HP2 Enduroを手放し、16歳を過ぎてからはじめてオートバイのない生活を送っている。
そろそろそれも限界だ。
何より、私があぶく銭を持っていて良いことなどあろうはずもない。
夜の街で散財するのがオチだ。
HP2を売って手にしたお金は早いとこ遣わないとならない。
そして、
趣味のモノを売って得たお金は趣味のモノに使うのが私の流儀だ。
1円たりとも食べものや消耗品、生活用品などに化かすわけにいかない。
というわけで、そろそろ“次の旅”、もしかしたら(いや間違いなく)
“最後の旅”に向けた準備に入りたいと思う。
自身の最後の旅の相棒に相応しいオートバイとは。
これはかなりの難題だ。
もちろん、終のオートバイと覚悟していたHP2 Enduroの代わりとなるものなのだから
尚のことそのハードルは高い。
ただ、ハッキリしていることは、それは、急かされることなく、
淡々と距離と時間を共に過ごせる相棒であるということ。
モーターサイクルショーでも感じたことだが、
それは私に限らない世の中の要請のようで、
肩ひじ張らずに等身大で付き合えるオートバイを最近多く目にするようになった。
BMWでも『R nineT』あたりがそこに当てはまるわけなのですが、そこに
「60を過ぎても乗り続けていけるオートバイ」
「あと10年乗って行けるオートバイ」
という観点を加えると、その答はだいぶ違ったものになってくる。
そんな私の第一候補はもちろん、
コンセプトモデルに一発でやられてしまったBMW R18だ。
いよいよファーストモデルの発売が開始され、
2022年のモーターサイクルショーではじめて実車に触れることが出来た。
R nineTとともに『Heritage』というカテゴリーに属するR18は、
お堅いイメージのBMW Motorradの中でも
乗り手が自らのライフスタイルに合わせ込むためのカスタマイズを
メーカー自らが推奨するイマ風のモデルでもある。
だからなのかは分からないが、
実際に目にしたノーマルモデルは「素」のモデルというよりも、
手堅くまとめられた“ハーレーキラー”にしか見えず
私にはまったく魅力が感じられなかった。
その後も一応R18をウォッチし続けていた
のですが、コロナ禍も関係していたのか
カスタムモデルの情報はほとんど入って来ず。
鳴り物入りで登場した割に日本ではあまり人気はないのかな?と
ほとんど諦めかけていたら、今年のモーターサイクルショーに
ボバーキットが奢られたカスタムモデルがはじめて登場し、それを見た私の気持ちは一気に再燃してしまった。
というように、モーターサイクルショーには毎年暇つぶし気分で行っていたはずなのに、
意外と私の転機につながるような重要な情報を得ていたことに今さらながらに気づかされる。
とか思って、こちらの過去の記事を紐解くと
実は2017年のモーターサイクルショーに
R18の原型とも言える『R5 Hommage』が出品されていたことに気がついた。
私とR18との邂逅は実は2017年から始まっていたわけだ。
とか言うとそれっぽく聞こえるが、
要はメーカーのテストマーケティング戦略にまんまと乗せられていただけだ。
ただ、5年がかりで市場規模を計る
マーケティングが実施されていたのだと知ると、
BMWというメーカーの、常に5年先を見据えた先見性が窺い知れる。
それと、
以上の記事を自分でも読み直してみると、
R5 Hommageを含めたコンセプトモデルに端を発する、
装備のシンプルなボバーモデルに対するコメントばかりを
ここに書き連ねてきていたことに我ながら関心させられる。
要はこのコンセプトモデルとまったく同じものが欲しいというだけの事
なのではありますが、それだけ私の深い所に刺さっているということが
自分自身でもよく理解できるということ。
「自分探し」とは良く言いますが、自分の嗜好をきちんと可視化できている人は案外少ない。
といった具合に自身の気持ちも再確認しつつ、
いよいよR18、中でもボバーモデルへの思いが顕在化しはじめたわけなのだが、
今年のモーターサイクルショーにカスタムモデルが出品されていたのに、
そのパーツの情報がディーラーには届いていないという
衝撃の事実に直面することとなった。
社外品のカスタムパーツを組み合わせれば
ボバーモデルを作り上げられることは分かっていたが、
私はメーカー純正だからこそR18のボバーモデルが欲しいのだし、
コンセプトモデルにしてもどこぞのカスタムビルダーの作ではなく
メーカー純正カスタムだからこそ価値がある。
高い安全基準を掲げるメーカー自身が、
見た目重視のカスタムモデルを発売することじたいレアケースなのですが、
BMWであっても各国ごとに存在する基準すべてに準拠することはほぼ不可能。
一昔に較べればかなり柔軟になってきたとはいえ
世界的にも厳しいと言われる日本の道交法に適合させることはかなり難しいはずだ。
そうと分かってはいても、日本国内ではメーカー純正のボバーキットの装着が不可能
という情報には一番打ちのめされた。
それからはかなり熱量も下がっていたのですが、
パーツを海外から取り寄せる可能性も模索しつつ、
引き続きカスタムベースとなるR18の中古車情報は漁っていた。
そうして浦和にあるディーラーに
『R18 First Edition』の中古車が2台あることを知り、
波乗りの帰りにフラッと見に寄っただけだったはずが、
スタッフの方から衝撃の事実を聞かされることになる。
「メーカー純正のボバーキットなら、 もう発売されてますよ」
(Part2につづく)
コメント