南風ブンブン2Days @鹿嶋

新天地での活躍を胸に、一念発起して沖縄に移住したatuでしたが、本州の仕事ばかりになってしまい、結局関東に出戻ってくることになった。
「沖縄に骨を埋める覚悟」なんて言ってましたが、こうなることもなんとなく想像していたので、私もこの日一緒だったOYくんも、atuがこっちに戻って来ることに特に驚きもないのですが、本人とすればこれまた大きな決断であったわけなので、儀式でも社交辞令でも「お帰りなさい会」を開催しないとならない。
といった目的を帯びた波乗りの日であります。

ただ、この日の関東圏はかなり強めの南よりの風が吹く予報。
となれば、鹿嶋の平井ポイント、ほぼ一択。
平井にはこれまでも何度もこういった状況でおいしい思いをさせていただいてきた。
いわゆる二匹目のドジョウだったわけですが、毎度毎度うまいこといくわけもなく。

セットでムネくらいあり、風波も加わったウネリは強めに入っていたのですが、そのぶん波数も多くインサイドは白波が忙しなく迫ってくる状況。この日もアウトに出るのに一苦労させられる面倒な波だ。
しかも、切れ目の少ない繋がりがちな速い波ばかりで、ゲットの苦労が多いわりに、波質の見返りの少ない「ハイリスク・ローリターン・ウェーブ」であることも、ここ数回の海に共通する傾向。
復帰戦となるatuとしては「まずはマッタリとやりたいス」といったところでしたが、いきなりハードな状況となった。ただ、少しは同情するが面倒なのは我々も一緒なので、基本放っておくことにする。

仕事の鬱憤やら、引っ越しの苦労やら、溜まりに溜まっていたatuの精神的なハケ口はやはりお買い物。
この日atuは『Ellis Ericson LITE KITE 6’4』を持ち込んで来た。
手前は私の『Ellis Ericson Hybrid Hull 6’10』。

前回、atuが出張でこちらに戻って来たときに、私の『Hybrid Hull 7’4』に乗せたところ、Hybrid Hullのことをいたく気に入ったようで、結局atuはその出張中に7’0のHybrid Hullをオーダーしてから沖縄に戻って行ったのですが、その気持ちとは裏腹に、オーストラリアでハンドシェイプされる、オーダーシートが列をなすような人気の高いシェイパーのサーフボードが手許に届くのはほぼ1年後。
トーゼンそんなに待てないatuは、オーダーした先にあった中古のLITE KITE 6’4を持って帰っていた。
私としてもLITE KITEには興味津々だったので、身近にこういう手の早い人がいるのはとても助かる。

というわけで、この日はatuの乗るLITE KITEの動きに注目しながら波に乗ることとする。

言ったようになかなか面倒くさい波で、質も量もあまり望めないこういった波の日は、こうした速い波の対応に関する訓練に集中するのが吉なのですが、とはいえ1本乗ると大きく体力を削られる時間がつづくため、そうは言っても頭の切り替えが難しい。
atuにしてもLITE KITEを存分に滑らせるには至らないようで、なかなかに苦戦させられていた。

昼メシを食べた後の第2ラウンドは、サイズは下がり、波間も広がったのですが、南風が更に強まり面はバサバサになってしまった。
う〜〜〜ん。モノゴトはなかなか上手く運ばない。

というわけで、16時から鹿嶋市内の居酒屋でatuの出戻りを祝う会。
波はアレでしたがOY幹事の見つける居酒屋にハズレはない。
波乗りして、明るいうちからビールジョッキを傾ける幸せよ。
あ〜〜呑んだ呑んだ。

朝方は冷え込むくらいなので、まだまだ快適に車中泊できる気候。
暑いのは本当に寝苦しい。車中泊は寒い方がずっとラクだ。
かといって私は、エアコンのためにエンジンを掛けっぱなしにして安眠できるような環境破壊野郎ではない。
長期予報によると今年の夏も暑いらしい。7月の中旬くらいから車中泊は難しくなるかも。
車中泊できることの幸せを噛みしめて眠ることにする・・・

その翌朝。
この日も引き続き南風強めで平井にやって来た。

サイズコシ。強いオフショアに押し戻されて前日よりサイズダウン。
繋がりがちであることは変わらずで、切れ目を見つけるのが難しい。
っていうか、選り好みしている状況ではないのでショルダーから入れるかどうかは出たとこ勝負。

