『硬い足回りをなんとかしたい その4』もお読みください。
ウスウスというか、ミエミエというか。こうなることはすでに皆さんも予想されていたかも知れない。
結局『ライダーハウスドリーム』が販売している、同じYSSサスペンションのローダウンモデルも買ってしまった。
確かにお金は無駄にかかったが、遠回りでは決してない・・・はずだ。
スプリングやストロークが短縮された「なんちゃってローダウンサス」ではなく、ストローク量もプリロード量もそのままで全長が短くされているところがミソ。
そして、パーツのほとんどが黒くされたブラックバージョンにすることで、前向きな買い換え感を演出した。
つもりだ。
言い訳はさておき、これまでのお復習いをしておく。
重すぎるエンジン重量によって、フロント荷重が大きくなりすぎているR18の前後バランスを適正化すべくリア側の車高を下げてみることにした。
YSSのサスペンションによって、ノーマルのリアサスペンション長の390mmから、385mmに変更し、まずは想像された方向性に間違いがないことを確認。その上で、段差での突き上げを緩和すべく、フロントのスプリングを柔らかいウィルバースに交換。
するとフロントの車高は下がってしまい良い方に変わりつつあったターン時のマナーは、ほぼノーマルの時のアンダー傾向に戻ってしまった。
再び下がってしまったフロントを上げるべくフロントサスペンションのカラーを13mm長いものと交換してプリロードを掛けてみたところ、またアンダー傾向は抑えられるようになってくれた。
特に一番怖かったプッシュアンダーはこの時点でほぼほぼ解消することができた。
突き上げはだいぶ緩和さては来たものの、依然として乗り心地が良いとは言えないレベル。
そして、下り坂のコーナー入口でフロントグリップが探り探りとなってしまいなかなかリーンには入れない症状が残っている。
そこで、更にフロント荷重を抜くためにリアの車高をもう一段下げてみたくなり結局同じYSSのローダウン仕様を取り寄せることになったというわけだ。

ローダウンモデルに付属する2種類の長さの違うエンドアイに交換することで、サスペンションの全長を
380mmと370mmとに変更できる。
エンドアイの取り付け部には±5mmの調整幅があるので385mmから365mmまで調整可能になるのだがライダーハウスドリームによると、ドライブシャフトの駆動を妨げない限界値は370mmになるという。
まずは全長をこれまでよりも5mm短くした380mmから試してみる。

長い方のエンドアイの取り付けネジをセンターで組むと全長は380mmになる。
サス長を5mm短くするごとに、車高は約1cmずつ下がるので、これでリアの車高はノーマルから2cm下がったことになる。

せっかくなので、前回載せ忘れたサスペンションを外したところの画像を載せておく。
空間を余すことなく様々な部品が詰め込まれている様子が窺える。

すでに手慣れたもので交換作業は30分で完了。
やっぱりブラックバージョンはカッコイイ。特別感がパナイ。


早速テスト走行に向かった。
やはり、リアを下げてフロント荷重を抜いてやるとステアはニュートラルに近づき、よりリーンがしやすくなる。
ノーマルのフロントに全長385mmのリアサスを組合わせたときよりもリーンはしやすくなってくれた。
これで向かっている方向の正しさはさらに確信的となったのだが、それでもまだ下りのコーナーでは手探りになってしまい怖さが残る。
繰り返すがあくまでも350kgを超す車重にロングホイールベースのR18にとってのアンダーステアであって、一般的なオートバイと較べたらド・アンダーの部類。それでも大した進化だ。

