キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

Apple製作、マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演作品。
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』。

いち早く劇場に足を運んで観たっかたのですが、
Apple TV+ に加入している私としては、心を鬼にして、というかセコさが前に出て
無料配信になるのを待つことにしてしまった。
ただ、劇場公開終了後もプレミア配信の期間を経てやっと無料配信に切り替わったので
さっさと観に行けば良かったと後悔先に立たず。
ただ、この反省は同じApple製作の『ナポレオン』で裏目に出てしまうのですが、その話はまた今度。

自身の土地を愛し、大地とともに生きるアメリカ先住民。
彼らの居留地から“ブラック・ダイヤモンド”と称される石油が発掘されてしまう。
宝の山と言っていい石油が自分たちの土地に眠っていることが発覚したのだから
本来喜ぶべきことなのですが、石油に群がる強欲な白人たちによって、
静かに自然とともに暮らしして暮らしてきたオセージ族の歯車は狂いはじめる。

彼らは一夜にしてとてつもない大富豪となったが、
その活かし方も利用法も分からない先住民たちは、その巨万の富の管理を白人たちの手に委ねてしまう。
しかも、先住民たちと婚姻することで、彼らの受益権を白人であっても相続できてしまうという
白人たちにとても都合の良い法律まで制定されてしまう。

受益権を相続さえしてしまえば、先住民は不要とばかりに、
安易に先住民たちが暗殺されてしまう“インディアン連続怪死事件”が本作の題材となっている。

今やアメリカ人自身の記憶からも消えてしまっているこの黒歴史を、
改めて白日の下に曝そうと考えたのはディカプリオで、
原作が世に出る前から脚本に目を付けていてディカプリオの持ち込み企画だったのだそうだ。

ビジネスという大義名分のもと、
略奪の限りを尽くすむごたらしい白人社会の有り様に加えて、
純粋に生きていた先住民たちも、金という魔力によって汚れ、堕ちていく様は
遠い島国に住む私にも、まるで我がコトのように心に強く刺さります。

上映時間3時間36分。
人間が元来持つ心の汚れと終始向き合わされることはかなりの苦行だが、
ウクライナ情勢を見るまでもなく、戒めとして強く心に刻まれる作品でありました。

マーティン・スコセッシの次回作は『沈黙』につづき
再び遠藤周作の『イエスの生涯』を扱うとのこと。
これにも注目です。

(オススメ度:80)

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