先シーズンにつづき、今年も春の山開けのタイミングで至仏山を滑ってきた。
4年前に初めて至仏を滑った時と同じ、松ちゃん、ミナちゃん、そしてユウタくんが集まってくれた。
今年の春の至仏山の山開けはこの前日の土曜日。お三方はこの前日も滑っているので二日連続の至仏山BC。なんとも頭が下がります。

今回は『MAGIC38 Split』に『Karakoram PRIME-X』をセッティングして持ち込んだ。
先日の白馬乗鞍では『UNION ROVER』にPRIME-Xを組み合わせて登ったので、PRIME-Xをスプリットボードで使うのはこれがはじめて。とはいえこちらが本来いるべき場所でもありますし、すでにその実力は実感できているので、スプリットボードで使うKarakoramに、もはや不安や心配事は微塵もない。楽しみしかない。

こちらにあるように、案の定今年は至仏も雪が少ない様子。
ユウタくんはムジナ沢が好きなので、まだ行ったことのない私は今年こそ連れて行ってもらおうかなあ、とか思っていたのですが、今年はご覧の通りムジナ沢は立ち入り禁止。



朝の鳩待峠の様子。
さすがは山開きの週末だけあってガイドツアーも多く、ものすごい賑わいを見せていた。
とはいえ、ノートラックを狙うわけでもないので、とてものんびりとした空気が流れている。
私に限ってはピクニック気分なので、焦る必要はどこにもない。

そうして8時に鳩待峠を出発した。

ちょうど1時間で尾瀬ヶ原を見下ろせる位置まで上がってきた。


昨年同様にこの日もとても良い天気。
この4人で登った4年前はガッスガスで視界は真っ白だった。
ちなみにこの前日はもう少し雲が多かったとのこと。
すっかり3人を偵察隊にしてしまった。ありがたいやら申し訳ないやら。

9時半には天然のハーフパイプ地形のところまでやって来た。良いペース。


10時。森林帯を抜け小至仏山の取り付きに到着。
あ〜〜気持ちいい。やっぱり山はいいなあ。
元も子もないことを言うようで恐縮ですが、滑走距離を比べるまでもなく、滑りだけ考えたらスキー場の方が数倍楽しい。
今シーズンは特にスキー場でバッフバフの深雪に何度もありつけてしまったので、バックカントリーならではの斜面でなくてもお腹がいっぱいになっている。もちろん、バックカントリーで描く、奇跡のような一筆書きのラインの素晴らしさもよ〜〜く分かっているので、滑り重視の山行を決して否定はしないけれど、近頃バックカントリーでは、滑りよりも登りの方により重きを置くようになった。
とはいえ、下りも歩いて帰るとか、あり得ませんけどね。あくまでも滑るために登る。
そんな私に、春の至仏はちょうど良い感じ。


小至仏山の下側をトラバースするあたりは厳しい片斜がつづき、いつもシビれることが多いのですが、今回はとても出来の良い高速道路がすでに完成していた。ラクラク。

海外の方がSNSに「片斜のトラバースでは、スプリットボードを左右逆に履いた方がグリップが良い」と言う投稿を上げられているのを目にした。
「トラバースで足元を掬われるのは、ほぼ谷側のインサイドエッジだから」というのがその方の言い分で、言われてみれば確かに、これまで山側の外エッジがズレた記憶はあまりない。直線になるエッジの方に斜め上から荷重した方が確かにエッジグリップが良いように思える。

KARAKORAMにはまさにこの“片斜問題”に対処することを謳う『FLEX LOCK』というアクセサリーが用意されている。画像と説明書きを読んだだけではその構造と意図を理解することはできないが、ブーツとバインディングとの一体感を上げて、ハイク時のエッジ操作をより明確にさせる SPARK R&Dの『BD TOURING STRAP』と同様の効果が得られるものと推測されるが、単純にハイバックにブーツを括り付けて、シールの圧着度も上げようとするSPARK R&Dとは違い、FLEX LOCKはビンディングを足の外側から斜め上方向に引っ張り上げ、よりインエッジが立つようにしているように見受けられる。なんて書いていると試したくなっちゃうのですが、スプリットボードだけでなく、ソリッドボードでもPRIME-Xを使おうと思うと、この簡単に外せそうにない装置は邪魔になりそう。

というわけで、今回試しにボードの左右入れ替えをやってみた。
今回はスプリットボード2本分でしっかりと踏める、とても素晴らしい高速道路ができていたため、この本領を確かめることは叶いませんでしたが、短い距離ながらもわざと高速道路を外して未舗装の片斜を歩いてみると、確かにこの向きの方が足元の安心感は高いように思えた。
また次の機会でも試してみようと思う。

