イタリアのスキービンディングメーカー『ATK』から、『Hy』と呼ばれる新たなツーリングビンディングが発表された。
詳しくはメーカーのホームページを参照いただきたいのですが、『SALOMON SHIFT』を使うようになって、その便利さにすっかり虜となってしまった、トゥピースが「登る時はテックピン、滑るときはステップイン」にトランスフォームするシステム。
滑走性能のみならず、軽量化を含めた快適性能も求められるツーリングビンディングに、重量増を招くブーツの固定方法を変えるトランスフォーム機構を盛り込むことの難しさは素人にも想像に難くない。
SALOMONのみならず、MARKERなど多くのメーカーがこのエリアに挑戦している、まさに重点開発エリアであるわけなのですが、そこにイタリアの革新的メーカーから、挑戦状と言ってもいい新機軸が登場することとなった。
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最大のトピックはこのトゥピース。
構造も動作もあまりにシンプル。
調べると、ATKというメーカーは削り出し加工の技術に長けているようで、そうした技術があってこそ達成できた構造と言えるだろう。
それもあって675gという軽量化を達成している。
削り出し工作は鋳造に較べて生産性に劣るので、いくら優れれいると分かっていても採用するには多くのハードルが立ちはだかる大量生産には不向きな工法。
そうした難題に果敢にチャレンジする企業哲学がないと、こうした革新的な製品は生まれてこないという、とても分かりやすい事例だ。
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何よりデザイン性に優れていると思う。
設計上の制約の多い削り出しという工法とデザイン性を融合させる難しさもまた言わずもがな。
なかなかカッコイイ。
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面白いのはウォーキングモードの設定で、ヒールリフターを使わない状態でマイナス18mmとなっているところ。
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なんだか歩きづらそうに見えるのですが、アプローチの時などによくある長い平坦地での歩行効率の向上につながると説明されている。特に、ロック解除によってカフを前後に動かすことのできるウォークモードを持たないアルペンブーツに有効だとある。
これはちょっと試してみたいなあ。
SALOMONやMARKERとは違って、ATKはツーリングビンディング専任メーカーなので、ゲレンデでの使用に対する使い勝手などには懐疑的にならざるを得ないし、もちろんこうした新機軸を示すモデルにすぐ飛びつくのは怖いので、買うにしてもせめて問題点への対処の進む2シーズン程度は待ちたいところ。
とはいえ、こうしたアイデアの登場が業界の進化を一気に加速させることもよくあることなので、業界全体への良い刺激になってくれることにも期待したいところだ。
コメント
コメント一覧 (2件)
英語のカタカナ表記は難しいのですが、Toe はトー? トウ?トゥ?
じゃあTwo はトゥー?ツー?ツゥー?
ちなみにToe side がTwo side にしか聞こえないボードイントラが多いように思います。
すみません余談でした。
たぶん「トー」に近い「トウ」が音感としては近いんじゃないスかね?
スノーボードを教わってる時に「ツーサイド」と言われれば「つま先」のことだなって解釈してあげる心の広ささが大人には必要ですかねw