春になると川場に行きたくなる。と言うより「トップシーズンには行く気がおきない」とか、つい思ってしまうのが私にとっての川場というスキー場。
誤解のないように言っておくと、川場は巧みなコース設定に加えてリフト数を含めた規模感を見てもとても良いスキー場だと思う。
ただ良いスキー場なだけに人気が高く、トップシーズンはものすごく混んでいるイメージがある。
群馬の片品方面のスキー場は首都圏から近いことに加え、スキー場のバリエーションが多く、つぶしが利くので「とりあえずここに行っておけば」と思えるとても重宝するエリアだ。
尾瀬岩鞍、オグナほたか、丸沼、川場といったところが群馬に位置するスキー場の中では私の候補になるのですが、丸沼と川場に関しては、人気が高くいつも混んでいるイメージがあり積極的に足が向かない。
それと、川場はEarthHopperに加盟しており、空いてくる春のタイミングでEarthHopperの残枠を消化するのにうってつけの存在なので、最後に取っておきたいとか思ってしまう部分もある。
この日はマッツン一家とセッション。
長男のワタルくんがついにスノーボードスクールデビューを飾ると言うことで、その前後でマッツンとユカチンと代わる代わるセッションさせていただいた。
相棒はもちろん『MOSS Q545』。
Kashiwaxから新たに登場した春用滑走ワックス『le printemps(プランタン) OLD SNOW』を試したい。
何よりQ545は春のシャバ雪で、かなりゴキゲンな乗り味を披露してくれるはず。
という期待にQ545がどれほど応えてくれるのか。それらの確認をしたいというのが本日のお品書き。
ここ数シーズンの春の川場は「桜川エクスプレス」「クリスタルエクスプレス」の2本のリフトのみの営業でしたが、3月の降雪が多かったこともあり「白鳥エクスプレス」と「無名峰トリプル」の2本のリフトも運行されていた。
中でも白鳥エクスプレスから滑れる「シャミンダウンヒル」はクルーズ気分で滑れるので私は好きなのですが、春にしか来ない私は10年ぶりくらいにこのコースを滑ることができた。
ここのところはいつも子供と一緒に滑る良き父としての姿ばかりを見てきた私にとって、家族抜きで全力で滑るマッツンのあとを滑るのはかなり楽しい。
私の仲間には様々な乗り手がいて、いつもとても刺激になっているのですが、私にとって仲間内ではマッツンのラインが一番刺激的に映っている。
どんな急斜面であっても、どれだけ凍って硬い斜面でも「1mmもラインをズラしたくない」とか、本気か冗談か分からないようなことを真顔で言う男の描くラインはかなり過激で、それが本気で言っていることなのだと後ろを滑ると身につまされるように理解させられる。
加えて視界が広く超わがままで自由な発想を繰り返すその脳ミソは、壁や斜面のウネリを見つけるやいなや、そこを目指して急旋回しはじめる。
しかも、与えられた短い時間の中で最大限の歓びを得ようと、壁という壁ひとつ残らず当て尽くそうとするセコさが前面に出るので尚厄介だ。
加えて「誰よりも壁の高い場所を滑りたい」とか、これまた本気かウケ狙いか分からないことを言うこの男は最速の加速ラインを狙っていくため、後ろに着いて滑っていてもそのラインをほとんどトレースすることができない。
そんな悔しいほどに羨ましいそのターン弧は私にとって一番身近な理想形。
惚れ惚れするとかは言いたくないが、あやかりたいものだと心底思う。
そのあとにワタルをスクールに預けたユカチンと滑らせてもらった。
途中スキー場上部でガスったりもしたが、暑くもなく寒くもないとても良い陽気。
ユカチンとなら目を三角にする必要がないので、春スキーらしい空の下をクルージングさせていただく。
ただ、気温の上昇とともにストップスノーも現れ始めた。
新しい春用ワックスに関してはまた報告させてもらうが、触りだけ申し上げておくと、ボードを掴まれるようなことはなく、ブレーキはかかるものの確実に滑り通す性能は見せてくれた。
水分が浮いてこない箇所ではまったく問題はなくかなり調子は良い。充分及第点。
そしてやはり、Q545は春のシャバ雪にもよく合う。
というよりも、春のシャバ雪でも、トップシーズンの雪と同じように機能してくれる。
案の定、遊び道具としてかなりワイドレンジな性格だ。
それ故逆に、長尺のボードも恋しくなってしまう。
という私の優柔不断でワイドレンジな性格も併せて露呈してしまうのですが、数本持ち込んでおいて朝の雪の状況を見てどれを出すか決めるなんて頭の良い人がやるようなこと、私にはまったくできないので、Qのワイドレンジな存在感には、いつも助けられてしまう。
ランチブレイクを挟んで、次男坊のタケルを股の間に挟んだマッツンとセッション。
ワタルも同じことをして大喜びしていたが、タケルもすでに「カベカベ」言うようになっている。
血は争えない。
スクールから戻ったらすっかりやる気を失い、家(キャンピングカー)に引き籠もっていた兄ワタルでしたが、しばらくしてユカチンと一緒にゲレンデに現れた。
スクールの成果を是非見せてくれ!とお願いしたら「しかたねーな」と言わんばかりに一緒に滑ってくれた。
まだヒールエッジしか使えず、トゥサイドのターンに繋げられないのですが、レギュラーとグーフィーを巧みに使い分けながらあまり転ばなくなっていた。明らかにバランス感覚が向上している。
さらに沼にハマっていただきたいと願うのは私よりもマッツンの方だろう。
更なる成長を願うばかりであります。
そうしてマッツン家総出でリフトの営業時間いっぱいまで滑った。
雪が重いせいもあるけれど、両モモともにプルプルと震えるほど滑りきった。
まあまあ限界。
その晩は道の駅の近くにあるラーメン屋でマッツン家と晩餐。
街中華メニューを肴に子どもたちとワイワイやりながら飲む酒もまた旨い。
地元の特産品である食材でまとめられた特製らーめんできっちり〆た。
そうして翌日はHさん一家にOYくんも参加して丸沼セッション。の予定だったのですが、その晩のうちに家から弱音の電話が入り、私は朝に帰宅することとなってしまった。
かなり念入りに一泊二日の作戦を練って準備をしてからやって来たのですが、なかなかこちらの思惑通りにモノゴトは進まない。誠に残念。
でもまあ街中華のナイトセッションができただけでもヨシとしよう。
さて、桜の開花宣言とともに、そろそろ気持ちが海へと傾きはじめている。
とはいえ、もう少しだけでいいので雪の上を滑っておきたい気持ちも燻っている。
別に海も山も両方テキトーにやればいいっちゃあいいのですが、要プチ介護の老人が家にいることもあって「ここまでっ!」と、一旦線を引いておきたい気持ちも強い。
今はまだ花粉に阻まれてはいるが、もうすぐツーリングにも心が誘われてしまうだろう。
さて、どうなるオレの春(からの夏!)。
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