私はこれまでハンターカブにはパフォーマンスの向上はさて置いて「見た目を変えるための」カスタマイズを中心に手を加えて来た。唯一パフォーマンスに直結するエキゾーストマフラーに関しては、パフォーマンスよりも見た目や「音」の変更が主目的でありました。
そうして自分であれこれとハンターカブのパーツの交換を繰り返していて感じたのは「純正パーツがどれもチープ」だということ。
燃費や扱いやすさを含めたエンジン性能、そしてブレーキ性能といった「走る・止まる・曲がる」の、オートバイの土台となるパフォーマンスに関しては「さすがは世界のホンダ。世界のカブ。」と言える品質が達成されていると思う。
そして、ボディパネルや灯火類、エンジンの処理、メーターなどの目に止まる部分、ハンドルやシートなど身体に触れるパーツなどの質感に手抜かりはないものの、目立たない裏方に属するパーツに関してはハッキリとコストダウンの意思が見て取れる。
そうした細かい積み重ねによってあの低価格が達成されているのだということを実感させられた。
そうした思いを抱えながら様々なパーツを交換する中で、一番感動したのが『ENDURANCE サイドスタンドサポート』。
サイドスタンドの位置を適正な場所に移動するだけのものなのですが、これを装着してからのサイドスタンド使用時の車体安定性にはまさに目から鱗が落ちた。
これによって、いかにハンターカブがざっくりと設計されているのかということを痛感することにもなり、天下のホンダの作ったミリオンセラーの銘品を疑いの目で見るようになった。
それは逆に、ともすると「売らんかね」の精神を強く感じさせることもあるアフターパーツ・メーカーのことを見直すきっかけになったとも言える。

前置きが長くなりましたが、今回のお品は『Gcraft シフトガイド』であります。
こちらはエンジンから伸びるシフトシャフトの捩れを抑制して、確実なシフトチェンジを促すというモノ。

こちらがノーマルのシフトシャフトの状態。右に見えているボルトの刺さったパーツがシフトペダルで、左側に見えるのがエンジンのクランクケースから伸びたシャフトガイド、その隙間にシフトシャフトが垣間見えておりますが、言ってもこの隙間を埋めるためだけのモノ。
つまり、この2cmにも満たない隙間を埋めることで、シャフトが“踊ってしまう”ことを抑制するというのだ。
正直に申し上げて「さすがにこれは要らんだろ」と思い続けて来たパーツなのですが、先日のクラッチ調整の件を経てから、ハンターカブの遠心自動クラッチ・ギアをシフトチェンジする際に、シフトシャフトが踊っていることを疑うようになってしまった。

シンプルな単目的のためのパーツであるため、比較的商品化も簡単なのだろう。
いかがし目なカスタムパーツ・メーカーから同様のものが発売されており、そちらはかなり低価格を実現している。
私が買うことにした『G-craft』のものは、そうしたものの4倍以上高価になるのですが、それでもG-craftを選んだのはその設計思想にある。
各パーツメーカーごとに、クランクケースのどのボルトと共締めにするか、メーカーごとの発想があるようなのですが、ベアリングが埋め込まれた本体の両脇を、カラーを挟んだボルトで奥の方に位置するクランクケースのボルト穴と共締めさせるものが多い。
たった2cm弱、剥き出しになったシャフトが本当に踊ってしまうのだとしたら、そこに架かる荷重が軽いハズがない。カラーを介してボルト留めにしただけでは、このパーツも一緒に踊ってしまうように思えてしまう。
そうした中、G-craftは向かって左側だけとはいえ、ご覧のように本体の形状を複雑に伸ばしてでもカラーを介さずエンジンに直着けさせてパーツ剛性を稼いでいる。
ちなみに、こちらは「タイプ3」と呼ばれる「JA65」機種専用で、同じG-craftでもJA55用はまた違う形状をしているのでご注意いただきたい。

右側のボルトに関しては他社同様にカラーを介す構造なのですが、G-craftはカラーに関してもご覧のように固定時の剛性が上がるような形状のものとされている。
こうした小さな性能向上パーツこそ、ディテールに神が宿るのであります。

そんなわけで、お値段が高くてもG-craft製のパーツを選ばせていただいた。
とはいえ、装着が完了してしまえば、外からその存在を窺い知ることはもうできない・・・

んで、肝心の使用感ですが、
本当にシフトフィールがカッチリとするようになった!
言っても体感で10%程度の向上なのですが、これまでガチャッ!とギアがリンケージしていた感触がカチャッ!に変わった。ように感じる。
特に踵側を蹴り込む操作となるシフトダウン時、中でも信号など停車時に1速までシフトダウンする時、これまでグニャッとした感触を足裏に感じていた部分が軽減された。
このように、ハンターカブのような小型車輌には、使ってみて、乗ってみて気づくような、問題とも言えないような細かい箇所に “改善” を加えるためのサードパーティー製のカスタムパーツが多く販売されている。
これは小型車に比べて車体にかけられる予算が多くなる大型車にはない傾向だと思う。
少なくともBMWでは考えられない。
ホンダが爪に火を灯すように削ってきたコストを、私がわざわざ元に戻していることに少なくない疑問を感じてしまうが、ホンダが私にカスタムする余地を残してくれたのだと前向きに捉えることにする。


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