猛暑だったり急な雷だったりも気になるが、そうした気象変動に関連してなのか、ここのところ週末に波が整わない。
海水浴シーズンによってポイントが制限されるということもあるが、家の事情で家を空けられずこれまでのようにブラッと遊びに出かけることができないことも大きい。
だからと言ってハナっから遊びに出かけることを諦めるわけにはいかない。
たとえ可能性は低くても、常にワンチャンを狙う姿勢は貫きたいところだ。
そして家の事情に関する“ワンチャン”が月曜日に訪れた。
正確には日曜の夕方。
翌朝の波のサイズはあまり期待できそうにないが、朝のうちは面が良さそう。
火照った身体を冷ますにはむしろ持って来い。
何より、スモールでも何でも波に乗りたい。
そんなわけで、やって来たのはアソコのポイント。
8時頃から南風の影響を受ける予報だったので、いつもより早めの6時過ぎに入水。
日の出とともに気温はグングン上昇し、この時間ですでに陽差しが熱い。まさに熱射。
海パンで入りたかったが、仲間からもクラゲ情報が寄せられ、日和ってショートジョン。
ショートジョンにしたところで、クラゲから見れば手も足も丸出し状態なので、海パンと大差はないのですが、私的にはこれが防御と攻めの姿勢の良い塩梅な落としドコロ。
なんて言っていたら、波待ちをする私のすぐそばをエイが泳いでいった・・・
ここでは何度か浜に打ち上げられているエイの亡骸を見かけていたので、存在すること自体は認識していたのですが、エイって海底を泳いでいて、踏んだりすると尻尾で刺されるイメージだったので、海面を泳いでいる様を見てちょっとビビった。海の生物たちにとっても、海水温が上がりすぎるのは迷惑なのだそうだが、海面を泳ぐエイもそれと関係しているのだろうか?
それはさておき、肝心の波ですが、波数は少なめでブレイクもインサイドよりではありましたが、きれいなモモ〜コシがブレイクしてくれていた。
何より、平日は空いているので、隣との距離を気にせずに余裕を持って切れ目を狙っていける。
波数が少なくても充分に波乗りの質を上げることができるわけだ。
特に理由はないのだけれど、この日は『Hybrid Hull 6’10』に『Power Glide』なキブン。
強いて挙げれば、パワー弱めのタル目な波を、いかに素早く抜けるのか?がこの日のテーマ。
いつもは他の方が波に乗っている様子を撮影させていただいているのですが、何せ人が少なくてこの日の波の状況を象徴するような画像を撮影できず。
よって、波の様子は想像していただく他ないのですが、この日もエリス・エリクソンは私を裏切らなかった。
いい気になってインサイドまで引っ張りすぎると、フィンを擦るほどの浅瀬まで何事もなく滑って行ってしまうので、むしろ注意が必要なほど。
私が通う場所を、いつも通りに、デイリーに楽しませてくれるこのボードの懐の深さには毎度惚れ直させられる。一日の中で60点の波乗りを連発すれば、その日は80点になるし、一本だけ80点の波に乗れるのと、私の中では等価値になる。エリス・エリクソンのボードは、私のような輩にも、その両方を狙える可能性を与えてくれる。
サーフィンは「どう乗るか?」以前に、「どこに行くか?」でその日の波乗りの質がおおよそ決まってしまうスポーツだと思う。なので、ポイントのすぐそばで暮らし、毎日同じポイントを眺めてポイントの特性を知り、ここぞという日にいつでも漕ぎ出せるようにしておくか、もしくは天気図の読図能力に加え、ここ最近の個々のポイントの地形や特性に関する情報を入手できるような幅広いネットワークを持ち、それらを活かすフットワークの良さを備えるかのいずれかが必要になると思う。
そうして出会う質の高い波と対峙してはじめて、自身のクオリティを上げる段階に移行できる。
それは雪山でザ・デイを狙うのとまったく同じ。
ただ、海であれ雪山であれ、残念ながら私には、そのふたつの選択肢のいずれかも手に入れることができない。
正確には手に入れる気力や、やる気を持つには至らないと言った方が正しいだろう。
そんなめっちゃホリデーな私なので、つたない情報収集能力で向かった先で、何点稼ぎ出せるのか?が、毎回のテーマとなる。
こういう気の抜けた波乗りは、高性能な波乗りまでをも意図されているシェイパーの方には失礼に当たるのかもしれないが、80点の波乗りを狙わない(狙えない)私のようなサーファーにとって、エリス・エリクソンのボードのもつ、レンジの広さの頼もしさと言ったらない。
ただ、乗りやすければそれでいいのか?と問われれば、それだけでは私のような波乗りの質を上げることはできない。攻略性だったり、クセの強さなど、その一本に自分の操作という足跡を残せるような、一本のライディングを記憶に残せるような特別な何かが欲しくなる。
そのためには自身の性格や方向性に合った独自性を見つけ出すことが必要になるのですが、私にとってエリスの削るボードにはまさにそれがある。
エリスのボードが達成した、扱いやすさと独自性という二律背反する要素のブレンディングは、私にとってまさに“マジックボード”。
だから、サーファーの数だけマジック・ボードは存在するし、その定義もまた星の数ほど存在する。
まずは自身の定義を見つけられたことに誇りを持ちたい。
とか、やる気のなさを棚に上げて思ったりできることがとっても大事。
予報通りに8時過ぎにオンショアが強めに入りはじめ、波質は一気にダウン。
風波が加わり、一見波数が増えたようにも見えるのですが、引き潮も加わって割れづらくなってしまった。
茨城側に移動してつづけることも考えたのですが、そっちはそっちで波数過多の高速波乗りになりそうだったので、8時半まで2時間半やっつけてこの日は終了。
というのは半分ウソで、仕事の連絡が入らないかビクビクだったから。
とても夏らしい海を味わえた。
やっぱりこういうガツガツしない波乗りが最高だ。
こういうのを身の丈って言うのかどうかは分からないが、充分に満たされている自分がいることが何より重要。
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