atuが「金曜に海に行く」とか言ってくるのがあまりに悔しくて、私も便乗することにした。
と言うのは半分ウソで、私が『Ellis Ericson LITE KITE 7’2』を買ったショップに、atuがここのところ口グセのように「機会があったら乗ってみたい」と言っていた『Ellis Ericson First Model』の、しかもサイズもドンピシャの7’0が在庫されており、一も二もなくatuにその耳寄り情報を流したところ、見事に食い付き、この日はそのボードの進水式だと聞いていたから。
さすが散財王。そうこなくっちゃ。
聞けば、サンドベージュという色までatuの好みに合っていたそうで、文字通りに耳寄りな情報となってくれたようだ。というわけで、情報を流した身としては、その進水式には付き合わないとならない。
私も以前、まだ「First Model」なんてネーミングも付いてない頃の6’6のを所有していたことがあったのですが、かなり尖った印象を与えたそのボードを、私にはほとんど乗りこなせなかった苦い思い出がある。
ショップで遭遇したこの7’0は、ぱっと見からすでに、そんなトラウマを抱えた私にも「これなら乗れそうだ」と思わせる柔らかな空気感を漂わせていた。
それはもちろん、あの頃よりもEllisのボードに明るくなったことが大きいものと思われるのですが、それにしても、キレイに走り出す様が容易に思い浮かぶような、とても良い雰囲気を纏っていた。
それはたぶん、私の6’6のときよりも、Ellisが日本の波と日本のサーファーのことをより理解し、それを自らが削り出すボードにフィードバックしてくれていることが大きいのだろう。
あわよくば私が連れて帰りたいところでしたが、LITE KITE 7’2を引き揚げに行ったところだったので、さすがに2本連れ帰るわけにもいかず「それならatuに買わせよう」と気持ちを切り換えたというわけだ。
まず、Hybrid Hullや、LITE KITEと較べるまでもなく、First Modelはシュッとした細身をしている。
そうした印象は時に難しさを感じさせてしまうものだが、ワイデスト位置でも薄めにされており、エッジの先にあるレールは刃物のように尖っていた私の6’6よりも、明らかにボリュームが持たされ、かと言ってモッサリした印象もなく、シュッとした体型を維持できる程度に留められていた。
それによって速さと乗りやすさが高次元でバランスされていることがすぐに見てとれた。
Hybrid Hullと同等の走り出しと、マニューバリティ豊かな乗り味が同居していることを想像させるもの。
う〜〜〜〜ん〜美味しそう〜〜〜〜
肝心の波の方は風もない面ツルで、サイズもコシ〜ハラとなかなかの状況。
First Modelの進水式もさることながら、これで3日目となる私の“MID KITE”にもバッチグーな波だ。
我々が入水する頃には画像よりもサイズは下がったものの、波数も平日のラインナップとしては必要充分。
2ラウンド、3時間ほどを楽しむことができた。
そうして、進水式を無事終えたatuのホクホクした笑顔を見れば、もう言葉は要らない。
見立て通りの乗り味だったようで、サイズが上がれば気むずかしいところが顔を覗かせるかもしれないが、この日のようなデイリーな波でも充分楽しめることが分かったことで今日のところはもう充分。atuよ、そう言いたいんだろ?
何はともあれ、沼に陥れた身としても一安心・・・と言うのも半分ウソで、あわよくば「やっぱこれ乗り切れんわ」とatuが言い出し「じゃあオレが引き取るよ」という展開を期待していた部分もないではない。
これまでにも『Mandala Super Chunk』、『Andrew Kidman “Green”』など、さんざんatuに横流ししてもらってきた私としてはついついそうした邪な気持ちに囚われてしまうのも致し方ないのである。
それほどに素直に羨ましいと思えるボードだ。
「じゃあ次の機会にオーダーすれば良いじゃん」と思われるかもしれないが、そういうモンでもない。
次のタイミングには次の関心事がきっとあって、必ずしも今と同じ感情であるとは限らない。
だから私はオーダーができない。っていうか、完成までの時間を待つことができない。
そうした時間を過ごすうちに、ぽつぽつとまた次の課題やら関心事が湧き出てきて、次の出会いを待ってしまうのであります。
ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。
趣味のモノとはいつも一期一会なのでありんす。
いやイカンイカン。
よそのガールフレンドに横恋慕している場合ではない。
私にも“MID KITE”という新たなマイダーリンがいたんだった。
こちらもすでに乗るほどに距離が詰まってきていることを実感できる間柄。
繰り返し言っているが、Ellisのボードに備わった一貫性は徹底していて、テイクオフまでの時間で較べれば、乗り換えている感覚がほとんどない。
つまり、走り出した次の瞬間のフェイスへのアプローチの仕方、シングルとクワッドのドライブの違い、レールへとつづくボトムシステムの描き出すラインの違いにフォーカスができてしまう。
シャープでいて乗り手の想像力が試されるようなクワッドの真骨頂を味わうためには、もっと長いフェイスを滑らないとならないので、ぜひもう一発大きな波でこいつを試してみたい。できれば厚めの波をお願いしたい。
う〜〜〜〜ん。その日が待ち遠しい。
というわけで、私のサーフィンはただいま最高潮でございます。
たぶん、atuのサーフィンもですが。
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