アテンザは6速のマニュアルトランスミッションでしたが、CX-8では同じ6速ながらもオートマチック・トランスミッションで2.2LのSKYACTIVE-Dエンジンを操る。
両車とも、搭載するのは2.2LのSKYACTIVE-Dエンジンではあるものの、CX-8には190ps(140 kW) / 4,500 rpmとなった改良版(2016年型のアテンザに搭載される2.2LのSKYACTIVE-Dは175ps(129 kW) / 4,500 rpm)。
15馬力アップしたとはいえ、CX-8はアテンザワゴンよりも車重が300kg近く重いので、エンジン負荷という面ではほとんど同じと言っていいと思う。
もちろんマニュアル・トランスミッション(MT)の方が、ドライバーの意思に対して、無駄なく効率的に性能を引き出すことができますが、CX-8のオートマチック・トランスミッション(AT)もなかなか秀逸な印象を受ける。
出だしが穏やかな制御になってはいるものの、重くて座高の高い車体を過不足なく、スムースに加速させてくれる。
これと同じ加速をMTでやろうとしても、かなり難しいと思う。
特に、極低速の滑り出しでは、かなりの半クラッチを多用しないとあの走り出しは再現できないだろう。
そうした紳士的と言っていい振る舞いのその裏側には、もしも不用意にアクセルを踏み増せば、ちょっと焦るくらいの矢のような加速性能も秘めている。
以前、代車で同じ2.2 SKYACTIVE-Dを積んだアテンザのAT車をお借りしたことがあって、CX-8よりもトルクがレスポンシブで、よりスポーティーな味付けであった記憶がある。
当然と言えば当然なのですが、たとえ同じエンジンであっても、車体ごとにセッティングは変えられている。
そうした制御が後述するCX-8の車体の性格にとてもよくマッチしていると思う。
トランスミッション以上に違いを感じさせるのはやはり足回りのセッティング。CX-8は文字通りの“クルーザー”で、アテンザに比べてかなり“ユルい”。
SUVとしては真っ当な脚の長さ(サスペンションストローク長)を持っているため、ブレーキ時のピッチングは強め。そして、それ以上にロール方向の揺れが盛大で、コーナー出口ではまあまあ横に揺すられる。
車体を揺すらないように穏やかなステアリング操作に終始することになり、自然と安全運転になるのは悪いことではないのだけれど、予測しずらい車体の揺れ方をするのには慣れが要る。今はもう慣れちゃったけど。
9万kmを超えているのでショックアブソーバーやブッシュなどもそれなりに消耗しているだろうから、そのあたりを差し引いて聞いて欲しいのですが、2022年のマイナーチェンジでは、フロントダンパーとリアのスプリングの減衰力を高めるなど、まさにそうした部分に手が加えられたようなので、差こそあれ初期型のCX-8が抱える操安性、快適性に関しての問題の方向性は変わらないようにも思う。
アテンザに初めて乗った時には、「こりゃあダンナグルマだわ」と感じましたが、CX-8と比べればアテンザがGTカーであったことが、いまさらながらによーく分かった。
安全運転は良いことですが、もう振り回すような運転ができないのだと思うととても寂しい。
ただ、高速道路では少々過敏な反応を見せたアテンザとは逆転して、80km/hを超えるような速度域になると一般道で感じたユルッとした乗り味が嘘のようにビシッとする。

と、市街地ではかなりユルユルな印象が強いCX-8ですが、高速域に入るとビシッとする。
やはりCX-8が目指すところは街中をチマチマと走るシティコミューターではなく、長距離を悠々と走るプレミアム・サルーンなのだ。
レーダー・クルーズの制御もかなりお行儀が良く、前走車に合わせたブレーキを含むスピードコントロールも、適切なギア選択を含めて、乗り心地を損なうようなこともなく、とても安心できるものでありました。
ただ、高速域で急ハンドルをしたときに、果たしてどういった挙動が出るのか。怖くて試す気にもならない。
何はなくともウレシイのはAWD。

私の人生で4輪駆動車はこれで2台目。
あれだけ必要に迫られて雪道を走っているのに、ほとんどの所有車がFFもしくはFRだったということは、自分でもへそ曲がりがすぎるな。とは思うのですが、「前後バランスに優れたクルマなら2輪駆動でもなんとかなる」という自己暗示と、「中古の4輪駆動車は壊れやすい」という思い込み、そして何より「4輪駆動車は高い」という切実な事情があり、これまではなかなか手が出せなかった。
それでも今回、やっぱり4輪駆動車にしようと思ったのは、急いで次の車を探さなければならないというドサクサ紛れ。ゆっくりカーセンサーなんか眺めていると、同じ価格でも装備の良い前輪駆動車に流れて行きがちになる。

