【Netflixシリーズ】三体

そのSF三部作は2011年にはすでに完結していたので、『三体』という中国産のSF小説のことはもうだいぶ前から知っていたのですが、翻訳版って、いつもどこか奥歯に何か挟まったような妙な違和感があるものなので、惹かれることはなかった。というのは半分嘘で、三部作のかなりの長編なのでとても読む気にはなれなかった。
となれば映像化を待つのがテなのですが、中国のテンセントがドラマシリーズ化したものを、わざわざU-NEXTを視聴契約してまで観たいとも思えなかった。

ワールド・ベースボール・クラシックを観たくて契約したNetflexで、その『三体』がドラマシリーズ化されており、せっかくなので観てみることにしたら、なかなかの出来栄えで、全8話を一気観してしまった。
聞くところによるとテンセント版は全30話を超えながら、Netflixの第8話の結末に届いていないのだそう・・・

この物語の秀逸さは、地球を侵略にくる異星人が、地球に到着するのが400年後だという点。
地球に暮らす人々にとってみれば、早くてもひ孫の代の問題であって、微妙に無関係であるところが興味深い。
そうした諦めムードや、侵攻してくる「三体人」を「主」と崇める者も現れるなど、400年のあいだに地ならしを進めておこうとする異星人の、情報戦と言っていい侵略手法なども真新しい。

そして、この侵略の発端となったのが、ある一人の中国人女性だという点もこの物語を深く、暗くしているところも見逃せない。
中国の文化大革命期に、物理科学者であった父親が、危険思想の持ち主として紅衛兵に衆人環視の前で殴殺されるところを目の当たりにしたイエ・ウェンジエは、父譲りの科学知識を見込まれ、その後、秘密裡に進められていた中国の宇宙探査計画に参画させられる。
死刑か、計画に参画するかの二択であったので、父を殺した中国共産党に与するのも仕方がないようにも見えましたが、実は、彼女の強い復讐心がその心の奥底では渦巻いていた。
地球外知的生命体との交信を目的に建造された通信アンテナで、彼女は個人的な考えで「三体文明」と交信をはじめてしまう。
三体文明の由来は、三つの太陽が存在する星系に属することに由来するのだが、3つの重力場によって、生態系はとても不安定な状況にあった。高い科学技術をもつ三体人たちは、移民先の惑星を探しており、探索のための通信をイエ・ウェンジエが傍受していた。
そして、イエ・ウェンジエは三体人に対し、「この星はすでに自分たちで問題を解決することができない」というメッセージを独断で発信してしまい、三体人はいよいよ地球への侵攻を開始してしまう・・・

話は逸れるけど、これを聞いて『呪術廻戦』の後日談のスピンオフ『呪術廻戦≡(モジュロ)』のことを思い出した人もいるだろう。たぶんモジュロはこの『三体』をオマージュしていると思われる。

このドラマシリーズの第1シリーズは、三体人到着まで400年のままで終わってしまうのですが、このたびNetflixで続編の制作が発表された。
三体人との決戦が結末となるのだろうが、いったいどうやってこの途方もなく壮大な物語にオチを付ける気なのか。
これは私の想像なのですが、「一作目が売れたので続編を書いた」“後出しジャンケン”の三部作だったような気がしてならない。
言ったようにテンセント版は第一部を30話以上で描いた。
きっとそこには、今を生きる人々は死に絶えている400年後の災厄に対し、人類はどう考え、どう対処するのか?
人類は自分と無関係な未来にどう向き合うのか?が手厚く描かれているのだろうと思う。
これこそまさに60年が経過した現代における文化大革命の答えと符合するように思え、多くの市民にそのことを改めて考えさせるべきテーマだと私は思う。
この期に及んでも小説を読もうとは思わない私は、ただただ心配するしかありませんが、楽しみに(気楽に)続編の到着を待つこととする。

(オススメ度:80)

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