この翌日となる3月31日で今シーズンの営業を終了する戸隠スキー場にやって来た。
初日にARAI、二日目に赤倉観光を滑ろうと思っていたところ、EarthHopperのシステム障害のおかげでARAIを滑れなかった弊害と申しますか、結果的にはその副産物のように戸隠に来ることができた。ある意味ラッキーな展開とも言える。

南向きの斜面などでは雪がないため閉鎖になっているコースもいくつかありましたが、ボトムまできっちり雪が繋がっている様子を見るに、この翌日で営業を終了するスキー場とはとても思えない。
ちなみに、3月いっぱいの営業であることはだいぶ前から決められていたことのようだ。
最終の日曜日での終了ではなく月末日に設定するあたりが逆にカッコいい。
というわけで、月曜日のこの日、ありがたく今シーズン最後の戸隠を堪能させていただくことにする。

今回のお品書きは前日に引き続き『TT168ミズメヒノキ』と『Karakoram PRIME-X』の組み合わせ。
これまで使って来たSPARK R&Dのバインディングのように、PRIME-Xをスプリットボード用と割り切って使っていっても良いのですが、GENTEMSTICKがKarakoramのバインディングを純正指定しているわけでもありますし、ソリッドボード用のバインディングとしての可能性についても、私なりに検証しておきたい。
となれば、ミズメヒノキでも試してみないとならないだろう。
何より、熱に浮かされたようにすっかりフェイバリットな一本になってしまった『IMPOSSIBLE カラマツヒノキ』ときちんと向き合い続けるためにも、TTに乗って、いい気になっている私の頭に冷や水を浴びせかけ、その熱を冷まさなければならない。
というのが今回のお題目。


前日はEarthHopperのシステム障害のおかげで朝イチの整った斜面を逃していたので、平日であるこの日は尚のこと、雪面の綺麗な時間が延命されるはず。
という思いで臨んだ戸隠の斜面たちは、春雪でTTを味わうにはうってつけのステージとなってくれた。
やっぱりTTはひと味もふた味も違う。
IMPOSSIBLEもかなり良い具合にヨコ方向に「伸びて」いってくれますが、こうして改めてTTに乗ってみれば、むしろTTは「ヨコ方向にキレる」とも言うべき乗り味であることを思い出させてくれた。
案の定、本物は似ているようで違う。
加速しながら横に切れ上がっていく様子はやはり、天上天下唯我独尊の存在感。
3割方上手くなった気にさせてくれる春雪であっても、キレ上がっている時のTTは、いつエッジが抜けるやもしれない緊張感を足の指先から私に伝えてくる。
少しでも気を抜けば、いとも簡単にコース外に飛び出していってしまう。
「恐怖感」ではなく、あえて「緊張感」と言ったのは単なるカッコつけで、つい見栄を張りたくなってしまうところもTTというスノースティックの抗えない魔力かもしれない。「どうよおれ?」と、自分に酔えてしまう。
IMPOSSIBLEに鍛えられているのか、前よりもTTを乗りこなせているように思えてもいる。
こうした気分は『MANTARAY』あたりにも感じるところなのですが、IMPOSSIBLEからそれ以上の成果を感じるのは偶然や勘違いではないと私は思う。


というように、IMPOSSIBLEはそんな悪魔的な振る舞いを魅せるTTを、高いレベルで汎用化している点がものすごいのですが、そのことに気づくとさらにTTの凄みが感じられる。
GENTEMSTICKのラインナップは、すべてTTを礎にして形成されていると私は思っているが、そのことを一番に感じさせてくれるのがIMPOSSIBLEだった。
こうしてたまにTTに乗って、熱にやられた価値観をリセットしないとならないのであります。
といった具合に、すっかりTTの話になってしまいましたが、ミズメヒノキを思い切り滑らせられるほどに、PRIME-Xのフレックスは強く、ミズメヒノキと『K2 TT SnowSurfer』との組み合わせに関して言えば、問題はおろか、IMPOSSIBLEで感じたピンテールの機微のような反応をかき消してしまうような違和感すら感じなかった。
こうなるとやはり、同じKarakoramでも、ボードとブーツの間にブッシュ類を配置してシャーシのレスポンスを下げることで、プラスチック製バインディングのような反応を得ていると思われる「RESORT QUIVER」のモデルがどういった乗り味なのかが気になってくる。
ただそれはUNIONの『FORCE』と『STARATA』の関係とは違うものになるだろう。
もちろんBURTONの『Re:Flex』のように、レスポンスを維持しながらボードの撓み具合までをも乗り手に伝えるものとも違って、あくまでも擬似的に柔らかさを演出しているものだと推察される。
それは『LAYBACK』や『FREE RANGER』などのRESORT QUIVERモデルでもミズメヒノキを作動させられるということでもあるわけなのだが、だとすると逆にフレックスの弱めのボードだと硬過ぎるだろうし、ブッシュ類が動くことで奥歯に何か挟まったような余計な反応を示しそうな気もしないでもない。
やはりKarakoramはブッシュ類を装備しない「PURE BACKCOUNTRY」のモデルから選ぶべきだと思った。
もちろんスプリットボードを含む複数枚のボードを所有する方にとって、バインディングを一つで済ませられるというコストメリットと、現場ですぐに着け替えができる利便性は理解ができるし、決して否定はしないけれど、私は『TT165 Softflex』にKarakoramを装着して滑ろうとは思わない。あくまもスプリットボードでの使用を前提にするべきアイテムだとも思いました。


