純正のボバーキットにはアクラポビッチ製のマフラーが付属されていた。
これは見た目や所有欲を満たすためだけでなく、キットに含まれるサイドナンバーが、ちょうどノーマルマフラーの排気口の正面に位置してしまうからであろうと思われる。
ノーマルのフィッシュマフラーだと排気が真っ直ぐナンバープレートに当たってしまうが、低い位置を這うように装着されるアクラポビッチならばサイドナンバーの下から排気を逃がすことができる。
マフラーはいつか交換するだろうと思っていたので、ボバーキットにマフラーが含まれていたのは望むところであったし、オールブラック化を目指す私のR18としても、この黒いアクラポビッチは鴨がネギ背負って飛んできたような超ラッキーな付属品でありました。
ただ、フルエキゾーストではなく、排気口部分のみを交換するスリップオンマフラーなので、メッキが施されたエキパイの前半部はそのまま残されることになる。
というわけで、ここを黒いものに交換するか、塗装を考えざるを得ない。
そしてもちろん、塗装するならこんなに楽しいことを他人に任せるなんてもったいない。
実は、エキパイ部からテールパイプまでの間に見えている部分はエキパイではなくカバー。
そのカバーを外すと、複雑怪奇な形状のエキゾーストパイプが露わになる。
なんでこんなことになっているのか。
中間部は触媒やらセンサーやらが着けられており、それを隠すためだということが分かるのですが、
スリップオンマフラーに向かう部分は、足許でパイプが直角に曲げられていて、それをカバーで隠蔽している。
なんでここで直角に曲げられているのか。
トルクを得るためエキパイ長を稼ぐためかとも思ったが、乗り降りを繰り返すうちにその理由が見えてきた。
ここが本当のエキパイだと、跨がったときに足が触れて火傷をする可能性があるからだろう。
こうまでして見てくれと安全性の両立を追求するBMWの偏執ぶりが伺える部分だ。
さておき、外せると言うことは、カンタンに塗装できるということなので、これも良い方に受け取り、早速作業開始。
今回はアクラポビッチと揃う「半艶」のあるOkitsumoの耐熱塗料を使ってみた。
脱脂以外の下地処理はせずメッキ面にダイレクトに塗布。
飛び石などでカンタンに塗装が剥がれてしまう可能性が高いが、
それはつまり、磨けばカンタンにメッキに戻せるということでもある。
つまり、かなり日和見な選択。
新車のパーツをいきなりセルフ塗装する頭のイカれた私でも、さすがにリスクを分散する。
ナイスな半艶であります。完全艶消しの方が塗りむらの出る可能性が低いのですが、ここは是非ともアクラポビッチの艶と揃えたい部分。
ただ、Okitsumoの耐熱塗料は適度な粘度を持っていて、吹きつけ時に安易にタレてしまうこともなく、とても塗りやすい塗料でありました。
粘度が硬めに維持されるぶん、気持ちゆず肌な仕上がりとなるが、目の前でじっくり眺める場所でもないし、塗りやすさの方が優先だ。
取り付けネジも一緒に塗装。こういうところにまでBMWの刻印が施されているところにシビれる。
耐熱塗装は熱を入れないと活性化して完全硬化しない。
Okitsumoは150℃以上で30分以上の熱入れを推奨している。ちなみに、エンジン出口付近のエキパイの温度は300℃を超える。
異常気象レベルの酷暑であっても、この塗料は完全硬化しないので手で触れる程度に表面が硬化したら即装着して実走行して排気熱を与える。
こうして改めて見ると、アクラポビッチの黒は紺系で、Okitsumoは茶系の黒であることが分かる。
まあ近くで凝視しないと分からないレベルなのでいいだろう。
言ったように、今回塗装した中間部のカバーは塗装したが、エキパイ部はいまだメッキのまま。
ここもなんとかしたいのだが、さすがの私もここをセルフ塗装する勇気は無い。黒いマフラーバンテージを巻くことも考えたのですが、R18には似合わない気がするので却下。
私がR18を契約したちょうどその頃。
BMW Motorradは、R18のシリーズ第5弾となる『R18 Roctane』を発表した。
新しモノ好きの私ではありますが、断捨離系のスカチューンを目指す身として、この装備品多めの最新モデルは完全な圏外なのですが、このブラックメッキが施されたマフラーは見逃せない。
パーツ取りできるようになったら値段を調べようとは思うが、高いんだろうなあ。間違いなく。
さておき、作業は半日で終了。
やはり、エキパイだけピカピカメッキであることが気になるが、ここも塗っていたら、焦げてこびり付いた虫汚れを落とせなかった。
ここは塗らなくて正解でありました。
というわけで、何はともあれ、つい最近発売が開始されディーラーの店頭に並びだしたRoctaneのブラックメッキ・マフラーをこの目で確かめてみることにしよう。
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