『SLASHER Split』に乗るのも久しぶりですが、スプリットボードに乗ること自体が久しぶり。
22年の春に至仏山に行って以来なので早3年。そのあとにチューンナップに出したのですが、チューンナップから戻って来て一旦バラしたパーツを取り付け直してそのままお蔵入りしていた。
あの頃と比べればバインディングのセッティングもブーツも変わっているし、ネジの増し締め、確認を含め、改めて諸々セッティングをし直そうとか思っていたら「そう言えば」ってな感じでSPARK R&Dの新しいスプリットフック『Fixie Clips』に目が留まってしまった。
なんでこう都合よくスマホに表示されちゃうのかね?痒い所に手が届くのではなく、すでに痒くもないところを痒くするくらいの余計なお世話ではありますが、表示されても手を出さなければ済む話ではある。財布の紐の甘さをSNSマーケティングのせいにしてはいけない。
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というのも、久しぶりにこの『Clossbar Clips 2』を目にしたら、そのあまりのカッコ悪さに気を失いそうになったから。ほんとカッコ悪いなこのパーツ。
日進月歩を繰り返すスプリットボードアイテムは特に、新しモノ好きな私の琴線に触れまくるので、新しいパーツを見つけると、後先考えずにすぐに手を出してしまっていたのですが、今回紹介するFixie Clips は、そのClossbar Clips 2に換えてから1年足らずで登場したので、さすがの新しモノ好きの私でもすぐには手を出さなかった。否、出せなかったのですが、あれから4年が経った今ならもう時効だろう。
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手元に届けば交換作業はものの10分で終わる。なんともあっけない。
今回はゲレンデを滑るだけなので、実際にモードチェンジさせるわけではないのですが、せっかくなのでバラして組み立ててを繰り返して、その利便性を測ってみた。
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構造は『Plum Wow Hook』と同様に二分割されたパーツ同士が斜めに噛み合わさることで、ボード同士を引き寄せ合うシンプルな構造。なのですが、Plumとの一番の違いはその剛性感にある。
どのスプリットボードクリップも腐心しているのは、いかにふたつの板を強固に引き寄せ合わせるかに他ならない。
いかにボルトにネジが強固にとまっていても、木材であるボードを貫通させた穴と、鉄製のボルトのクリアランスぶんは動いてしまうため、どうしても結合が緩んでしまう。
それを回避するために、今ではクリップを留める穴がインビス化された『Top Mount』が主流になっている。
私のスプリットボードは滑走面からデッキまで、取り付け穴が貫通されたオールドスクールな『Through Mount』なので、通したボルトをデッキ側でナットで締めるよりも、パーツ剛体に直接ネジ穴を切って留める方が数倍強固になる。
ボルト4本のうち躯体にそのままネジを切っているのは1本だけなのですが、それ以外の3本も固定される場所にギザギザのギアが切ってあるパーツ同士を噛み合わせる剛性の高い構造によって剛性をあげている。
4本ともパーツ本体にネジ穴を切ってしまうのが一番剛性が上がるはずなのですが、どうしてわざわざギアで噛み合わせる構造にしているのかと言えば、噛み合わせの距離を変えることで結合力を調整できるようにするためだ。
パーツ自体が薄いPlumに比べて、パーツに厚みを持たされているFixie Clipsは結合力が強く、バインディングを装着していなくても、1枚のボードとしての合成感が出ているように感じる。
そして、スプリットされたボードを結合させる際にも、左右のパーツ同士がガチッとした手応えを伴ってレールを滑っていくため、ハメ合わせがとてもしやすいように感じた。
何より、登場から4年経っても新しいクリップが登場していないことからも、今のところFixie Clips以上の解決策は見つかっていないものと思われる。
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構造と目的が単純なだけに、スプリットボードクリップの進化はとても興味深い。
せっかくなのでSPARK R&Dの最新のカタログもチェックしてみましたが、軽量化や耐久性に関するマテリアルなどのアップデートが主で、革新的なアイデアは見当たらなかった。
コロナ禍も大きく関係しているものと思われますが、4年前から開発は止まっているのか、はたまたもう開発する領域が残されていないのか。私がスプリットボードと離れていた期間と一致するのは興味深いけれど、需要こそが製品の進化を促す一番の特効薬であるわけなので、この事実はスプリットボードの市場がすでに世界的に飽和していることを伺わせる。
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さておき、こうしていじっているとまた、スプリットボードでバックカントリーに出たい気持ちが沸々と湧いてくる。って、3年も放って置いてるけどシールのグルーはまだ使えるのか??
きっともうドロドロだよな〜〜〜〜怖くて見られない・・・
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