一刻も早くIMPOSSIBLEに乗りたい!
という気持ちとは裏腹に、仕事の急ぎの案件やら家の用事やらが重なり、早くても土曜日にならないと出かけられそうにない。
かといって、すっかり休日の混雑に苦手意識を持つ贅沢病を発症している私は、いっそ土日は避けて、週明けの月〜火曜で滑りに行こうと考えていた。
ただ、何をどう見計っても「第3波」と呼ばれる災害級寒波のヤマ場は日曜日で、しかも降り積もるのは日曜日の日中。こうした場合、昼過ぎに降雪は止んでしまい積雪は月曜日まで保たないことが多い。なので、「日曜日に風が強すぎてリフトが動かせずに月曜日にキャリーオーバー」というのがベストなシチュエーションだったりするのですが、どうやらそういうわけにもいかなそう。日曜日に現場にいないと話にならない様子。
そして、今回の寒波も日本海側が中心。
となれば、そろそろ豪雪で鳴らす『LOTTE ARAI SNOW RESORT』(以下アライ)に行っておかないとならない。
とはいえ、いきなりアライの深雪で「IMPOSSIBLEデビュー」というのは避けておきたい。
だったらせめて空いているであろうナイターでテストライドをしておこう!
というわけで、土曜日の正午までに半ば強引に用事を片付け、ナイター営業を行なっている赤倉温泉スキー場に向け、昼過ぎに埼玉を出発した。

ナイター営業が開始される17時を目がけ、いつものように下道を走っていたのですが、ナビの到着予想時刻は17時ちょうど。30分前には到着しておきたい。というわけで妙義松井田I.Cから高速に乗ることにした。
高速に乗ると1時間以上前に到着するので、余った時間で東部湯の丸S.Aで『おぎのやの峠の釜飯』を食べることにする。やっぱり、おぎのやの釜飯は美味い。
タイヤ規制は中野I.Cから。信濃町I.Cを過ぎるあたりから雪が降り始めた。
もしかしてナイターパウダーだったりして?
高校時代に、友人の親の同級生が赤倉温泉でロッジを経営していて、2回ほど赤倉温泉には来ていた。
そうした馴染みもあったため、大学時代にもスキーバスで同級生たちを引き連れてここに来ていた。
加えて、就職後も上司の親戚が経営するロッジがこちらにあったため、都合10年あまりに渡り、赤倉温泉には連続して来ていてたのですが、赤倉観光、杉ノ原に行くようになってから、赤倉温泉にはすっかり来なくなっていた。
先日、赤倉観光を滑っていて、うっかり赤倉温泉のエリアに入ってしまったりはしましたが、こうしてちゃんとやって来たのはかなり久しぶりのこと。
ここでナイターを滑ったこともあるのですが、いつも「銀嶺」から上がっていたので、今回も銀嶺の駐車場に向かうと、銀嶺のリフトはナイター非対応。ナイター営業する「くまどー」ゲレンデに行くには、今ではだいぶ離れた第1駐車場に停めないとならないらしい。
銀嶺から第1駐車場まではまあまあ険しい坂道を登り返さないとならないので、いきなり修羅場を迎えてしまった。

前走車や対向車のいない幸運も重なって、なんとかかんとか第1駐車場に到着できた。このときすでに17時。まあまあ慌てて準備を終えたらちょうど無料の送迎バスがやって来た。
10分ほど送迎用のマイクロバスに揺られチケット売り場に到着すると「圧雪作業を行いますのでナイターは17時半からの営業開始になります」とのこと。遅刻したけど結果オーライ。
というわけで、ナイターパウダーではありませんでしたが、きれいに整えられたピステンで、はじめてのIMPOSSIBLEを戴くこととなった。

詳細な感想はまた後日まとめますが、第一報としては「なにこれ?超楽しいんですけど!」って感じ。あまりにバカっぽい感想ですが、これが偽らざる本音なので仕方がない。
というのも、私の中でIMPOSSIBLEの強烈で特異な見た目への偏見やら思い込みやら見当違いが、多重に渋滞しており、まさかこうした印象に辿り着くとは1mmも想像できていなかったからだ。
期待値の低かった部分がとんでもなく魅力的だったことの反動がデカすぎて、感想がすっかりバカっぽくなってしまう。
一言で言うと、IMPOSSIBLEの見た目は、その性能や魅力を、一切表現していない。
レングスやワイデスといった「数値」、そして見た目から想起される「滑りのイメージ」というのは、そのボードを知る上でとても重要な情報源になると思う。
ただ、そうした印象は、得てして間違った思い込みを招くことにもつながる。
特にIMPOSSIBLEは、そのどれもが規格外で、見る者を思考停止に陥らせる特異性を持っているためその傾向が強い。
そんな私の抱いた思い込みの中でも特に「期待値の低かった部分」とは、もちろん機動性に関して。