今回はじめて使ってみたPOMOCAのスプリットボード用テールフックですが、ベルトフックにベルトに空いた穴を引っ掛けて位置決めするBLACK DIAMONDのテールベルトで使ってもハイク中にズレることはなかった。ただし、外す際にはズレてしまったので、次に使う際にはまた位置を調整する必要がありそう。


10時42分。
小至仏山を過ぎ、至仏山の取り付きまでやってきた。
谷川岳を含む、至仏山の裏側の景色がまた素晴らしい。

11時20分。無事至仏山山頂に到着。
気持ちいい〜〜〜〜〜
遅れながらもしっかりと着いて来ていたミナちゃんですが、前日の山行で両足にマメができてしまい、この日は歩くとかなり痛かったのだそう。このあとブーツを脱ぐのも辛いくらいだったと聞いて驚かされた。それでもへこたれずに登り続ける意志の強さには感服させられる。スーパー山ガール。もちろん痛みに弱い私には無理中の無理。

今回、プリットボードで登ってみて改めてその機動性の高さと安楽性を思い知ることとなった。
何より、ボードを背負わなくても良いことは、何にも増して重要なスプリットボードのメリットだと思い知らされた。疲れ方が違う。というより精神的な余裕がぜんっぜん違う。
そして、UNION ROVERでハイクした次に、スプリットボードを使って思うのは、クライミングスキンのしっかり感。UNION ROVERで感じた頼りなさは、長さが短いせいだとばかり思っていたが、どうやらそれだけでなく、シールの性能の差もあるようだ。
そのうち使わなくなったクライミングスキンをUNION ROVERに張り替えてみようかなあ。って、「ボードを背負わずに歩けることのラクさを思い知った。とか言ってた舌の根も乾かないうちに何を言ってるんだ」と思われることだろう。それでもIMPOSSIBLEでバックカントリーエリアを滑りたい気持ちの方が度々上回ってしまい、ついつい打開策を探してしまう自分がいる。


早朝に出発された方々も山頂でゆっくりされていたようで、こちらも大賑わい。春の至仏山大盛況。
この日はスプリットボーダーの方も多くいらっしゃり、驚いたことにIMPOSSIBLEのスプリットボードをお使いの方を3名も見かけた。
やはり、バックカントリーで出くわすややこしい状況でのIMPOSSIBLEの有用性の高さをすでに知る方は多いようだ。
私がそのことに気づくのが遅過ぎた。
というわけで、たいしてバックカントリーに出もしないのに、IMPOSSIBLEのスプリットが欲しくなってしまった。
ああ困った・・・

一息つき、滑走準備を始めると、ここで問題に気がついた。
右足側のインターフェースの分割したパーツの前後位置と角度がズレてしまっていた。
本来は書き足した横に長い赤い線がボードの合わせ線と揃わないとならない。
割ったボードの左右を入れ替えてハイクした際に、本来それぞれ裏側に行くはずのパーツ同士がぶつかって動いてしまったようだ。
もちろんこの状態でバインディングは装着できない。
逆足にしたことが原因の故障ではありますが、普通に使っていても起こり得る事象だと思う。
Karakoramのインターフェースは、多くのパーツを組み合わせて完成させているため、どれだけ強くボルトを締めても次第に緩んでくる。特に隙間に水を吸うと、滑って動きやすくなるはず。この不具合はそもそもの構造的な問題でもあるように思う。
残念ながら、構造がシンプルで、前後のインターフェースが離れて装着される『SPARK R&D』の方が、こういった不具合は起きづらい。
もちろん、何かあった時のための工具は持参して来ているので、その場でチャチャっと修正する。
天気の良い春山なら特に焦ることもないが、視界が悪かったり、雪が降っていたり、寒さで手がかじかんだ時など、冷静さを保つのが難しい局面では、単純な作業であっても困難になってしまうことも考えられる。
こうしたことに冷静に対処できるように、装着やセッティングはショップ任せにせずに自身の手で行っておいた方がぜったいに良いと私は思う。


11時40分、ドロップ。


前日にはライダーズレフトの滑走注意区域をかすめるように滑り、ワル沢の方からボトムの川辺に出た3人でしたが、ワル沢で藪漕ぎになるなかなかのアドベンチャーだったということで、この日は至仏山の山頂から、一旦小至仏山の下までトラバースしてから、ライダーズライトの斜面を滑り降りることにした。



雪面には縦溝が多くみられたので、足を取られるかなあと心配になりましたが、適度に緩んでくれていて、重めではありましたが、引っ掛かりもほとんどなく、とても良く走る雪でありました。
ちなみに、「クラックが多い」と注意喚起されていた通り、前日に3人が滑ったラインでは所々でクラックを見たとのことでしたが、こちらのラインではクラックは見られなかった。


