イタリアで開催された『Concorso d’Eleganza Villa d’Este (コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ)』において、BMW Motorradは新しい 『R20 Concept』を発表した。
明らかにR18を発展させたとおぼしき新たなコンセプトモデル。
これは黙って見過ごすわけにはいかない。
2リッターに拡大されたボクサーエンジンは新設計。
詳細は不明だがOHVは継承されているように見える。
ご覧の通り、BMWはいよいよビッグボア・ボクサーでロードスターを創ってきた。
クルーザーとして生み出されたR18と、最大の違いはフロントフォークのキャスター角。
グッと立てられており、ロードスターらしいクイックなハンドリングを想起させる。
加えて、地上高も上げられており、バンク角も充分に確保されている。
倒立フロントフォークに組み合わされるフロントのラジアルマウントキャリパーはなんと6ポッド。
これだけキャスター角が立てられているということは、エンジンの搭載位置もグッと後ろに下げられているということで、ドライブシャフトもR18に較べてグッと短くされている。
ちなみにホイールベースはR18より20cm近く短い。
リアスイングアームも、リジットフレームをオマージュしたR18のデザインテイストからは完全に離れ、BMWの十八番となる『パラレバー』的なマルチリンクが採用された本気のハンドリング仕様であることが分かる。
フロントにスポークホイール、リアにディスクホイールといった、古き佳きデザインアイコンを巧みに組合わせているところが心憎い。
最先端を行くハンドリングと、マッスルな印象を絶妙にミックスしているところが最大のミドコロ。
1970年代を彷彿とさせる『ホットピンク』に塗装された燃料タンクの形状が、R nine Tとも符合する古くからのBMWロードスターの系譜につながるデザインとされ、スポーティーモデルの家系であることを端的に顕している。
つまりR20は、マッシブなエンジンをミニマルでクラシカルな装いで覆いながら、現代の水準に照らしてもスポーティーと言えるハンドリングが与えられた、ネイキッド・スポーツであると推測される。
R18のだけのために生み出された完全新設計となるOHVビッグボクサーを、他のモデルへ転用することなど想像しがたく、これだけで終わらせてしまうなんてモッタイナイと思っていましたが、BMWはそんな私の低レベルな想像を超えて、その可能性を更に深化させてきた。
これはBMW特有のマーケティング調査の一環なので、このコンセプトモデルの公開を経て、市場規模が投資に見合わないと経営陣が判断すればお蔵入りの可能性もなくはない。
ただ、新設計を謳うエンジンがハリボテではなく実走行可能であることからも、少なくともこの新しい2Lビッグボクサー・エンジンはR18のシャシーに搭載されることは間違いないだろう。
というわけで、このコンセプトのまま登場するかどうかは分からないが、ぜひ2Lボクサーエンジンをロードスターに搭載して発売して欲しい。
そうなったらそうなったで、トーゼン買い換えも視野に入れざるを得ない・・・のですが、買い換えずに済ませる唯一の希望は、このコンセプトにはミラーやウィンカーに加えて、バッテリー、エアクリーナーといった補機類が装備されてはおらず、この姿のままで登場するコトはまずあり得ないということ。
それはR18も同じで、R18 Conceptと実際に登場した市販モデルは似て非なるものでありました。
でも、R18 Conceptのカッコ良さは今も決して色褪せない。
R20 Conceptを見て、気が気でない気持ちと同時に「R18 Conceptが目指した世界観に没頭してみるのもいいな」と改めて思えたりして、ちょっといい刺激を受けたりしている。
BMWは、ライダーとして欲しいと思えるモーターサイクルを、ライダーが真剣に造っているメーカーであることを再認識させられた。
電気モーターに移り変わる過渡期だからこそ、エンジンの魅力を最大限に活かしたモデルを投入せんとするその意気には感服せざるを得ない。
なんだか無性にR18と走りたくなってきた。
よし、走りに行こう。
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