早くも台風が本州をかすめるコースをとりはじめた。
台風2号は本州付近で熱帯低気圧に変わったので、関東に大きな影響は出なかったのですが、6月ですでに集中豪雨に線状降水帯なんてことも言われるようになりはじめた。
例年より3週間以上早く6月中に梅雨明けしたのは観測史上最速なのだそう。今年の夏も荒れそうな雰囲気だ。
水曜日が一番台風2号のスウェルを受けそうだったのですが、atuの休みに合わせて木曜日に海に行くことにした。
木曜日の千葉〜茨城は熱帯低気圧からの吹き出しを受けやすい状況だったのですが、もちろんそれはジャンク/ハードと背中合わせ。まだそうしたハードな海に打って出る心構えはできていない私は、素直にatuの進言に従って湘南に向かうことにした。
まだ所によって小雨が舞う前夜に出発。夜のうちに湘南に入りこの日も車中泊。
窓に網戸を設置し車内の空気が抜けるようにはしたのですが、屋根のある駐車場だったためかまったく風が通らない。車外は比較的涼しい夜だったのですが、車内は熱中症必至の熱帯夜。
なんとか1時頃に気温が下がり始め、ほとんど気を失うように眠りに落ちた。
いよいよ夏の車中泊対策を考えないとならない。



翌朝、目覚ましに起こされ、寝不足でぼんやりした頭のまま海を見に行くと、無風ながらスネ〜ヒザの寂しい状況。
しかも、鵠沼は平日だってのに休日ばりに混んでいる。ねぼけてんのか?とも思ったが現実だった。
海水温も気温も高く海パンにタッパーの方もいるほど。
ジャーフルを持ってきたのですが十分暑かった。
ほんの1週間前に千葉の海でセミドライを着ていたのが嘘みたい。

atuと合流し7時に入水。
画像だと分かりづらいかもしれないが、この2本は同じボード。長さも7’0とまったく同じ。フィンも『Power Blade 7.0』で同じ。
atuの『Ellis Ericson First Model』は、私が『Ellis Ericson Lite Kite 7’2』を手に入れた時に、ショップにストックしていたもので、雰囲気というか放つオーラのようなものがとても良く、私もそのときからとても気になってしまっていたボードだ。
さすがに2本とも買うような甲斐性は私にはなかったので、そのボードは後にatuが手に入れ、見た目の印象通りにかなり調子がいいという話はatuから何度も聞かされていた。
かくいう私は、2020年にエリス・エリクソン・エッジボードの初期モデルの6’6″を手に入れていたのですが、ほとんど手に負えず、ほどなく手放していた。
「初期モデル」を手放した私が、その5年後にまた「First Model」を手に入れることになった一番の理由は、ただ単に頭が悪いからなのですが、そんな頭の悪い私の目にも、変わらず「シュッ」としたシャープな(扱いづらそうな)見た目ながら、どこか柔らかな印象が加えられている様子がはっきりと映った。
良い方に取れば、以前所有していたからこそ、その違いに気がつけた。ということかもしれない。
とにかくファーストインプレッションで「なんとかできる」イメージを伝えてきていた。

毎度ここに書いておりますが、走り出しの良さ、テイクオフのしやすさと、マニューバー性は並び立たない。
いかにテイクオフの難しいボードであっても、どんな波であっても、きちんと走り出せるような技術とパドル力を獲得すれば良いだけのことなのですが、この年になると尚のこと、そういうわけにもいかない。
ある程度マニューバー性能を手放してでも、テイクオフのしやすさ、扱いやすさを確保したボードが欲しくなる。
そう考えた時に、たとえ同じEllis Ericsonのシェイプするボードであっても、モデルごとにその配分料には違いがあって、このFirst Modelはまあまあマニューバーよりにチューニングされていると言える。

そのぶん他のモデルよりも波を選ぶわけなのですが、初期モデルよりもその作動レンジがぐっと広がってくれたように見えたし、他でもないatuからもそうした報告を得ていたので、この日は期待で胸がはち切れそう。

しかし、進水式となったこの日の波は、お世辞にもそんなFirst Modelには合っていなさそう。
だったのですが、もっと手こずるかと思っていた小波でのテイクオフはかなりしやすくて、この日のパワー不足なヒザ波でもなんとか遊べてしまうほどに汎用性が高められていた。
とはいえ一瞬のフェイスを経て、滑るのはほとんどスープの上。しかも『Tri-Plane Glide 8’0』のような伸びのある滑走性があるわけでも、『Hybrid Hull』のように荒れた面でのターンの安定性があるわけでもない。
Firsrt Modelが誇る加速性能と、それを活かしたドライブ感を感じることはできなかったのですが、テイクオフのクセを掴める程度にはテストライドができてしまった。
それと、すでに何日もFirst Modelに乗り込んでいるatuのアドバイスや、atuが集めた情報などを参考にできたこともとても助かった。
朝一に海を見た時には「今日は海に浸かるだけだな」とか思っていたことを考えれば、この状況は棚からぼたもち。瓢箪から駒。
ハイパフォーマンス系でありながら、こうした汎用性の高さも併せ持っていることが確認できただけでもヨシとしよう。

この日の鵠沼は8割がロングボーダー。そんなロングボードに外側を固められ、なかなかこぼれ球が来ない。波数が多ければまだロングさんの後からきた2枚目の波に乗れば良いのですが、波数もあまり多くないため、ロングさんたちのおこぼれに預かる小判鮫な波乗りが続いた。
そんな中、8時過ぎに人数が半分程度にまで減り、前方が開ける場所もではじめてくれたため、そこそこの本数に乗ることができた。


気がついたら2時間半やっていた。
一旦上がって休憩後に第2ラウンドに入る頃には引き潮に加えて、ブレイクポイントがさらに50メートルほどアウト側に移っていた。風波が加わって一見波数は増えたように見えましたがボヨついた不明瞭なブレイクで、ウネリを拾えるロングボードでないと波を捕まえられない。
加えて50メートルもパドルアウトするとテイクオフに使える私の腕の電池は残ってはおらず、ウダウダと波待ちしているうちにオン風に引き戻される始末。
波の悪さもありますが、パドル力が落ちると途端に乗れ高も下がる。
2本グダグダなのに乗っただけで1時間で諦めて海から上がることにした。

と、最後はなんとも締まりのない波乗りになってしまいましたが、それでも気持ちの良い夏空の下サーフィンを楽しむことができた。
全く同じボードに乗るatuのおかげもあって、Ellis Ericson First Modelの片鱗に触れることができたこともよかった。
この日得たインスピレーションを活かせるような良い波で早く乗りたい。
良い波の予報を見つけたら、諸々(無理やり)都合つけてすぐまた海に来るとしよう。
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