今年こそバックカントリーに出ないとならない。
「ならない」とか押し付けがましく言うのは、これくらいの覚悟を持って臨まないと今年も行かずに済ませてしまいそうだから。バックカントリーは確かに楽しいのですが、シーズン前に思い出すのはいつも、事故への不安感や登りの苦しかった時の記憶ばかり。今年のように容易にスキー場で良い雪に出会えてしまうシーズンは尚のこと、ついバックカントリーに出ることに腰が重くなってしまう。
新雪を味わい、美しいピステンバーンを堪能し、春になったらコース外へと出ていくのは、私の理想とするシーズンの過ごし方ではあるが、自分の滑る距離は自分の足で稼ぐ必要のあるバックカントリーは、体力と気力の要る遊び。
「リフト回しでこんな新雪が味わえるなら、バックカントリー要らずだ」とか、歳をとると尚のこと、楽して得を取ろうとするための言い訳には事欠かない。
そんな人間は一度でも苦労して得る悦びから離れたら、もう戻れなくなってしまう。
繰り返すが、遊びこそ歯を食いしばってでもしないとならない時がある。
クライミングスキンは年を越すとサイズがなくなってしまい、それを逃げ口上にまたバックカントリーに行かなくなってしまう危険性を察知した私は、『Vector Glide GENIUS Narrow』を手に入れてすぐに『G3 ALPINIST +』のユニバーサルを購入していた。
というのは半分嘘で、GENIUSのクライミングスキンが手に入らなくても、クライミングスキンの用意がある『LNE SAKANA』か『MASTIFF』で行けばいいだけの話。私が単に買い物が好きなだけだということは、すでに説明の必要はないだろう。

そこまでしても重い腰はあがらないままで、「せっかくのカット前の新品なのだから、いっそこのまま保管したら・・・」と言う邪な思いに囚われていたのですが、とても良いタイミングで、Tくんにバックカントリーに誘っていただいた。
そんなわけで、もう4月だというのにクライミングスキンをカットすることとなった。

GENIUSはピンテールなので、通称「カニクリップ」も用意しておいた。

『SALOMON SHIFT』用のクランポンだって買ってある。
さすが俺。用意周到。準備万端。
なのに、使わずにお蔵入りさせてもいいとか思ってしまうところがダメ人間。


カットしたらG3純正のスキンセーバー、その名も『LOVE GLOBE』で包んで準備完了。
クライミングスキンのカットをショップに依頼する方が多いようだが、こんな楽しいこと自分でやらなきゃ絶対にもったいない。と私は思う。
安いものではないので失敗するよりショップに任せた方が安心なのはよく分かるが、G3なら勝手にエッジから2mm離してカットしてくれる専用のカッターまで付属しているので想像以上に作業は簡単。
スキンがスキーのセンターにさえあることさえ確認できれば、あとは失敗のしようがない。
スルっスルっとスキンが切れていく感触もまた心地よい。
こんなに気持ちの良いことをお金を払ってまで他人にやらせるなんて・・・
というわけで、準備は整った。
あとは山で行動できるだけの体力が、今の私にあるのかないのか。
なんだかなさそうでそれが何より一番怖い・・・
果たして滑り切れたのか。はたまた勇気ある撤退か。もしかして敵前逃亡か。
かぐらBCの模様は次回お届けしようと思う。
コメント