状態がつづいてしまっている・・・まさに無限ループ。
って、いつまでも完成しない、改良点が残っていることは、実はとてもウレシイことなんですけどね。

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