
特殊な計測器を使い、ユーザーごとに変わる頭のサイズに合わせたヘルメットのフィッティングを施すのが『SHOEI Personal Fitting System』。
大型のオートバイ用品店でも、こちらの資格を持ったスタッフによってこの有料サービスを受けることができますが、率直に申し上げて、まゆつば物だと思っていた。
海外製品ならいざ知らず、これまで何十という国産ヘルメットを使ってきましたが、大きな不具合を感じたことはない。S、M、L、XLのサイズ展開で十分にフィットしてきたし、個々人の頭のサイズは確かにそれぞれ違いますが、それにしたって大同小異であろう。
何より、こうしたいかにも広告屋やマーケターが考えつきそうなサービスは、まず疑って臨むべし。と、これまで決めつけてきた。
それが単なる思い込みであるということを、今回痛感することとなった。


9月の中旬から店頭に並ぶと言われる『WYVERN Ø』のサンプルがひと足先に見られるということで、仕事が片付いた後の夕涼みランのついでに、千代田区外神田にある『SHOEI Gallery TOKYO』に寄ってみたことがことのはじまり。
私の『Glamster』はサイズがXLで、Lサイズでは側頭部に少々圧迫感を感じての選択でありましたが、高速走行時に首の辺りから聞こえる風切り音が大きく感じたため、ついでにチーク(頬)パッドを厚めのパーツに変えてみようと思い、Glamsterを被って行ったのですが、そのときにこのサービスを勧められたというわけだ。
有料と聞いていたのですが、試すだけなら無料とのことで、せっかくなので試させてもらった。

計測後にどさっと出てきたのがこちらの専用パッド。
計測結果から私の最適なGlamsterのサイズはLサイズとのこと。
XLからサイズダウンさせることもあって、これだけのパッドでの補正が必要になる。
ただ、Lサイズの人がXLサイズから適正フィットを得るやり方もあるのだそうで、その場合は圧迫感が緩められるなどの狙いもあるのだそうだ。
両面テープが施されておりますが、それは剥がさずにパッドに配置して試着する。
おお〜〜こりゃぜんぜん違う。
眉毛とヘルメットの縁の間に、指一本ほどの距離が必要とのことで、これまでは顔の大きさを誤魔化すべく、目深に被るようにしていたのですが、それだと完全なフィット感が得られないとのことでした。
それをパッドで浅く被れるように補正し、いつも適正位置に来るように側頭部にもパッドを配置して調整してあるとのこと。
やはりこの位置が適性であるようで、メガネのテンプルもするっとなんの抵抗感もなく入っていってくれるようになった。
何よりヘルメットを頭全体で支えている感じが心地いい。
「まるで何もかぶっていないような空気のような被り心地が理想です」
とか言われても「またまた〜〜」とか思ってしまいましたが、こりゃ確かに。いつにも増して運転に集中できる。
一旦パッドを外して元に戻してから被り直してみると、これまではまるで頭頂部にヘルメットが乗っかっているような印象だったことがよく分かる。
そして、これまで微妙にヘルメットが動いていたことも思い出された。「空気のよう」は言い過ぎだとしても、圧が分散され数箇所だけでヘルメットを支えていた時と比べ、格段にヘルメットが頭と顔と一体化している感覚が高まった。
不快な風切り音も減少。
適正位置になるとチークパッドと頬から顎にかけて当たる部分も顔の上部分に変わり、チークパッドを厚いものに変えなくても首周りの隙間がなくなるため、首元から入ってくる風切り音はかなり減少した。
もちろんゼロにはならないが耳障りな周波数はカットされており、高速走行時でもほとんど気にならなくなった。
ヘルメット内部の通気性も向上した。
かなり副次的なことですが、ヘルメット内の通気性に関しても、そもそもの設定値が得られるようになるようで、頭に感じる暑さがだいぶ緩和された。
スタッフの方にJ.O+も持っていると伝えたところ、「今回施工したGlamsterのセンターパッドは、J.Oとも共通なので、移設して試してみてください」とのことだった。なんかラッキー。


というわけで、このセッティングで固定していただくことにした。
ここからは有料で、ヘルメット持ち込みでのサービス料は税込¥6,600。
高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれだと思いますが、私には適正価格に思えました。
新たにヘルメットを購入して、同時にこのサービスを受けるのならサービス料が約半額になるので、新品を購入するなら一緒にやった方がいいと思う。
一度このフィット感を知ってしまうともう戻れない。気がする・・・
これじゃあもうSHOEI以外に被れなくなっちゃうじゃあないですか!
とは言ったものの、他のヘルメットを眺めているとやっぱりカッコイイなあと惚れ直してしまうので、多少フィット感が悪くても他のヘルメットも併用していくとは思う・・・のだけれど、このGlamsterが基準値になり、被り心地の格差が広がったらどうなるか。正直私にも分からない・・・

そして、『My SHOEI』にアカウントを持っていれば、計測データと施したサービスの内容はカルテとして保存されるので、またSHOEIヘルメットを購入する際にはこのデータが活かされる。
ちなみに、WYVERN Øなら私の場合はMサイズが指定サイズになるとのこと!
Mとか、無理じゃないんスか??
というくらいに、同じメーカーのモデルであっても帽体の形状には大きな違いがあることがよ〜〜く分かった。
これならば個々にチューニングを施す必要も確かにある。
思い込みやら固定概念というのは誠に恐ろしいということだ。
言ったようにこのサービスは資格をもつ大型用品店でも受けることができるのですが、今回担当した方の話によると、私のヘルメットに施した内容には、コンピューターが割り出したパッド指定に、パッドの設置場所などにご自身の経験則による独自のレシピも加えられているとのことで、やはり施工者ごとに個人差は出てしまうとのこと。
であればSHOEIの方にやってもらうのがどう考えても論理的だし効率的だ。
作業時間もほんの15分程度。
あなたも、ものは試しで経験してみてはいかがだろうか。
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