いよいよこれが最後という思いでエンドアイをすべてネジ込み、リアサスの全長を375mmまで短くした。
リアの車高はノーマルから−3cm。
これで平地でのターンの仕方については、ほぼ気にならないレベルにまでなった。及第点。
荷重時にきちんと前後が一緒に動いている。これなら一本橋チャレンジもいけそう。
やはりサスペンションセッティングの奥義は前後バランスを取ることなのだと再認識。
面白いもので、セッティングが整ってくるとむしろ何も感じなくなる。
気になる部分だけがザルで濾された不純物のように残るので、それがなくなると感想自体がなくなってしまう。それはそれでちょっと残念。
ただ、下りで曲がりはじめない感じは程度の差こそあっても相変わらず。
これに関してはもうリアの車高とは無関係なような気さえしてきた。諦めるしかないのか。
そこで、モノは試しでリアのプリロードを 10mm加えてみた。
そうすることにした理由は、実はほとんどない。やれることがなくなったのでやってみたまで。
ここまでプリロードを抜いても何ひとつ良くならないどころか悪化してばかりだったので、足してみたわけだ。10mmという長さに関してもここまで5mm程度変えても何も変化がないことは感じていたので一気に1cmいってみただけのこと。ちなみにYSSの出荷時のプリロード設定は体重75kgに合わせてあるとのこと。
走らせてみると、フロントの入り方に 改善の兆しが見えてきた!
プリロードを掛ければリアの車高は上がる。
つまり私の狙いとは逆になるはずなのにそうならないのもサスペンションセッティングの奥深いところ。
プリロードを上げたことで明らかにリアのトラクションの掛かりが良くなっており、早い段階でリアステアに移行できていることが理由だと思われる。
近所の坂道を何往復もしながら伸び側減衰を3ノッチずつ上げていくとグリップ感は薄めながらも自然にリーンをする感覚が上がってきた。
というように、セッティングとは頭で考えられる以上のことが起こる。
なので、面倒くさがらずに、できることはすべてやり尽くす事が寛容。

というわけで、いよいよリアサスの全長を リミットの370mmまで 短くしてみることにした。
これでリアの車高は4cm下がったことになる。

上がノーマル時で下が4cmリアの車高が下がった状態。

シートの下側とフェンダーの間の空間と、マフラーとリアの車軸との位置関係、ほぼ水平になったドライブシャフトを見るとかなり下がっていることが分かる。
実際に見ると画像よりずっとロー&ロングが強調されている。
プリロードは10mm加えたまま。
伸び側減衰を絞めきったところから9ノッチ戻しのままで走らせてみると、かなり良くなった!
車重なりの曲がりにくさはもちろんあるがほとんど下り坂を苦にしなくなった。
これはいい!

近所の波状路で突き上げを確認してみたのだが、こちらは60点といったところ。
ノーマルが10点だったので、改善はしているのですが、それでもが及第点にはほど遠い。
それでも60〜80km/h以内であれば段差を乗り越えてもほとんど跳ねなくはなった。
低速でハンドルが切れ込む症状も改善はされたが、そのほとんどが私の慣れによるものだと思われる。
タイトコーナーや交差点で、小回りして立ち上がる際に内側のハンドルを押し込んで、切れ込もうとするフロントを支えてやる必要は依然として残るが、タイトなUターンでは、むしろ切れ込むハンドルを無理にこじらずにフルロックまで行かせてしまってアクセルコントロールで帳尻を合わせる乗り方で無理なくできるようになった。
何より、納車時から悩まされたコーナーでアクセルを開けるとフロントがすっ飛んで行きそうになるプッシュアンダーはきれいに消えてくれた。
車重200kg程度で、ホイールベースが一般的なオートバイとは較べものにならないクセのあるハンドリングですので、あくまでも「R18としては」の但し書きのつく内容ですし、他人が何の違和感もなく乗れるものでは決してありませんが、それでも何でもオーナーとしては、否、オーナーだからこそ嬉しいと思える改善が見られた事は素直に喜びたい。
何より、オートバイをひとつずつ自分に合ったものに調整していく楽しさは他の何ものにも代えられない。
セッティング作業もまた、しないと損するオートバイの楽しみのひとつなのであります。
R18。味わい尽くしております。


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