
翌朝は7時に目が覚めた。
テントだと周りが明るくなって自動的に目が覚める。でも暑くて目が覚めるよりずっといい。
高原の夜はとても涼しい。北の住民はクーラーを使わないと言う話を、都心部に住んでいるとにわかには信じられないのですが、それを実感レベルで感じられる。熱帯夜とは無縁の世界。
mont-bellの【快適温度12℃】を謳う『シームレス アルパイン バロウバッグ #7』でちょうど良かった。
登山用の軽量一人用テント『MSR FREELITE 1』は仕舞ったときのコンパクトさがウリですが、意外と居住性も高い。少なくとも私にはこれで十分。
夜にインフレーターマットがパンクしたのかエアバルブが壊れたのか、寝ている間に空気が抜けてしまい地べたに寝ていた。
インフレーターマットは車中泊でも別のものを使っていたのですが、パンクするのはこれで3個目。
コンパクトに畳めるのが利点なのですが、耐久性は低い。高かろうが安かろうが、有名メーカー製だろうが無名だろうが壊れる。要は消耗品ということなのだが100%現場でパンクする。あたりまえっちゃあ当たり前なのですが、連泊初日だったりしたら最悪。

北海道でペグ打ちに苦労したので、そのあとペグハンマーを買っておいた。
ペグを打つ以外に使い道がないのに、まあまあ重い荷物になるのでツーリングに持っていくのは気が引けてしまうのですが、あるとないとじゃ大違い。超便利だ。
オートバイ用品メーカーのデイトナが販売する『NAGURI』は雰囲気も良くてGood。

テントを乾かしている時間にコンビニサンドウィッチを頬張る。
さすがの高原地帯でも陽が差すと一気に気温が上昇する。これならテントもあっという間に乾いてしまう。
天気予報は確認した上でこの日程にしたのですが、やはり天気の良し悪しはその旅の思い出の大半を占める重要なものだと、改めて痛感する。
キャンプの一番億劫なところはテントの撤収ですが、朝起きて雨だったら気分はかなりブルー。
山の天気は急変するので、もしものときはキャンプ場の東屋に避難しようとか思っていたのですが、ここにそんなものはなかった。天気の大きな崩れがなかったからいいようなものの、今回はタープの重要性も思い知った。荷物は増やしたくないけれど、やっぱりタープも必要だよなあ。

夕飯のリベンジを果たそうと朝の10時から開店する蕎麦屋も見つけていたのですが、結局すぐにでも走り出したくなってしまい早々に出発した。
後ろにそびえるのは黒姫山。走り出しから空気の澄んだ高原を走れる幸せよ。朝から気分は上々。


もちろん復路は『志賀草津高原ルート』。
戸隠から1時間で志賀高原に到着してしまった。やっぱり蕎麦を食べてからゆっくり出発すればよかったかなあ。
とか思うのも悔しいのでサッサと走り抜けることにした。
なんて書くとあっさりして伝わってしまうかもしれないが、この道は何度走っても爽快さに変わりのない、本当に素晴らしい道。毎年最低でも一回は走らないと気が済まない。
何度も言うようで恐縮だが、天気の良い日にぜひ一度走ってみていただきたい。
ヨーロッパの山岳路を彷彿とさせる、とても日本とは思えない異国情緒に溢れた峠道だ。
もちろん空気は涼やかで屋外型の天然クーラーが最高に効いている。
ここでは密閉されたクルマのクーラーからの風を浴びるよりも、高原の気持ち良い風を全身に感じられるオートバイの方が断然オススメ。
ここをオートバイで走り抜ければ、オートバイ乗りであることを素直に誇れることだろう。
オートバイ乗りで本当に良かった。
今回は志賀〜草津間の走行中の動画を撮影した。そちらの動画は明日公開予定。
この『志賀草津高原ルート』と『ビーナスライン』に『磐梯吾妻スカイライン』、その昔「これでもか!」というほど走り倒した『伊豆スカイライン』、一度しか走ったことがないがダイナミックな景観に圧倒された『鳥海ブルーライン』、そして『知床横断道路』の6つの道が、私が知る限りにおいてのオートバイで目指すべきベスト・ワインディング・ロード。
もちろんこれら以外にも名もない素晴らしい道はたくさんあったし、私の知らない素晴らしいワインディングはまだまだ日本中に存在している。
中でもまだオートバイで上陸していない九州の道は、すでに憧れとなっている。
諸々が片付いたら、ぜひ九州をオートバイで一周してみたいと思っている。
この翌週となる8月4日午前5時50分に、火山性地震が増加したため、気象庁は草津白根山(白根山(湯釜付近))の噴火警戒レベルを「噴火警戒レベル2」に引き上げ、それに伴って午前6時45分から志賀草津道路の群馬県側の万座三差路~殺生までの区間が通行止めとなってしまった。
今回はちょうどいいタイミングで走ることができたのかもしれない。


