ナポレオン

リドリー・スコッ監督作品、ホアキン・フェニックス主演『ナポレオン』。
この二人の名前を聞いただけで、すでに成功は決まったようなもの。
と、かなり期待して観たのですが、結果から先に言うとイマイチだった。

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』と同様にこちらもAppleが製作した作品。
Apple TV+で無料配信されるまで、待ちに待ってキラーズ・オブ・ザ・フラワームーンを観たら、
「なんで劇場に観に行かなかったのだろう」と本気で後悔した。
それに気づいた時には『ナポレオン』は劇場公開が終了しそうなタイミングだったので、
慌てて劇場まで観に行ったのだが、その焦りは完全に裏目に出た。

よくヒトラーと比較されるナポレオンだが、まさに“そういう人として”描かれていた。

天才的な軍師であり、狡猾な政治家。
貴族出身ではないからこその差別主義者で、異常なほどの寂しがり。

偉人にカテゴライズされる人間とは、なぜキチガイじみた規格外の存在だったりするのか。
異常なまでに「征服」に執着しながら、自身に関してはあっけないほどに「征服」を許す。
ジョセフィーヌという女性を、愛しながら憎む。
あまりに子供じみた姿は、滑稽であり、純粋だ。

今作はそうしたナポレオンという偉人の“壊れた部分”を解き明かす試みだったのだろうが、
2時間38分でその全容を語り尽くすのはほぼ不可能。

確かに鬼才ホアキン・フェニックスの怪演は見事。
狂気とともに、破壊的に強力な内側に潜む意志を、隠しもしない一人の人間の生き様を
これ以上ない存在感で演じて魅せていた。
その部分だけにフォーカスすればものすごい作品なのだが、
そんな人間の壮大な一生を、いかに巨匠リドリー・スコットであっても、
一本の映画にまとめるのは不可能だったのだろう。

なので、ひたすらに、このとてつもない狂人の生き様に
魅入ることに集中してしまった方が、この映画の観方としては得策だと思う。

(オススメ度:50)

ナポレオン

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