待ちに待ちました。
公開日を指折り数えました。
もちろん公開初日に観てきました。
ここのところ興行成績的にも評判的にも低空飛行が続いていたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)。
起死回生というほどではないにしても、何がしかのテコ入れやら方向転換を求められていた。
そうした背景もあり、『ファタスティック4/ファーストステップ』はファンのみならず、スタジオにとっても重要な位置付けとなっていた。

そうしたタイミングで、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギは、今作がこれまで繋がってきたMCUの世界を一旦リセットさせると発表した。
2026年12月18日に公開が決定した『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』、そして2027年公開予定の『アベンジャーズ/シークレットウォーズ』をもって、これまでの物語をリセットさせるのだという。
これはやはり『エンドゲーム』までのMCUのインパクトが、あまりにも大きすぎたことを意味しているように思う。ビッグスターとなったキャラクターやキャストは、スタジオの大きな財産でもあるが、逆にそれがキャラクターの渋滞やスーパーヒーロー疲れを招き、弱点にもなってしまっている。
「『エンドゲーム』後の物語を補完するためにやってきたわけではありません。『シークレット・ウォーズ』のコミックを見てもらえればわかりますが、しっかりと未来を築く物語です。『エンドゲーム』はその名の通り終わりを描きましたが、『シークレット・ウォーズ』は始まりを描きます」と、ケヴィン・ファイギは現地メディア向け説明会で明らかにしたと伝えられている。
これはキャストを含めて一新させることを意味しており、ジェームズ・ガンがDCUのクリエイティブトップに就任して『スーパーマン』で最初に行ったことと同様の動きだと言える。
ただ、完全なリブートとなったDCUとは違い、ケヴィン・ファイギは「リブート」という言葉をあえて避けた。
実際、ファンタスティック4の面々はリセット後も続投されることが発表されており、アイアンマン、キャプテン・アメリカ(スティーブ・ロジャース)、ハルクなどの主要キャラクターの多くが、多次元宇宙の中の別のユニバースから新たにやって来るということなのかもしれない。
そうした方向性への伏線として、『ファタスティック4/ファーストステップ』は、これまでのMCUのメインユニバースとして描かれてきた「アース616」ではなく、「アース828」という多次元世界の地球が舞台。
これまで『スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム』や『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』、『マーベルズ』にしても、「アース616」から他次元を眺めたり行き来する設定でしたが、今回はじめて別のユニバースを舞台に描かれた作品となった。
ファンタスティック4の面々が続投されるとのことですが、今後のMCUは「アース828」を舞台に移すという噂もある。

そして、今回描かれる「アース828」は1960年代の設定。
レトロフューチャーなデザインセンスや舞台設定が醸し出す映像美がとにかくカッコイイ。
マット・シャックマン監督はMCUドラマシリーズ『ワンダヴィジョン』でも、古き良きアメリカを彷彿とさせる“シットコム”を演出に取り入れ、新たな映像美に挑戦していた。
そして、アース828は1960年代にして自動車が空を飛ぶなど、アース616よりもかなり技術や科学が進んでいることも見て取れる。
これまで幾度となくリブートされてきたファンタスティック4ですが、この「ファーストステップ」はこれまでのファンタスティック4をまさに再構築して魅せている。

そして、今回登場するヴィランも最強レベル。
「ギャラクタス」は、惑星の生命エネルギーを主食とし、その底知れない飢餓感によっていくつもの惑星を食べ尽くしてきた宇宙災害級の存在。サイズはゴジラクラスでほぼ無双状態の存在。本気で倒そうとしたらもう一度インフィニティ・ストーンを集めないとダメなレベル。
先に述べたレトロフューチャーな世界観と映像美に加え、この難敵とファンタスティック4はどう渡り合うのか?その一点突破で観ても十分楽しめるとても良い作品になっていると思う。
そして、副題の「ファーストステップ」が何を意味するのか。
今後のMCUを左右するであろう強大な力を持った新たなスーパーヒーローの登場にご期待いただきたい。
『サンダーボッルツ』のポストクレジットシーンではファンタスティック4の操るスペースシップが「アース616」に飛来するところが描かれていたが、今作のラストシーンと直接繋がるものではなかった。
ファンタスティック4の最後のポストクレジットシーンでは『ドゥームズデイ』との繋がりが明確にされたが、それもいかにして「アース616」と繋がっていくのかのヒントになるようなものではなかった。
というわけで、私の飢餓感が満たされるのは2年後だということがこれではっきりとした。
この歳になると2年という月日はほぼ永遠に感じる・・・
(オススメ度:70)過去作との関連も一切ないので初見の方でも楽しめる作品となっております
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