問答無用で『Hybrid Hull 6’10』。
混んだ場所になると尚のこと、ホレ気味の速い波に乗りきれない。
周りより2mアウトからパドルで速い波のウネリから乗っていくのが理想なのですが、2m余計にパドルする腕力がないこと、そもそもパドルが遅いこと、速い波のウネリに合わせられないこと等が重なって、結果乗り切れない。
空いていれば2mぶん下がらずにウネリだけを見て合わせて行けるのでまだ乗れるのですが、混んでいるとそうもいかない。
こういうときに道具でなんとか対処したいと思ってしまうのが素人だということは、痛いほど分かっているのですが、それでもついついこういう波に合ったボードってないものか?と考えてしまう。
ただ、速い波に乗りきれないのは完全に私のせいなので、Hybrid Hullにまったく罪はない。
それどころか、Hybrid Hullはウネリからの反応もとても良く、パドルも決して遅い方ではないので、上手い人ならどんな波であってもHybrid Hullをもっと機能させられるだろう。

こういうときはもちろん試行錯誤を繰り返すことが、上達の一番の近道なのですが、周りに人が多いとなかなか繰り返し同じ状況を作り出すことができない。こういうややこしい状況だと尚のこと、周りのサーファーとの距離感の取り方が難しく、結局乗り遅れてしまう、の悪循環。

なんてボヤいていたら、atuが『LITE KITE』に乗らせてくれた。
こちらは6’4なので私のHybrid Hullに較べて6インチ短いことになる。
「乗り手の問題」とか言った舌の根も乾かぬうちに「短い方が速い波には良いはず」とか考える始末。
んで、案の定これに乗っても速い波を捕まえきれない。そりゃそーだ。下手なんだから。

クワッドフィンが採用されていたり、エッジは浅めでコンケーブが深めだったり、ボトムシステムはかなり違っているのですが、同じEllis Ericsonがシェイプしているので、走り出しの感触など、基本的な素性はほぼ同じに感じる。
一番大きな違いを感じるのはやはりフィンシステムで、シングルに較べてやはりクワッドの抵抗感は高く、乗り換えに際しては慣れるまでテールを引き摺っている感覚に囚われる。
明らかにシングルフィンのHybrid Hullの方が速い。
ただ、そのぶんテールが水面を引っ掻く感覚は強く、深く強いターンができてしまう。
シングルフィンと同じように踏んだ最初の一発目では、曲げすぎて波の裏側まで出てしまった。
そして、こうして同じ波で直接比較すると、Hybrid Hullの「ハル」の特性が逆に浮き彫りになる。
Hybrid Hullの方がトップからフェイスに滑り落ちていく感覚が強い。
縦に加速しながら深いボトムターンに繋げていくHybrid Hullと、トップからハイラインに向けて飛ぶように曲がっていくLITE KITE。
う〜〜〜ん。これまた「似て非なる重箱の隅」なのですが、だからこそ両方味わいたいと思わせる絶妙な違いを魅せてくれている。
LITE KITEも良いなあ。って言うか、やっぱりEllis Ericsonの削る板はどれもいいなあ。

そして、サイズも下がった10時過ぎに上がることにした。
あ〜疲れた。主に精神的に疲れた。
ほど良い疲れとは口が裂けても言えないが、まあまあ波乗りにはなったのでヨシとしよう。
atuくん。ではまた来週。

・・・・・・・・・・・閑話休題・・・・・・・・・・・

そんな鹿嶋からの帰り道。
例によって下道で帰る私なのですが、江戸川に架かる「流山橋」が最大の鬼門。
日中は橋の渋滞を抜けるのに1時間以上かかってしまうため、遠回りになっても越谷の方に回避するようにしているのですが、結局1時間余計にかかってしまうのでまさに痛し痒し。
流山橋の渋滞は多くの方々共通の問題のようで、平行するようにすぐ隣に位置する『三郷流山橋有料道路』が開通したので早速使ってみた。

普通車通行料の150円を高いとは思わないのですが、イマドキETCが使えないのはいただけない。
こんなに便利な道ができても、ナビに表示される流山橋は真っ赤に渋滞していたのはそれが原因なのか。
そして今回、ここを使ってみたことで、すぐ近くを通る常磐自動車道 柏 I.C〜三郷間が520円、流山 I.Cからなら360円だということに気づいてしまった。あたりまえだがそっちの方が早いし、トーゼンETCが使える。
カオスだ。

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