Tokyo Motorcycle Show 2024

今年もモーターサイクルショーを観に行ってきた。
わざわざ行く割に、混雑した会場に着くと「サクッと観て帰ろう」という気分になってしまうアマノジャクな私ではありますが、モーターサイクルショーは現在の愛車である『BMW R18 Bobber』に出会った運命の場所でもある。
二匹目のドジョウを狙う気はさらさらないものの、良い思い出とともに今年も会場を巡りたい気分であります。

Harley-Davidson STREET GLIDE™

まずは1月に発売が開始されたハーレーの『STREET GLIDE』から。
R18に乗るようになって、すっかりハーレーも私の視界に入ってくるようになってしまった。
ほとんどと言っていいほどアメリカンクルーザーの良さを理解できなかったのですが、いまとなっては分かりやすく惹かれてしまう。
CVOとはCustom Vehicle Operationの略で、要はカスタム限定モデルのことなのですが、門外漢の私からすればぜんぶ特別仕様に見えてしまう。それくらいハーレーのこのクラスのモデルには特別感を纏って見える。
一瞬で視線とともに心も奪われる素晴らしいデザインと品質感を持っていました。
1,923ccの「ミルウォーキーエイト117」は、新たに水冷式シリンダーヘッドを採用。
それは純粋なエンジン性能の追求のためなのではなく、ライダーが脚に感じる熱を低減して快適性を高める目的なのだそう。
そう言われれば、12.3インチのTFTカラータッチスクリーンが採用されたメーターの意図も良く理解できる。
そうした先進性と重厚な塗装の品質などが醸し出す高級感が高い次元で融合しているのが現在のハーレーだ。
素の装備しか持たないR18が358kgなのに対し、フル装備のSTREET GLIDEの重量は368kgと、これだけ装備に違いがあるのに13kgしか違わないことにシンプルに凹む。

Harley-Davidson ROAD GLIDE™

独特な「シャークノーズフェアリング」に加え、ハンドル形状に違いのある『ROAD GLIDE』。
個人的にはSTREET GLIDEのカウルデザインとハンドル形状の方が好みなのですが、この「Blue Burst」というカラーがダントツで好み。今回の会場で一番キレイに映った。
色だけでこんなに心惹かれたのは初めて。っていうくらい魅力的な色だった。

と、すっかりハーレーに対するガードが甘くなっている私ですが、ありがたいことにこれだけの巨躯の置き場所がないので、気まぐれでもなんでも手を出すことはない。
それと、『BMW R18 Transcontinental』に真夏に試乗したのですが、巨大なフェアリングは高速走行時にはこれ以上ない快適性を提供してくれる反面、渋滞に捕まるとサウナばりに暑かったことはすでにトラウマになっているので、長距離ツーリングだけのためにこのテのツアラーを手に入れる甲斐性を持ち合わせない限り、私がこいつに手を出すことはないだろう。あ〜ヨカッタ良かった。

BMW R12 nineT

今回の私的最注目株はこちら。
「nineT」の「nine」は90周年を意味するらしいのですが、BMWは昨年100周年。
「R tenT」にするのかと思っていたらネーミングはキャリーオーバー。
それくらいの人気モデルだと言える。

実は派生モデルで同じエンジンを積むクルーザーモデルの『R12』もあり、R18オーナーとしてはそちらが気が気でなかったのですが、先に発表されていた画像を見たら、お世辞にもカッコ良くは見えずホッと胸をなで下ろした。
とてもR18を生み出した同じメーカーのクルーザーとは思えない。 いったいどーしたBMW?
「R18のアピアランスを維持しながら、より軽量な1,200ccボクサー搭載モデルが出てきたら」なんて想像したら眠れなくなるほどのオオゴトだったのですが、お陰さんでこれならゆっくり眠れる。

登場と同時に多彩な純正オプションパーツが用意される。
新車から自分だけの一台を納車することも可能。

ボクサーエンジンはすでに水冷に移行しており、こちらの空冷ボクサーは“焼き直し”とも取れる。
以前ボクサーエンジンに見切りを付け、直列4気筒エンジン搭載の「K」に代替えを図ろうとして大失敗した過去のあるBMWの場合、これは焼き直しなどでは決してない。それだけ空冷ボクサーの人気は今も根強い。
年々厳しさを増す排ガス規制を考えれば、今後空冷はかなり厳しい立場に立たされていくのですが、こうした財産を技術力で延命させていくのもBMWの「ヘリテイジ・シリーズ」に求められる大事な役目。