というわけで、正午には草津に到着してしまった。
スキー場の上部から滑空できるジップラインをやっていた。ちょっと惹かれたがオッサン一人ではあまりに恥ずかしいのでやめておいた。

いつもなら志賀草津高原ルートをもう一往復するところですが、ここまで来たら真っ直ぐ家に帰って、録画した『F1 ハンガリーGP』を観よう。と思い直し、食事も摂らずに走り続けた。
そうしてやって来たのはまたまた八ッ場ダム。
今回はダム施設には立ち寄らずに手前の八ッ場大橋からダムを眺めてみた。


なかなか見応えのある景観。
とはいえ、これはあくまでも人工的な景色。この水の下には誰かの故郷が沈んでいる。
人ってすごいなあ。広大な自然さえ変えてしまうのだから。

しかも、橋の上からバンジージャンプもできるらしい。
人ってすごいなあ。俺には橋の上から下を覗き込むのもようできんのに。

真っ直ぐに帰ろうとは思ったものの、少しでも涼しい場所を走りたくて榛名山に向かうの図。
道はすっかりお気に入りの裏榛名。

またまた榛名山まで来てしまった。
長野を含めて埼玉から北に進路を取ると、帰路のルート上に榛名山が現れる。
帰り道にちょこっと寄り道するのにちょうどいい加減の位置にあるんだよなあ。
ご覧の通り榛名湖はいつも通りに水面が揺れていたが、赤城山の小沼は渇水状態がつづいているのだそうだ。
そういえば八ッ場ダム湖もだいぶ水かさが減っていた。
猛暑も心配だが水不足も心配だ。
榛名山からの帰り道はこれまで走っていない県道28号線『高崎東吾妻線』を走ってみた。
のですが、車幅は狭く、コーナーの屈曲はきつめで、お世辞にもR18で走って楽しい道ではなかった。
そうして榛名山から下山し、暑さをしのごうと思い関越自動車道に乗ったのですが、猛暑日の高速道路の照り返しは半端ではなく、空気が沸騰しているとさえ思えた。ヘルメットの中の呼吸が息苦しいほど。
下道よりも2時間近く早く帰れるので、それでもまだ良いのですが、「信州は楽園だったなあ〜〜」と薄れゆく記憶の中に思う。
とはいえ、猛暑日のツーリングのあり方を再確認できた。
クーラーの効いた部屋にいると、猛暑の下オートバイを走らせるのなんて「ムリムリ」とか思ってしまうが、やってみれば意外とイケるもんだな。
浮世のあれこれを自身の心から引き剥がすのに、旅は最高のツールとなるが、中でもライディングというさらなる集中力を要するオートバイ・ツーリングほど、そうした癒しに適した行為はないと私は思う。
なんてことを今回のキャンプツーリングを通して実感した。
お盆休みはあちこち混雑するので、お盆明けに次のツーリングに出たいなあ。
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