
純正ボバーキットのナンバープレートホルダーの取り付け位置が、なぜこれだけ長いステーを介してまで後ろに下げられているのか。
後方からのナンバープレートの視認性の確保もさることながら、後方に伸びるマフラーとの干渉を避けているということがこの画像を見るとよく分かる。
日本向けのボバーキットが、オマージュ(サドル)シート、リアフェンダー、コンビネーションランプ、ナンバープレートホルダーに加え、わざわざ AKRAPOVICのマフラーをセットにしていたのは、ナンバープレートと排気口が被らないからだと思われる。
これで排気効率が下がるということもないのでしょうが、確かに日本人ってこういうのツッコみそうだよな。

AKRAPOVICを装着すると、今度はマフラーの後端とナンバープレートの間には無駄にも思える空間ができてしまい、長いステーが間抜けに見えてしまうという弱点がある。
というわけで、リアフェンダーを交換しようとしただけなのに、無用のドタバタ劇に発展してしまったカスタム計画の締めとして、この長いステーなしでリアのアクスルシャフト位置までナンバープレートを前方に移設することができるホルダーに変更しようと思う。
そのドタバタ劇は、私が海外のサードパーティー製のパーツを甘く見積もったことが原因。
舌の根も乾かないうちに次の海外製パーツに手を出す私も私ですが、だって他にR18用のパーツがないんだもの。そちらに頼る他ない。国産パーツも豊富なGSがホント羨ましい。
今回も実際に自分のR18で現物合わせをしてみないと分からない部分は残りますが、リア周りの、特にホイールを外してスイングアーム周りの構造を確認できたことで、取り付けに関してはそれなりの目処は立っている。
というわけで、ある程度の勝算を持ってからパーツを手配することにした。

UNIT GARAGEにもナンバープレートホルダーがラインナップされているのですが、リアのブレーキキャリパーと共締め構造だったため今回は却下。
車両法規には「ナンバー灯はナンバープレートに対し左右対称(センター配置)」とあり、それはつまり上側のセンターだと思われるので、UNIT GARAGEの横から照らすタイプは法規違反になるのかもしれない。
ちなみに、「見やすい位置に取り付けること」、「上向き40度から下向き15度まで。車軸に対して0度であること」が規定されているが、車両のサイドにナンバープレートを配置する「サイドナンバー」にすることに問題はない。
ただしナンバープレートを縦に配置するのは禁止されている。
これ以外にはプレートの周りを囲うパーツや、取り付けボルトの化粧パーツなどによるナンバーの視認性を損なうような飾り付けが禁止されている。

今回は純正ボバーキットのナンバープレートホルダーと同じ専用の取り付けボルト位置を使う『FCR ORIGINAL』の方を注文した。
いずれにせよ日本のナンバープレートの形状とは全く違うので、何がしかの加工が必要となることが大前提。
そうして届いた現物を確認すると、プレートの高さは日本のナンバープレートと同様ながら、横幅に関しては高さと同じ正方形でありました。正方形のナンバープレートでこのサイズならカッコいいなあ。
なぜナンバープレートを縦にする人がいるのかと言えば、それは横にはみ出す部分を少なくできるから。ぜひ日本もこの形状にしてほしい。
さておき、実際に車体に合わせてみる。そのまま無加工で日本のナンバープレートを設置しようとすると、下側がマフラーに、内側はブレーキローターに接触することが分かった。
UNIT GARAGEにしてもFCR ORIGINALにしても、ユーロ規格のナンバープレートに加え、ショートサイレンサーを採用するマフラーの使用が前提のデザインとなっている。

そこで、下半分を切断。
硬質アルミ素材なので錆の心配はないが、見た目も悪いので切断面はヤスリで整えてから黒で塗装しておく。

日本規格のプレートホルダーも購入し、それを使って外側に移設して装着することにした。
「ここまでやるなら鉄板を自分で加工すれば手っ取り早いのに」
と思われるかもしれませんが、少なくとも私でも手に入れることができて、曲げ加工もできるような鉄板だと、振動で折れたり欠けたりしてしまうので、やりたくてもできない。っていうか、これまでにもそれで何度も失敗してきている。鉄は難しいのであります。文字通りに「同じ轍は踏めない」。って字が違いますね。
FCR ORIGINALのキットに含まれていたナンバー灯を日本規格のナンバープレートのセンターに移設して作業完了。
前から見るとなんともフランケンシュタインな見た目ですが、セルフカスタムなんですからこんなもんでしょう。
むしろ「自分で調整して装着したんです」という口プロレスの説得力が上がる。
プロの美しい施工にはどうしたって敵いませんが、創意工夫しながらするオートバイいじりはほんとうに楽しい。
こんなに楽しいことを他人に任せるなんてホントモッタイナイ。

これでマフラー、ブレーキローターともに3cm程度のクリアランスができた。
これでもホイールを取り外すための横方向のクリアランスを確保できている。
R18のサスペンションは前後とも0Gでの沈み込みは0(ゼロ)。っていうか1Gでも1mmも縮まない。なのでリアの車高はこの位置でサスペンションが伸び切っている。
ナンバープレートはスイングアーム側に着けられているため、サスペンションがストロークすればマフラーから離れていくのでこの隙間で十分。


これくらいナンバープレートは前方に移動した。
その違いはオーナーの私にしか分からない「細かすぎて伝わらないカスタム」案件ではございますが、私にしか分からないからこそ満足度は高い。


納車の時点からすでに装着されていた純正のボバーキットは、これでとうとうAKRAPOVICのマフラーを残して全て換装されてしまった。
そのうちまた気分転換に純正ボバーキットに戻すこともあるだろうから、外したパーツは手放さずに手元に置いておきますが、それなりに勿体無い話ではある。
ただ、最初からサードパーティー製のボバーキットを組む勇気は私にはないので、最初に完成形の見えている(そして完成することが確約されている)純正アクセサリーパーツで理想の状態にできたことは良かったし、その状態で付き合ってみたからこそ、パーツ交換による変化の方向性と装着方法を想像することができたのだから、これも必要経費、必要な遠回りだったと言えるだろう。
何より純正ボバーキットが存在しなかったら、そもそもR18を買っていなかっただろうから、私にとって純正のボバーモデルがノーマルのようなもの。その存在には大いに感謝しております。

カスタマイズの済んだ愛車を眺めていると、変えたからこその次のアイデアがまた浮かんできてしまう。
まさにカスタムの玉突き事故。
オートバイをカスタマイズすることは、私にとって宇宙なのであります。
やめられましぇん。
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