【BMW R18】硬い足回りをなんとかしたい その5: 結局 C-Spec発動

ウスウスというか、
ミエミエというか。
こうなることはすでに皆さんも
予想されていたかも知れない。

結局『ライダーハウスドリーム』が
販売している、同じYSSサスペンションの
ローダウンモデルも買ってしまった。

確かにお金は無駄にかかったが、
遠回りでは決してない・・・はずだ。

スプリングやストロークが短縮された
「なんちゃってローダウンサス」ではなく、
ストローク量もプリロード量もそのままで
全長が短くされているところがミソ。

そして、パーツのほとんどが
黒くされたブラックバージョンに
することで、前向きな買い換え感を演出した。
つもりだ。

言い訳はさておき、
これまでのお復習いをしておく。
重すぎるエンジン重量によって、
フロント荷重が大きくなりすぎているR18の
前後バランスを適正化すべく
リア側の車高を下げてみることにした。

YSSのサスペンションによって、
ノーマルのリアサスペンション長の390mmから、
385mmに変更し、まずは想像された方向性に
間違いがないことを確認。その上で、段差での
突き上げを緩和すべく、フロントのスプリングを
柔らかいウィルバースに交換。
するとフロントの車高は下がってしまい
良い方に変わりつつあったターン時のマナーは、
ほぼノーマルの時のアンダー傾向に戻ってしまった。

再び下がってしまったフロントを上げるべく
フロントサスペンションのカラーを
13mm長いものと交換してプリロードを
掛けてみたところ、またアンダー傾向は
抑えられるようになってくれた。
特に一番怖かったプッシュアンダーは
この時点でほぼほぼ解消することができた。

突き上げはだいぶ緩和さては来たものの、
依然として乗り心地が良いとは言えないレベル。
そして、下り坂のコーナー入口で
フロントグリップが探り探りとなってしまい
なかなかリーンには入れない症状が残っている。

そこで、更にフロント荷重を抜くために
リアの車高をもう一段下げてみたくなり
結局同じYSSのローダウン仕様を取り寄せる
ことになったというわけだ。

2023_1018-6.jpg

ローダウンモデルに付属する2種類の
長さの違うエンドアイに交換することで、
サスペンションの全長を
380mmと370mmとに変更できる。
エンドアイの取り付け部には
±5mmの調整幅があるので385mmから
365mmまで調整可能になるのだが
ライダーハウスドリームによると、
ドライブシャフトの駆動を妨げない
限界値は370mmになるという。

まずは全長をこれまでよりも
5mm短くした380mmから試してみる。

2023_1018-7.jpg

長い方のエンドアイの取り付けネジを
センターで組むと全長は380mmになる。
サス長を5mm短くするごとに、
車高は約1cmずつ下がるので、
これでリアの車高はノーマルから
2cm下がったことになる。

2023_1018-4.jpg

せっかくなので、前回載せ忘れた
サスペンションを外したところの
画像を載せておく。
空間を余すことなく様々な部品が
詰め込まれている様子が窺える。

2023_1018-8.jpg

すでに手慣れたもので
交換作業は30分で完了。
やっぱりブラックバージョンはカッコイイ。
特別感がパナイ。

2023_1018-14.jpg
2023_1018-26.jpg

早速テスト走行に向かった。

やはり、リアを下げて
フロント荷重を抜いてやると
ステアはニュートラルに近づき、
よりリーンがしやすくなる。
ノーマルのフロントに全長385mm
のリアサスを組合わせたときよりも
リーンはしやすくなってくれた。

これで向かっている方向の正しさは
さらに確信的となったのだが、
それでもまだ下りのコーナーでは
手探りになってしまい怖さが残る。

繰り返すがあくまでも350kgを超す車重に
ロングホイールベースのR18にとっての
アンダーステアであって、一般的なオートバイ
と較べたらド・アンダーの部類。
それでも大した進化だ。

2023_1024-78.jpg

いよいよこれが最後という思いで
エンドアイをすべてネジ込み、
リアサスの全長を375mmまで短くした。
リアの車高はノーマルから−3cm。

これで平地でのターンの仕方については、
ほぼ気にならないレベルにまでなった。
及第点。
荷重時にきちんと前後が一緒に動いている。
これなら一本橋チャレンジもいけそう。
やはりサスペンションセッティングの奥義は
前後バランスを取ることなのだと再認識。

