ずっと食わず嫌いをしてきたKARAKORAMを使ってみることにした話

私はこれまで、KARAKORAMのバインディングに対してまあまあ懐疑的な見方をしていた。
スノーボードの道具である前に、山の道具でもあるスプリットボードの場合、構造はできるだけシンプルに、ネジは一つでも少ない方が山での安全性はより高まる。
まさにそうした考え方に則って生み出された(というより「その頃はまだ作りたくても作れなかった」と言った方が適切か)『VOILE』製の通常のビンディングをスプリットで使うキットから始まり、VOILEの築き上げたシステムをより使いやすく、より確実なものへと進化させた『SPARK R&D』を使ってきた身からすると、KARAKORAMの構造はあまりに複雑すぎて、利便性よりも危なっかさの方が先に立ってしまう。
もしも山で故障したら・・・とか考えると、かなり気持ちが萎えてしまう気の小さい私の場合、そんなKARAKORAMを使う気にはなかなかなれなかった。

加えて、私がスプリットボードを使い始めた頃の、バインディング・ストラップを固定するスライダーやラダーは「BURTONかそれ以外か」と言っていいほど、BURTONのプラパーツのしなやかさと信頼性は頭抜けていた。
BURTON以外のプラパーツは高温多湿の日本で使うにはあまりに経年劣化が早く、数年で柔軟性を失ってしまい、油分が抜け柔軟性が失われると途端にポッキリ。なんてことも普通に起きていた。
そうした刷り込みのある昭和産のオッサンにとって、BURTON製のスライダーやラダーストラップを流用するSPARK R&Dに対しての信頼感もまた高い。
実際KARAKORAMの使用するストラップやラチェット、ハイバックなどが壊れたという噂話はあとを絶たず「ほら見たことか」と鬼の首でもとった気分でいた。

そんな私がKARAKORAMを使ってみようと思ったのは、兎にも角にもソリッドボードとの親和性の高さゆえだ。

バックカントリーエリアも『IMPOSSIBLE』で滑りたい。
その願いを叶えるべく『UNION ROVER』を手に入れたくだりは前回お話しましたが、長尺のIMPOSSIBLEを背負ってハイクしてでもそれを実現するためには、UNION ROVERのもつメリットを全開放する必要がある。
そのためにはROVERで使用するスプリットボード用のバインディングと、IMPOSSIBLEに装着して滑走するバインディングを共用することが必須条件となる。

GENTEMSTICKはKARAKORAMをメーカー指定のバインディングとしておりますが、もちろん数あるGENTEMSTICKのラインナップの中でもスプリットボードはほんの一握りで、ご存知の通り、そのほとんどはソリッドボードだ。
それでもGENTEMSTICKがKARAKORAMをメーカー指定できているのは『Quiver Connectors』と呼ばれるソリッドボードにKARAKORAMのバインディングを装着することのできるパーツの存在に加え、スプリットボードとしてはかなり例外的に、ソリッドボードとの親和性がとても高いからだと思われる。

SPARK R&Dにも『Solid Board Puck』がありますが、使用に関しては少なくない懸念が残る。
SPARK R&Dの『Solid Board Puck』を使用すると、ボードデッキに鋭角に荷重が架かってしまう。
厚めのナイロン系のシートで覆われたボートデッキとは違い、樹脂で固められたデッキを持つGENTEMSTICKで使用すると、デッキにバインディングベースの角が当たった傷が残ってしまっていた。

上の画像の赤で示した部分はSPARK R&DとKARAKORAMのボードデッキとの設置点を表したもの。
SPARK R&Dのバインディングをソリッドボードで使う際に使用するSolid Board Puckは、ご覧のように、バインディングの荷重がボードに伝わる面がバインディング本体に対してとても細く狭い。
対してKARAKORAMは、Quiver Connectorだけでなく、バインディングの四隅でも支える構造を採っており、より一般的なソリッドボード用バインディングと同様の荷重の架かり方、踏ん張り方をしてくれるように見える。
大切なIMPOSSIBLE カラマツヒノキのためにも、これまで食わず嫌いを決め込んできたKARAKORAMを使ってみようと思うに至ったわけだ。

ちなみにですが、SPARK R&Dのスプリットボードインターフェースも基本的な構造はソリッド用のインターフェースと同じなので、スプリットボードでもデッキに鋭角な荷重が架かってしまうように思われるかもしれませんが、スプリットインターフェースは二分され、ボードとの接地点も分散されるため、ソリッドボードで感じたような負荷のかかった箇所は見受けられない。
スプリットボードでのみの使用を前提にするならば、構造のシンプルさによる安心感だけでなく、専用クランポンの確実性など、SPARK R&Dの方が優位な点が多いと今でも思う。

そうしてKARAKORAMを探しはじめはしたものの・・・
できるだけ安く済ませるため、中古を前提にフリマで探しはじめるわけですが、これまでKARAKORAMには見向きもして来なかったため、購入時に製品内容が分かっていることが前提のフリマサイトでは、値段以外は何が何やらまったく分からない。まずはKARAKORAMのことを知ることから始めないとならなかった。
SPARK R&Dと同様にそもそもはスチールフレームだったKARAKORAMに、プラスチックモールドを採用したベースフレームを装備するモデルが追加されたことは知っていて、なんとなくそちらの方が新しいぶんKARAKORAMの次期バージョンだと思っていたのですが、どうやらそういうわけでもなかったり、にわか仕込みが迂闊に手を出すと銭失いになる予感がプンプンする。
そうして行ったり来たりを繰り返すうちに、バインディング自体の進化よりも、これまで二度に渡りアップデートが重ねられてきたインターフェースを重視すべきであることが見えてきた。

画像右が、近頃採用された『Ride Mode 3.0』と呼ばれる最新のインターフェース。
こうして並べてみると、主に軽量化と固定力アップ、そしてセッティングの確実さがバージョンアップの主目的のように見えるが、こういった場合、最新モデルこそ最善のモデルであることが多い。
わざわざ登山では不利に働く複雑な構造を採用しているKARKORAMなので、自ら背負ったマイナス要因を挽回するための改善を進めていることは十分に考えられる。
こうした改善点はインターフェースのみならず、目に見えないマイナーチェンジとしてバインディング本体にも及んでいるはずだ。
そうした細かい改善点は使うほどに身に染みて理解するものなので「まずは使ってみよう」とフリマサイトで安いモノを見つけて手を出しても、結局あとから新しいモデルに目移りして買い替えることになる可能性が非常に高い。
ここで中途半端な買い物をするよりも、いっそ最新モデルを買っておく方が結局得だ。

という結論に達したところで明日につづく・・・

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