そんなTTとPRIME-Xとの邂逅を、雪が緩み始めるまでの2時間余りに渡って楽しませていただいた。
前日のアカカンで、改めて私には、荒れた雪面ではミズメヒノキをほとんど機能させてあげられないことを痛感させられていたので尚のこと、この日の戸隠での2時間は奇跡のように感じられた。
戸隠に秘そむと言われる山の神様に感謝だ。

雪面に引っ掛かりを感じはじめたところでIMPOSSIBLEに乗り換え。
この日もストップ気味の斜面を、真っ直ぐなターンで楽しませてもらった。
春雪でTTとIMPOSSIBLEを乗り換えられることの幸せは、やったことのある人にしか分かるまい。
まさに至高のメニュー。


朝のうちはTTが機能するほどによく走る雪でありましたが、正午ごろになると、さすがの『Kashiwax le Printemps』であっても、緩斜面を中心にノロノロ運転を余儀なくされてしまった。
っていうか、le Printempsを塗布していたからこそ、緩斜面で止まらずに滑り降りられたと言った方が適切か。

リフト券売り場に噂の『SOUNDWAX』が売られていた。実は実物を見るのはこれが初めて。
あちこちでSOUNDWAXについての噂を耳にしていたこともあって買ってみることにした。
「生塗りで使えるので現場対応に優れる」という噂通りに、固形ながらも簡単に塗り伸ばすことができる。
コルクがなかったので、スクレパーで汚れを落としてから生塗りして、『COSLABO』の液体ワックス用にバッグに忍ばせていたスポンジサンドペーパーで均した上で、ナイロンブラシでブラッシングして使ってみた。
きちんとコルキングをした上で、もう何日か使ってみてから詳細をお伝えしようと思うが、Kashiwaxの春雪用の滑走ワックスを施工しているボードと比較すれば、私の捉え方が悪いのかもしれないが、話によく聞く「春雪の特効薬」とまで言えるレベルではないように思えた。


一本ごとにスクレーピングして滑走面の汚れを落とさないとならないほどに汚れが雪の表面に浮いてきたところで、戸隠のメインメニューと言っていい、正面の急斜面で仕上げの滑走。
ストップスノーに足を取られても、これだけ斜度があれば問答無用で突っ走ることができる。
そうして13時にあがることにした。あ〜〜〜楽しかった!!春雪もまた楽し。
怠けたい気持ちに負けずに山を目指しておいて本当に良かった。
早割消化という大義名分で尻を叩かれるように出かけるのも悪くない。

前日の夕飯につづいて、この日のランチも戸隠そば。そば好きは連チャンでもヘーキ。
今回は戸隠神社の中社にほど近い『元祖戸隠手打そば 岩戸屋』さんで「小鉢セットそば」をいただいた。
戸隠そば、やっぱ美味いわ〜〜〜
なんやかんやと文句を言いましたが、これもすべてEarthHopperのシステム障害のおかげ。
それがなかったらARAIとアカカン滑って戸隠には来ていなかった。
人生はいったい何が幸いするのか分からんもんだね。
これも戸隠の山の神様の思し召しか。


コメント
コメント一覧 (1件)
今回も楽しく拝読いたしました。
自分もサウンドワックス使っています。
仰る通りでスプリングwetはストップスノーには少し効き目が弱い気がします。
通常のwetやdryは凄く調子良いんですけどね。