面白いもので、セッティングが整ってくると
むしろ何も感じなくなる。
気になる部分だけがザルで濾された不純物の
ように残るので、それがなくなると感想自体が
なくなってしまう。それはそれでちょっと残念。

ただ、下りで曲がりはじめない感じは
程度の差こそあっても相変わらず。
これに関してはもうリアの車高とは無関係
なような気さえしてきた。
諦めるしかないのか。

そこで、
モノは試しでリアのプリロードを 10mm加えてみた。

そうすることにした理由は、実はほとんどない。
やれることがなくなったのでやってみたまで。
ここまでプリロードを抜いても何ひとつ
良くならないどころか悪化してばかりだったので、
足してみたわけだ。10mmという長さに関しても
ここまで5mm程度変えても
何も変化がないことは感じていたので
一気に1cmいってみただけのこと。
ちなみにYSSの出荷時のプリロード設定は
体重75kgに合わせてあるとのこと。

走らせてみると、フロントの入り方に 改善の兆しが見えてきた!

プリロードを掛けるとサス長は伸びる。
つまり私の狙いとは逆になるはずなのに
そうならないのもサスペンション
セッティングの奥深いところ。

プリロードを上げたことで
明らかにリアのトラクションの掛かりが
良くなっており、早い段階でリアステアに
移行できていることが理由だと思われる。

近所の坂道を何往復もしながら
伸び側減衰を3ノッチずつ上げていくと
グリップ感は薄めながらも
自然にリーンをする感覚が上がってきた。

というように、セッティングとは
頭で考えられる以上のことが起こる。
なので、面倒くさがらずに、
できることはすべてやり尽くす事が寛容。

2023_1106-31.jpg

というわけで、
いよいよリアサスの全長を リミットの370mmまで 短くしてみることにした。
これでリアの車高は4cm下がったことになる。

2023_1106-27.jpg

上がノーマル時で下が4cm
リアの車高が下がった状態。

2023_1106-29.jpg

シートの下側とフェンダーの間の空間と、
マフラーとリアの車軸との位置関係、
ほぼ水平になったドライブシャフトを見ると
かなり下がっていることが分かる。
実際に見ると画像よりずっと
ロー&ロングが強調されている。

プリロードは10mm加えたまま。
伸び側減衰を絞めきったところから
9ノッチ戻しのままで走らせてみると、
かなり良くなった!
車重なりの曲がりにくさはもちろんあるが
ほとんど下り坂を苦にしなくなった。
これはいい!

2023_1103-1.jpg

近所の波状路で突き上げを確認してみたのだが、
こちらは60点といったところ。
ノーマルが10点だったので、改善はしている
のですが、それでもが及第点にはほど遠い。
それでも60〜80km/h以内であれば
段差を乗り越えてもほとんど跳ねなくはなった。

低速でハンドルが切れ込む症状も
改善はされたが、そのほとんどが
私の慣れによるものだと思われる。

タイトコーナーや交差点で、
小回りして立ち上がる際に内側のハンドルを
押し込んで、切れ込もうとするフロントを
支えてやる必要は依然として残るが、
タイトなUターンでは、むしろ
切れ込むハンドルを無理にこじらずに
フルロックまで行かせてしまって
アクセルコントロールで帳尻を合わせる
乗り方で無理なくできるようになった。

何より、納車時から悩まされた
コーナーでアクセルを開けると
フロントがすっ飛んで行きそうになる
プッシュアンダーはきれいに消えてくれた。

車重200kg程度で、ホイールベースが
一般的なオートバイとは較べものにならない
クセのあるハンドリングですので、
あくまでも「R18としては」の但し書きのつく
内容ですし、他人が何の違和感もなく乗れる
ものでは決してありませんが、それでも何でも
オーナーとしては、否、オーナーだからこそ
嬉しいと思える改善が見られた事は
素直に喜びたい。

何より、
オートバイをひとつずつ自分に合った
ものに調整していく楽しさは
他の何ものにも代えられない。
セッティング作業もまた、しないと損する
オートバイの楽しみのひとつなのであります。
R18。味わい尽くしております。

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