このメーカー公表のレーダーチャートの「Tight Turn」がどういったターンを想定しているのか分からないのですが、ここにあるように、この長さのボードが「よく曲がる」なんてこと、私にはまったく想像できなかった。
「IMPOSSIBLEは意外とよく曲がる」という話はよく聞くのですが、「意外と」なんてレベルじゃない。
同じように特異性で固められ、天上天下唯我独尊の存在であるTTにも通じるターン性能が持たされているとさえ思った。
それは、IMPOSSIBLEがほとんどフラットキャンバーと言っていい反応の仕方をするからで、それはTTを民生化させたような扱いやすさをもった『MANTARAY』にも通じる回転性の良さを感じさせた。
それでいて「MANTARAY以上、SPEEDMASTER未満」とも言える直進安定性を持たされた、とっつきにくいTTとも、扱いやすい機動性を持たされたMANTARAYとも違う、高い官能性と操作性の両方を持たされた「GENTEMSTICK全部入り」とも言える世界観を持つボードでありました。

ハードさは一切感じさせない。
あくまでも適度な範疇に収まるフレックス感。
IMPOSSIBELEに副次的に備わった悦びが、ダブルピンテール(この場合もしかするとスワローテールと呼んだ方が適切なのかも?)だけがもつターン出口での反応というものがある。
これまでにも『MAGIC 38』『BIGFISH』『ROCKET FISH』『SUPERFISH』『SPEEDMASTER』と、GETEMSTICKのダブルピンテールには乗って来ておりますが、このIMPOSSIBLEのダブルピンテールの反応がシリーズ最高だと思う。
スラッシュさせたり、ターン出口で強めに踏み込んだときの、ピンテールが「パンッ!」と雪面を弾くような感触はSPEEDMASTERの5割増し(当社比)!これはこいつにだけ奢られた「カラマツ×ヒノキ」という特別な芯材のおかげなのか、ノーマルモデルも同じ反応を示すのかまでは分からないが、あまりに気持ちが良すぎて、ついそればっかり繰り返してしまった。
ミズメヒノキに乗ってきた経験から言えば、弾いた後の振動の吸収の仕方、減衰の仕方は特別な芯材のおかげであるように思えますが、とにかく足裏に伝わる独自の反発感が超絶心地よい。
なので、TT168に対して感じていた「ミズメ×ヒノキ」の強烈とも言えるハードフレックスさは、このIMPOSSIBLE カラマツ×ヒノキに対しては微塵も感じず、体重75kgの私にとってはむしろ適正に感じさせる。
それほどまでに、IMPOSSIBLEをハードフレックス化することの意義を、最初の滑走から思い知らされてしまった。

このレングスを誇るボードですので、この程度の緩斜面でもスピードはそれなりに出る。
これだけ長いボードなので直進安定性が高いのかと思いきや、そこに関してはSPEEDMASTERの方が数段上。
意外とチョロチョロと落ち着きがないのは、言ったようなフラットキャンバー感の高さゆえ。
時に逆エッジのアラートさえつま先に感じることがあるほど。
ただ、長さなりにボードの反応は高く豊かなので、立て直しも素早く確実に敢行できるため、乗り手にそれほどの恐怖感を感じさせない。
そうした部分は、時に「軽薄」に感じさせるTTとは180°違い、ボードが乗り手に常に寄り添うように、豊かな情報量がフィードバックされる。そのため、スピードをターン操作に変換する力技もかなり得意。
深いトラックに足を取られそうになる場面でも軽々と突破できてしまう。
メーカーホームページによると、私も所有する『SLASHER II』のフレックスは「18」で、IMPOSSIBLEは「16」と明記されている。手で押して撓ませる限りにおいて言わせてもらえば、カラマツ×ヒノキはSLASHER IIと同等かそれ以上のフレックスを持たされているように感じる。
それと比べれば「16」というノーマルモデルのフレックスは、ソフトフレックスに属する柔らかさだ。
この長さを逆に活用して大きく撓ませることで、ゆったりと滑らせる設定になっているのだろうか。
ノーマルモデルがどういったことになっているのか、むしろそちらの方が心配になってくる。
それほどにこのカラマツ×ヒノキコアを与えられたIMPOSSIBLEは、私に「真っ当さ」を感じさせてくれている。

19時半まで、2時間みっちりIMPOSSIBLEと向き合い、初デートを済ませることができた。
IMPOSSIBLEがあまりに楽しかったので、もっと乗っていたかったのですが、さすがに1,000メートル程度の長さの中〜緩斜面を繰り返し滑るのは2時間が限度。
お楽しみは翌日のアライにとっておこう。
そうして、アライは私に本気で牙を剥くのでありました・・・
果たして深雪でのIMPOSSIBLEはどんな反応を魅せてくれるのか。
すでに良い予感しかない。
(つづく)


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