手付けを打ったあとであるにも係わらず今さら試乗してみることにした。
以前試したのは『Classic』で今回は本命の『Pure』。
エンジンと車体は同じなので
重装備仕様と軽快な標準仕様という違いが比較におけるポイントとなる。
重装備による20kg近い重量差以上にフロントホイールが16インチと
19インチという違いの方に興味が湧く。
Classicに16インチが採用されているのはスタイリング(見栄え)に加え
重量増への対応のための措置だと思われるので19インチではより軽快感が味わえるはず。
今回エンジンモードは迷わず『ROCK』。
やはりこれしかない。というくらいに車体のキャラクターには断然『ROCK』が合っている。
R18にはブレーキ時のタイヤロックを制御するABSの他に、
アクセル操作時の駆動力を制御して最適なトラクションを提供するトラクションコントロールと、
タイヤのスリップなどによって転倒に繋がる車体姿勢の乱れを抑制するスタビリティコントロールとが二重に装備されている。
雨の日や高速道路で乗っていないのでまだ断ずることはできないが、
それらの安全装備に加えて『ROLL』と『RAIN』のエンジンモードは要らない気がする。
BMWの過保護すぎる性格がつい出ちゃってるようにも思えるが
『ROCK』で走り続けるのは、想像以上に乗り手を疲れさせるのかもしれない。
試乗とはいえ、R18を操るのはこれで2度目。
吸入効率、排気効率を極限まで高めたOHC(Over Head Camshaft)ではなく、
エンジンセンターに配置されたカムシャフトからプッシュロッドを介してバルブを操作する
旧態依然としたOHVボクサーツインを、21世紀もすでに20年以上経過している今、
あえて完全新設計したその意義を味わう余裕だってある。
2度目の試乗でなくても、19インチのハンドリングの軽快さは
他のオートバイからの乗り換えに際しても馴染みやすい。
走り出してすぐに迎えるUターンも何の苦もなく熟してくれた。普通のオートバイとして成立している。
「普通」なんて書くと「つまらない」と感じられる方もいるかもしれないが、
オートバイに「非日常性」を求める話しとオートバイを「普通に操れる」話しはまったく次元の違う事柄だ。
私にとってOHVボクサーツインは「非日常性」の象徴的存在だが、
操安性にクセのあるオートバイは非日常以前に危険でしかない。
無事に家に戻るまでが「遠足」なのは大人になっても一緒だ。
Classicに較べて20kg近く軽い車重は、エンジンレスポンスにも効いているように思う。
吹け上がりという領域だけでなく、アクセル操作に対して車体が小気味良く反応する様子がとてもキブンだ。
とは言え、Pureでも充分重量級。
なのでここで言う小気味良さはあくまでも重量級としての小気味良さ。
このエンジン・フィーリングとR18の低重心を活かした旋回性の良さのコンビネーションは、
軽量級の、たとえばモタードだったり、アップハンドルなネイキッド系では決して味わえない
高いグリップ感を伴った独特のフィーリング。
よく“オン・ザ・レール”と表現されるが重量級の“オン・ザ・レールはまた別格だ。
ただ、相変わらずフロントの入りが悪い。
二人乗りを想定しているせいか後ろのプリロードがかかりすぎてる(後ろの車高が高すぎる)ように感じる。
思い込みでR18にはサスペンションの調整機構はないものと思い込んでいたが
試乗から戻ったあとにスタッフの方に尋ねるとリアのプリロード調整機構はあるのだそうだ。
次は是非後ろのプリロードを抜いて試したい。
画像にあるように試乗車もステップボード仕様。
シーソー式のチェンジレバーにも良い面もあるにはあるが、
クラッチ操作との連携がズレることが多々ある。
慣れれば済むことなのでしょうが何となく私には馴染めなさそうに感じる。
普通のバーステップで1ダウン5アップのシフトレバーの方がやっぱり好み。
加えて今回はまあまあスピードを乗せて走らせることができた。
お世辞にもスポーティではないが、言ったように軽快な乗り味を活かせば
曲がりくねった道でもそこそこのペースで巡航できる。
乗り込めば結構速いのではなかろうか。
屈曲のきついタイトコーナーが連続する山道は苦手そうだが、
ハイスピードコーナーが連続する箱根ターンパイクあたりならかなり楽しめると思う。
ついでというわけではありませんが、
HP2 Enduroよりも70mm全幅の広いこの超ワイドなエンジンが
いつもの駐輪スペースに納まるのかも検証させてもらった。
HP2に較べて押し引きがたいへんなので押し込むように駐車させるいつもの駐輪スペースの場合、
HP2のときより3倍以上手間と苦労が増えるが何とか納まることが確認できた。
とかなんとか、
試乗して気づくことはほとんど想定の範囲内。
22年モデルで充分に感慨深いのだから23モデルは要らない・・・・
・・・・はずなのですが、
余計に“オールブラックな”23モデルが欲しくなってしまったのは、
今回の試乗を通して、より自分の理想が明確になったから。
実は今回の試乗には裏目的があって、
画像のようなフラットバーに交換したときのポジションイメージも確認したかった。
手を伸ばしたところに自然に位置してくれるノーマルのハンドルポジションは、
快適性が一番の安全性だと豪語するとてもBMWらしいもの。
でも、このコンセプトモデルが理想型である私としては少しでもここに近づけたいのであります。
R18は画像で見ると大柄に見えるのですが、跨がってみるとポジションはずっとコンパクト。
私の体格ならフラットバーにしてもハンドルが遠すぎることもなさそうだし、
むしろ操作性が上がりそうだということを今回確認することができた。
というわけで、
ここまで見た目にこだわるのなら、より所有欲を満たしてくれる
ブラック仕様のドライブトレインとなる2023年モデルの方がより良い選択であることは明白。
ということに、この試乗を経て至ることができた。
そして、ハンドルを交換することも併せて決定した。
案の定、時間の経過に比例してどんどん支払い額が膨らんでいくが
ここまで盛り上がったらもう行くっきゃない。
というわけで、気が変わる前に 全額支払ってしまうことにした・・・
(つづく)
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