そうした大役を担って登場した『R12 nineT』ですので、デザインのアップデートの難しさは想像に難くない。
『R nineT』から細かくデザインをリファインしてきているのですがどこが新しいのか「細かすぎて伝わらない」。
フルモデルチェンジなのに、オーナーでないとその違いを見極めるることは難しいパッと見マイナーチェンジ。
これなら前モデルの価値も下げることもないので、前モデルオーナーからの文句も出ないだろう。
なのですが、新設計の「トースタータンク」と名付けられた燃料タンクはアルミ製で、前モデルから全長を30mm短縮してポジションを更に最適化するなど、要所要所が煮詰められているなかなかツゥ好みな一品。

BMW F900 GS

つづいて「F850 GS」の後継機種である「F900 GS」。
850から14kgの減量を果たしたとされる事からも分かるとおり、ガチ目にオフロードでの走行性能を重視してきた。『F900 GS Adventure』をラインナップすることで、ツアラーのポジションから大きく脱却できているのだろう。その本気度は見た目からムンムンに伝わって来る。
ボクサーツインを積む『R GS』に対し、これまでパラレルツイン搭載モデルは入門モデルとして位置づけられてきたが、オフロードマシンとしてはむしろ本道となるパラツインの可能性を本気で開放させるつもりのようだ。
これでいよいよ「R」と「F」の棲み分けがはっきりとし、ヒエラルキーから外れた別の一本道を走り出す。
もうR乗りに引け目を感じる必要はなくなったと言える。
元『HP2 Enduro』オーナーとしては決して見過ごせない一台であります。

BMW CE 02

都市型の電動コミューター『CE 02』も公開されていた。
150cc程度の出力で航続距離は90km。普通二輪免許で乗れるがお値段は125万円〜と手厳しい。
標準装備の普通充電器で充電に要する時間は約5時間。オプションの急速充電器だと約3時間30分。
80%程度なら普通充電器で3時間弱、急速充電器で約1時間40分。
面白そうだし、街乗り用であれば充分使えそうではありますが、おいそれと手は出せない。
何より、ここのところ私はバイオマスや合成燃料に対応したエンジン車の方の可能性を強く感じているので、電気自動車に対してかなり懐疑的になってきている。

KTM 1390 SUPER DUKE R EVO / 990 DUKE / 390 DUKE

KTMのDUKEはやっぱりカッコイイ。
シンプルさと軽快さを表現した、ある意味ハーレーの対極に位置するノリモノ。
R18のオーナーとしては中でも390にセカンドバイクとしての可能性を感じずにいられない。
ちなみに私のセカンドバイクの第1候補はもちろん『ハンターカブ』。
一緒にしたらKTMに怒られそうだが、そういうシンプルさに惹かれているという意味。

GAS GAS SM700

最近MotoGPにもカムバックを果たしている『GAS GAS』。
ハスクバーナ同様、KTMグループに属するようで、KTMブースに飾られていた。
もちろんオフロードモデルがメインになるのですが、セカンドバイク候補に気が気でない私が気になったのは。こちらのモタードモデルとなる『SM700』。

ベースはKTMの『690SMC R』であることはもうバレバレの公然のヒミツ。
上の画像はその690SMC Rとハスクバーナ『701 Supermoto』なのですが、KTMがスポークホイールなのに対し、GAS GASはキャストホイールと、装備に違いはあるものの、外装品がオリジナルデザインとなるハスクバーナと較べると、KTMとほとんど同じ外装を纏っていることが分かる。カラーリングでこれだけ見違えるのだから驚かされる。

YAMAHA XSR900 GP

『ヤマハ XSR900』のカウル付きモデルの噂は、ファンの間では長らく噂されてきたもののようで、会場での注目度もなかなかに高かった。
ヤマハはこういったデザイン重視のモデルに関する手腕に実に長けていると再確認させる一台。
素直にカッコイイと思う。
特に、この超小型ヘッドライトが泣かせる。
レーサーレプリカにとって、ゼッケンプレートとヘッドライトの共存は古からの巨大な壁。
個人的なカスタムでやるような、かなり荒削りな手法をメーカーが率先してやるところが清々しい。
それくらいバックヤードビルダーな価値感に彩られている所に『XSR900 GP』の価値がある。