それだけに、久しぶりの4輪駆動車となるCX-8への期待感は大きいのですが、もちろんCX-8は本格RVではない。
後輪のドライブシャフトはかなり細め。ゴルフクラブのグリップ程度の太さ。できればテニスラケットのグリップくらい欲しいところ。
なので後輪の駆動力はあくまでもアシストレベルになると思われる。
シャフトドライブが太くなれば、タイヤにそれだけ大きなトルクをかけられるため悪路での走行性能が向上する反面、一般的な舗装路においては、いわゆる“オトシン(騒音と振動)”に関してかなり不利となるので、サルーンとしてこれは至極真っ当な選択であったと思う。
少なくとも私の場合、四輪駆動が必要になる場面は全走行距離の5%未満のことなので、長距離ランナーとしての乗り心地の良さはむしろ望むところ。
アシストレベルとは言ったが、前後、左右ともにオープンデフではあるものの、電子制御によって空転輪にブレーキをかけて駆動力を確保する『ブレーキLSD機能』も搭載されている。
それと『電子制御アクティブトルクコントロールカップリング』などを統合したシステムの総称が『i-ACTIV AWD』となる。
2019年11月の改良版からは、悪路で“ハマった”際に、専用のスイッチを入れて使う『オフロード・トラクション・アシスト』という、緊急脱出システムが新採用されているそう。
たぶん駆動系にも手が入れられているのではなかろうか。
マツダが4WDではなくAWDと名乗っているのは、外気温、ワイパーの作動状況、ステアリングの舵角、アクセル開度、タイヤのスリップ状態など、20を超えるセンサーで監視した走行状態に加え、気象情報も加味した上で道路状況を先読みして、滑り出す前に四輪駆動へ切り替えるスタンバイ式4WDだから。
“ZOOM ZOOM”とか、ドライビングの悦びを云々する割に、「マツダはドライバーの運転に対してお節介」という話はよく聞くのですが、雨の日など4WDの介入は想像以上に早いように思う。
普通に使っていても、FFである状態と四輪駆動になっている状態は、50対50くらいになるのかもしれない。かなりの心配性。
そんなに運転手のことが信用できないなら、故障の可能性を広げる電子デバイスなんか排除して、いっそフルタイムにしたらいいのに。
スタンバイ式による燃費への好影響はほとんどない。
アテンザワゴンよりも車重が300kg増えることと、スリップロスの多いオートマチック・トランスミッションであることと併せて、燃費はマニュアル・トランスミッションだったアテンザよりも、1Lあたり概ね2〜3kmほど悪く、12〜14km/lほど。
FFと4WDの切り替えは気づかないほどスムースで静か・・・と言いたいところですが、車体センターを通るドライブシャフトが回り出すと、唸り音はまあまあ大きいので一度そうと気づくと気になるようになる。
というようにCX-8の騒音対策は、サルーンぶるわりに結構ザル。
リアゲートを含め、ドアを閉める時の音は鉄板の薄いトラックのようで安っぽいものだし、ディーゼルらしい低級なエンジン音が室内に大きめに届く。
ひょっとしてグレードの違いで騒音対策に違いがあったりして??
アテンザの方が言われなければディーゼルだと気づかないくらいだったので、SUVとしてわざとやっている可能性もなくはないが、音に関してはアテンザの方が優秀。
「プレミアム・サルーン」とか書いてしまいましたが、意外と中身はSUVだと思った方がいいのかなあ?
たとえ中古であっても新しいクルマに乗り換えるのは、やっぱり楽しい。

アテンザの次の買い替えは軽自動車を含む小さいクルマ、たぶん電気自動車になるだろうと考えていた。
何より、あれだけ好きだったクルマに対して、すっかり草食にってしまっていた自分がいて、どこかクルマに対して飽きていたところもあったのですが、4WDにレーダークルーズ、想像以上に広い室内など、これまでになかった快適性能を含む、新たなクルマの楽しさに触れることができ、期せずして自動車趣味の持続可能性が高まってくれた。
おかげでクルマイジりの悪癖が再発してしまい、我がことながら少々困ったことになっている。
その辺りの話はまた追々・・・


コメント