福島トリップ2024 その1

今年も福島の海へ。
「サーフトリップ」には様々な意味合いがあると思うが、いつものテリトリーを超えて、一泊以上で行くのが私のトリップの定義。この程度の意識しかないので、まあまあ軽はずみに使っていることは否めない。
それでも、そう思って行くことの大切さや意識の置き方っていうのはあって、向かう車中で気持ちが引き締まるような感覚はあったりする。

せっかく行くのだからできれば良い波に乗りたいと思うのは、海なし県から向かう私にはトリップの時に限った話ではないのですが、トリップだからと言って狙いすましてタイミングを測っているわけではない。
なので、いつものようにその日の風向きやうねりの向きに合うポイントの、バリエーションの多い場所、要は「ツブシの効く場所」をトリップ先に選ぶことになる。
そうした時に福島という場所は、距離的にもツブしの効きやすいショートトリップ向きの場所だ。

そして、福島の海はそれだけでなく良い波に当たる確率も高い。
良い波の定義こそ様々あって、純粋な波質もあるが、ロケーションだったり、混雑具合だったり、隣り合わせる人だったりもある。
もちろんそれらは私の好みとの相性でしかないので、誰しもに当たっているのかどうかは別の話なのではありますが、高確率でサーフトリップを成功させていただいているのが福島のいわきエリアなのであります。

朝のうち天気は曇り。
そもそもこの日は雨の予報だったのでこの天気でも好転したと言える。
一日のどこかでは雨に降られるだろうと思っていたのですが、結果的には晴れ間も覗いてくれて一日を通して雨に降られることはなかった。
雨予報に加えて、さすがに福島まで北上すれば、そろそろ海水温も下がるだろうと踏んで、ジャーフルを持ってきたのですが暑かった。
海パンにタッパーで充分。もう10月になると言うのに、ホント今年の気候はどうかしている。

atu、OYくん、イノッチの三人は前日から入っていて、この日がトリップ2日目。
前日も同じポイントだったそうなのですが、波も良く平日のため空いていてかなり良い思いをしたらしい。悔しい。

駐車場から眺めるレベルではあまり割れているようには見えなかったのでセイフティに8’0の『Tri-Plane-Glide』でスタート。
そもそもTPGを持って来ること自体がかなり久しぶり。なぜここでTPGをクイーバーに加えたのかというと、2年前の福島トリップの時にTPGでかなり良い思いをさせてもらったから。
あの波乗りをもう一度。

波の方はモモ〜コシのセットでハラ。
セットの割合はまあまあ多めなのですが、そのぶん波数も多めでサイズが上がると切れ目の見えにくい捕まりがちな波になる確率も上がる。
TPGとしては、たとえスープになっても厚めの波の方が合っており、最初の30分はなかなかボードが走り出してくれず「外したかな〜〜」と、まあまあ焦った。
その後、波のパワーが上がり、TPGの走り出しの良さが活きる厚めの波も入りはじめ、易々とウネリからテイクオフできるようになった。波が崩れた後でも速度と安定性に変わりがないのでそのままインサイドまで乗り継いでいけてしまう。ブレイクポイントはかなりインサイドだったので、いい気になって走らせると簡単にフィンを擦る水深まで行ってしまうので要注意。

観察すると、遠浅の地形の良さがかなり影響しているように見える。
上の画像で分かるように、ブレイクポイントのギリギリまで水深は浅いのですが、ブレイクポイントのあたりでグッと地面の斜度が上がるので、水が押し上げられる量が余計に多くなっているようだ。

20本までは数えていたのですが、そこからは数えるのも面倒に思えるくらい、本数を乗ることができた。
土曜日なのに空いているので、欲張った場所取りもしやすく、捕まりがちな波の中でも、ショルダーからキレイなフェイスを滑ることもできてしまった。
あ〜〜〜ホント良い波〜〜

1時間を過ぎたあたりからさらに厚めの波が増えはじめた。
こうなるともうTPGの独壇場。
短めのボードで意図通りにクイックに動かしながら乗るのもいいと思うが、半ばオートマチックに波を切り裂いて行ってくれるTPGの楽しさもまた特別。
何より、エッジが斜面に噛んだときの、文字通りに飛んでいくようなグライド感が欲しいならTPGが最高だ。
乗りやすい〜〜気持ちいい〜〜〜〜

2時間半やったらもうお腹いっぱい。
何だか久しぶりだな〜〜〜こんなに楽しいサーフィン。
TPGって長さなり、太さなりに安定感が高くて乗りやすいってだけでなく、長さなりに加速に優れているし、その速さをターンに繋げやすいことがその「乗りやすさ」の源流になっているトコロが素晴らしい。
この乗りやすさに甘えているように思えてしまい、つい短い方を出したくなってしまうのですが、やはりこいつも積極的に出すべきクイーバーだ。

狙っていた定食屋さんは開店前から行列ができており、急遽バックアップでOYくんが見つけたお店が『福島屋』。
私は「カキフライ定食」をいただいたのですが、これがまた美味かった!定食にはお刺身がセットになっていて、こっちが主役じゃないのか?と思えるほど、当たり前のように脂の乗った刺身が素晴らしかった。
こう言っちゃあ何ですが、千葉〜茨城〜福島と、北上しただけ魚の脂は増すイメージ。
つまり福島の魚は美味い。

食後は再び同じポイントに戻る。
福島の海には、こうした震災の記憶を未来へと繋げるためのモニュメントが多く設置されている。
そして、ここのように防災緑地として整備されている場所は津波の被害に遭った場所だ。

30分ほど昼寝してから第2ラウンド。
波の状況は海から上がった時と同じようだったので味変の意味を籠めて『Hybrid Hull 6’10』。
新たに手に入れた『Power Blade 7.8』と乗り較べるために『Power Glide 7.75』で乗ってみた。

第1ラウンドでまあまあ暑い思いをしたので、思い切って海パン+ラッシュで入水してみた。
もう10月というタイミングの福島の海で海パンにラッシュガードとは、自分でもやり過ぎだとは思うのですが、これができてしまうことの異常性を噛み締めておきたい。

第1ラウンドよりもサイズも波質も下がりましたが、変わらずブレイクしていたので引き続きサーフィンしホーダイ。
基本コシ〜ハラでたまにハラを越す波も入っておりましたが、大きいのはギロチン系。
私は波は大きい順に乗ったらエライと信じているので、あっさりギロチンホイホイに引き寄せられてしまう。
それでも何本かに一本はギロチンのショルダーに当たったりするので、こうした蛮行は止められない。

『Power Blade 7.8』と『Power Glide 7.75』の比較ですが、この日のような速い波のときは波のトップの刹那にピボット気味に回せるぶんPower Blade 7.8の方が合っているように思った。
ほとんど粗探しに近い、重箱の隅のそのまた隅っこの話なのではありますが、同じボードをフィンを替えて楽しむことは、それができるボードを持つ者の特権だと思うので、絶対にやらなきゃソンだ。

15時くらいには陽がかげり、北風も入りはじめた。
こうなるとさすがにラッシュガードでは肌寒くなり強制終了。
とはいえ第2ラウンドも乗りすぎ君だったのですでにクタクタ。
寒かったのは言い訳でしかない。

温泉に移動して潮を洗い流す。
これもまたトリップの醍醐味。
とても良い湯でありましたが、露天風呂が調整中で入れなかったことが心残り。

というわけで、トリップのつづきはまた明日。

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