マルボロカラーにTZRカラー、FZカラーと、私世代の人間には涙なくして語れないモデルがラインナップされるようだが、果たしてこれに若者は着いて来られるのだろうか?
結局オッサンたちが歓んで終わりにならないか心配でならない。
150万円程度になりそうだとのことだが、ディテールを眺めると、BMW、DUCATI、KTMといった海外メーカーの品質感にはいま一歩及ばない印象。
オッサンしか喜ばないのならいっそ、200万円超えで企画して、塗装を含めたパーツの品質を上げたら良いのに。とか、買う気もない余計なお世話ながら思ったりもする。

YAMAHA RZ350

昔話に花が咲いたところで紹介したいのが、言わずと知れた『ヤマハRZ350』。
こういうのを観られるのもモーターサイクルショーの醍醐味。
“350ccでリッターバイクをカモにする”2ストロークバイクの姿は今見てもドキドキする。
オーナーのほとんどが事故って死んじゃったんじゃないか?とか、まことしやかに語られる伝説の一台。
現役時代を知る身としては、そのバックストーリーだけで一晩中酒を酌み交わせるキング・オブ・青春。
ウルトラ・ピーキーのドッカンパワーを受け止められるはずもない華奢な車体構成は、当時から死神の存在を感じさせたが、今見てもかなりチャッチィ。だからこその「悪魔のRZ」。
思い入れがデカ過ぎて今乗ったら失望すること間違いなしなのですが、それでいいのである。

SHOEI X-FIFTEEN グン

ついでと言っちゃあナンですが、こちらも紹介しておこう。
その名も『SHOEI X-FIFTEEN “グン”』。
『バリバリ伝説』の主人公、巨摩 郡 (コマ グン)のレプリカヘルメット。
お値段は10万円超え・・・
お値段以前にクルーザーに乗る私には無用の長物なのではありますが、二輪免許を取得したまさにその頃に、原作漫画に熱中した過去を持つ私は素直に反応してしまった。

BELL BULLITT アジアンフォーム

私も愛用している『BELL BULLITT』ですが、今のところ併行輸入品しか手に入らない。
「手に入れば別に併行輸入でも良いじゃないか」と思われるかもしれないが、帽体のサイズが、頭が前後に長い欧米人用で、あからさまにアジアンな丸い頭のカタチを持つ私にとって、アライやショウエイといった国産勢と比較すると、前後の余る左右に余裕のないフィット感になってしまう。特にメガネをかけると眼鏡の柄が通るトンネルがなくなるためメガネをかけるとこめかみがひどく痛くなってしまう。そのため私は内装を削って柄の通るトンネルを確保している。
そんなわけで、BULLITTは大型用品店でも取り扱いがないのでありますが、輸入代理店がアジアンフォームの用意を発表していた。
私は『SIMPSON SB13』も使っているのですが、そちらは完全アジア用の日本製OEMアイテム。
内装の品質もJAPAN QUALITYと、言うことナシの満足感を得ている。
BULLITTも同じようにアジアン頭にちょうど良い被り心地に生まれ変わってくれるとウレシイ。
そして、BULLITTの魅力はなんと言ってもデザインバリエーションの豊富さにあるので、できる限り多くのデザインが、近所の大型用品店で買えるようになったら最高であります。

まとめ

というわけで、例によってかなり偏ったレポートになってしまったがお許し願いたい。
ここに紹介したオートバイや用品は私の偏見に満ちた選択でありますが、会場全体の嗜好性を表していると思う。
ライダーの数は戻りつつあるとのことですが、といったわけで高齢化の印象は変わらない。
世のオジサマたちをいかに取り込むか、カムバックさせるか。
特に国産メーカーは、主にそこに注力しているように見受けられるのはここ数年の傾向と変わらず。
対して、未来を見据えながら、無用の長物としてのオートバイの存在意義に真っ向から立ち向かっている海外メーカーとの差は、より鮮明になってきているように思えた。
それは、あれだけの隆盛を誇った二輪レースの最高峰MotoGPにおいて、勝利はおろか表彰台も遙か遠くにある位置を走っているホンダ、ヤマハの姿を思えば余計にくっきりとしてしまう。
すでに技術力でも海外メーカーの後塵を拝しているのであります。
良いとか悪いとかでは決してないのですが、どちらに賛成かと問われれば、海外メーカーの方だと、オジサンだからこそ思うところであります。さみしいなあ。

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