ワル沢とオヤマ沢の中間の尾根筋から森に入るラインで、いつものスノーブリッジを目指す。

ありがたいことにこちらのラインではボトムまで雪が着いており「藪漕ぎの刑」には遭わずに済んだ。
見た目にはかなり悪質なストップスノーですが、実際にはよく滑る雪でありました。ありがたや。
それにしても、森の中のラインはいつ来ても気持ちがいい。
こんな余裕をかましていられるのも天気が良いおかげ。


川のほとりに陣取って祝勝会ならぬランチタイム。
たとえどんなに荷物になろうとも、カップラーメンとそのための水、そしてバーナーの用意は欠かせない。もちろん水筒には冷えたビール(500ml)。

このメンツは全員が日清党。しかも全員の味が被らないところが素晴らしい。
これのためにバックカントリーを滑っているようなもの。繰り返しますが、滑り<カップラーメン。至福の時。

松ちゃんが東京銘菓『東京ひよ子』の限定TOKYO TEA味をくれた。
こいつの雪山とのフィット感は『キノコの山』『タケノコの里』以上。その姿はほとんど雷鳥だ。
これほど雪山のフィールドに似合うお菓子があっただろうか。松ちゃんナイスチョイス。


スノーブリッジはかろうじて残されておりましたが、川を渡った先から鳩待峠に戻る一番下の斜面の雪はすでになくなっており、ボードを担いでつぼ足で斜面を登らないとならなかった。ほんの数メートルの話なのですが、藪に覆われた泥道なのでブーツやパンツの裾が汚れるのが少々憂鬱。


木々の間から至仏山を眺めながら鳩待峠まで登り返す。
途中、木道が露わになりかけていた場所もありましたが、なんとか最後までシールで登れるだけの雪は残されていた。
登りと滑走する面はまだ雪は十分に残されておりましたが、川を渡るスノーブリッジも含め、鳩待への登り返しの雪はこの週が最後のチャンスだったのかも。

そうして14時ちょうどに鳩待峠に帰着した。

古びた山小屋は今では休憩場所としてだけ残されており、

その向かいにはこんなに素敵な施設が完成していた。
画像にはありませんが、『Lucy 尾瀬鳩待 by 星野リゾート』というホテルも完成しており、ともに星野リゾートの手による施設なのだそうだ。

なななんと!Tシャツや帽子など、ちょっとした山アイテムが買えるKEENの自動販売機が設置されていた!
無人でこれしかないってのならまだ話は分かるが、この裏にはお土産に加え、モンベルやノースフェースのアイテムの買える店員さんのいるショップがあるのに!!
LUCYの名前の由来は19世紀のイギリスの旅行家で探検家でもあるイザベラ・ルーシー・バードにちなんでいるものなのだそう。さすがは星野リゾート。こうした観光資源の掘り起こしには手練れていらっしゃる。夏にはすごい人出で混むんだろうな。押し寄せる山ガールたちには興味をそそられるが、夏に来るのはやめておこう。って、そもそも夏山には行かないのですが。
先週同様に翌日の月曜日に川場スキー場で滑ってから帰ろうと思っていたら、川場スキー場はなんとこの日曜日が今季の最終営業日でありました。
丸沼高原はやっておりましたが「平日はゴンドラ休止」というなんとも切ない仕打ちに遭い、仕方がないのでこのまま帰ることにした。というわけで、せっかくこの日のためにと、先週2時間で切り上げてまで残しておいたNSDの4時間ぶんの時間券は、もう諦めざるを得ない状況となってしまった。なんとも締まらない幕切れ・・・
がんばって栂池まで行くか・・・でも、このタイミングでより多くのガソリンと労力を使って時間券を消費しに行くのは何かが間違っている気がするしな〜

それはさておき、今回もとても楽しい山行となりました。
ギアやアイテムを駆使して往くバックカントリーという遊びはやっぱり楽しい。
スプリットボードの楽しさにも再び目覚めちゃったかも。
というわけで、お三方、いつもありがとうございます。ぜひまたご一緒させておくんなさい。
それと、残雪期の至仏山は、このブログを読まれるようなスキモノさんたちが押し寄せるのか、今回も多くの方に声をかけていただいた。
気恥ずかしいと思ってしまうので、ついそっけない態度をとってしまっている自覚があるのですが、「いつも読んでます」とか、たとえお世辞であっても、こんな駄文であっても書き続ける勇気をいただけたりするので、本音はとてもありがたく思っております。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。かしこ。


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